2019.10.02
セミナー「これからの人材マネジメント~従業員エンゲージメントを高めることで採用は変わる!~」レポート(第20回クリーデンス法人向けイベント)
「店舗スタッフが採用できない」「採用してもすぐやめてしまう」
サービス業の現場で頻繁に聞かれるこのような声。アパレル・ファッション業界も例外ではないでしょう。
そこでクリーデンスでは2019年8月1日、日ごろ企業さまよりお預かりしている“中途採用”ニーズの枠を超え、人事戦略そのものについて、専門家とともに考えるセミナーを開催いたしました。
当日はクリーデンスと同じパーソルグループの一員である、株式会社パーソル総合研究所の日比谷勉氏が登壇。
日比谷氏は前職である日本マクドナルドにてアルバイト・パートの採用責任者を務めており、さまざまな採用戦略を駆使して約100万人の採用に携わりました。
パーソル総合研究所へ入社後は、その経験を活かしてサービス業の現場(=フィールド)における人材の採用・育成・定着を支援する専門組織『フィールドHRラボ』を発足、現在はその責任者であるとともに、エバンジェリストを務めています。
定着率向上のために
「社員の定着率を上げたい」
多くの企業が抱える課題ではありますが、では社員の<定着>とは、どのような状態のことを指すのでしょうか。
それは単に「辞めていない」ということではなく、「個人がその能力を発揮できる職場で活躍し、成長している」状態であると、日比谷氏は言います。
したがって時給のアップや福利厚生の改善などの一時的な施策のみならず、長期的に継続し、PDCAを回せる施策が必須となるのです。
その長期的な施策の実践において、フィールドHRラボでは下記のような『フィールドHRサイクル』を提唱しています。
いずれのフェーズでも、従業員満足度を向上させるための基本的な施策が重要です。
例えば「受け入れ・教育」のフェーズでは、誰もが感じるであろう入社初日の不安に対して、周囲のコミュニケーションやバックヤードの整備、ごく小さな成功体験の付与などを積極的に行います。すでに取り組んでいる組織も多いはずですが、これまで以上に徹底することで、社員の定着率は格段に向上するでしょう。
グループディスカッション
セミナーの後半は4~5名のグループに分かれ、ディスカッションを行いました。
クリーデンスが主催するセミナーではお馴染みとなっているグループディスカッション、どのようなテーマであれ、日ごろは見えにくい他社の取り組みなどを聞くことができるため、毎回ご好評をいただいております。
今回はフィールドHRサイクルをさらに10の状態に細分化し、各社がそれぞれのフェーズを実践できているかを共有することからスタートしました。
さらに小売業にとって共通の課題である、産休・育休から復職した時短勤務スタッフの活用、そして地方採用の難しさについて、各社が事例などを共有しあう活発なディスカッションが行われました。
産休・育休からの復職者の活用
企業によっては、時短勤務のスタッフは土・日が休日となるため、週末の人員不足やフルタイムで働くスタッフの疲弊がしばしば課題になります。
ですが出産などのライフイベントは統計からある程度予測ができるため、人員計画の段階であらかじめ織り込むことができるもの。また時短勤務のスタッフの多くは、時間を大切にして生産性高く業務を進めるため、その経験が活かされ、多くの方がフルタイム復帰後にも長く活躍を続けています。
無理のない人員計画によって、フルタイムはもちろん、時短勤務のスタッフにも長く活躍してもらえる環境を整備することが重要となるのです。
地方採用
難しい課題ではあるものの、その地方にいかに寄り添えるかがカギとなります。
たとえば近隣のリサイクル活動や、地元中学生による職場体験の受け入れ、地域イベントへの協賛などの長期にわたる活動が、将来的に効果をもたらします。
アンケートから
以下はセミナー終了後のアンケートからの抜粋です。
「発見とともに、忘れかけていたことを思い出すことができた」
「スタッフの声を逃さないよう、面談や店舗訪問の機会を増やしたい」
「これまで短期施策ばかりだったが、長期的な視点の重要性を痛感した」
「一つひとつの点が線になることが理解できた」
今回は特に、“長期的”というキーワードが印象に残った方が多かったようです。
その取り組みのための『フィールドHRサイクル』にも、多くのご感想を頂戴いたしました。
クリーデンスでは、今後もアパレル・ファッション業界の人事・採用に関するセミナーや講演会を企画してまいります。
テーマや登壇者についてのリクエスト、内容についてのご意見がございましたらお気軽にご連絡ください。
次回セミナーにつきましても、詳細が決まりしだい、メールや当ウェブサイト等にてご案内させていただきます。