アパレル企業特集 ： チチカカ（株式会社チチカカ）

チチカカといえば、これまでは「エスニック」「民芸品店」のような印象が強かったですが、最近は少しイメージが変わってきましたね。

そうですね、衣類の割合も昔に比べかなり増えていますし、よりコーディネートしやすいテイストに変わってきていると思います。時代のトレンドを取り入れ、でもチチカカらしさは忘れない。
最近ではファッション誌にも積極的に掲載し、3月にはガールズアワードにも参加。たくさんのモデルさん達に可愛く着こなしていただきました。

確かにお店を見て、カラフルでありながら日常的に取り入れやすいアイテムが多く、新しいチチカカを感じました。

プロバンス地方の建築物にインスパイアされた情熱的な柄や、ボタニカル・アラベスク柄、ナチュラルで淡いトーンや柔らかな素材、ふんわりしたガーリーなシルエット、カラフルなヴィンテージスタイルをMIXしたアメカジテイスト…など、デザイナーのアイデアから生まれる繊細なデザインを大切にし、チチカカらしさに新しさを融合させたデザインを創造しています。

こうして、エスニックの領域を超え、「チチカカ」というブランドの確立を目指しています。

「チチカカらしさ」とはどういったものでしょうか？

1枚の洋服にストーリーがこめられている点です。
チチカカには11名のデザイナーが在籍していますが、彼らが思いをこめてデザインした洋服に生産者が丁寧に刺繍をほどこし愛情あふれる1枚を仕上げています。
チチカカがこれまで取引をしてきた生産国は中南米を中心に18か国。現地生産者と直接やりとりすることで、こだわったものづくりをしています。デザイナーが編み出したトレンドファッションに、生産者の伝統的な技術が融合する。その瞬間に、チチカカの洋服にひとつのストーリーが生まれるのです。

海外の生産者と直接やりとりしているとは…1枚1枚にこだわったものづくりに携われるのもチチカカさんならではですね。

企業理念である「ハッピートレード」について教えてください。

お客様の「HAPPY」と生産者の「HAPPY」をつなげることを「HAPPYTRADE（ハッピートレード）と名付けています。現地の生産者には雇用の拡大と豊かな生活の創出を、お客様には商品を通して世界の伝統文化を伝えています。

具体的にはどのような取り組みをされていますか？

例えば、『HAPPY TRADE COLLECTION』と呼ばれる商品ラインを展開しており、売上の5%を生産者の方々へ還元しています。還元方法は、生産国の人々と相談の上、糸、刺繍糸、生地、針などを支給したり、編み物教室の運営費等で支援をしたりしています。最近では、ペルー・タキーレ島に有料トイレを設置。村で生活する人々や観光客にとっても便利になり、タキーレ島に継続的な収入が入るようになると考え設置しました。
また、世界をつなぐ取組みのひとつとして、日本では珍しい、フェアトレードの認証を受けたコットントートバックを発売しました。フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善を目指す「貿易のしくみ」です。国際フェアトレードの認証ラベルのついた製品を購入することは、開発途上国の生産者や労働者の労働条件と生活状況の改善につながります。

なるほど、本当に関わる人全員が「HAPPY」になる取組みですね。

もちろん社員が「HAPPY」になれる取り組みもありますよ。その１つとして、「かけはし制度」という、海外出張制度があります。理念を体現するため、サプライヤーや生産者とのコミュニケーションを深めるとともに、商品にまつわる歴史やストーリーの理解を深めています。

そういった取り組みもあり、理念が浸透されているのかもしれませんね。

出店数、業績共に急激に成長されていますが今後の戦略は？

直近の事業計画は年商150億、国内に200店舗の展開を目指しています（2013年/57億円、国内105店舗です）。海外進出も加速させ、香港にある3店舗から、他の国々への出店を視野に入れています。

2012年には、表参道にフラグシップショップを立ち上げました。生産国の風景や、生産者の写真・メッセージに加え、他ブランドの扱うエシカル商品の期間限定出店などの取り組みを通し、エシカルファッションの普及を目指しています。

何より大切にしたいのは、チチカカの使命である「世界の文化を伝えていくこと」です。チチカカはソーシャルビジネスのリーディングカンパニーになることを目指しています。世界中にお店を展開していき、世界中の方にチチカカの商品の魅力を伝えるとともに、チチカカで商品を買うことが社会貢献につながるという新しい価値観を世界の人々に提供していくことが夢です。

その夢を実現するためにも、より魅力的な商品開発が鍵となっていきます。
世界の文化を伝え、チチカカで成長していきたい方のチャレンジをお待ちしています。

今回の取材はもちろん、普段やりとりさせていただく中で一番感じるのは、社員一人一人に企業理念がしっかり浸透しており、社員全員が手を取り合ってものづくりを進めているということです。また社内のミーティングスペースを通りかかった際には、業務中でありながら全員が挨拶をしてきてくれるような明るくアットホームな雰囲気であり、チチカカというブランドの温かさを改めて感じることができます。更なる高みを目指して、成長し続ける彼らに注目をしています。