アパレル企業特集
2017.06.14
ZOZOUSED(株式会社ZOZOUSED)
日本最大級のブランド古着セレクトショップ「ZOZOUSED」
前年比150%以上という驚異の成長率を見せる理由
【補足】同社は2018年10月より「株式会社ZOZOUSED」と社名を変更しております。当取材は2017年6月に行ったもののため、本文では旧社名で記載をしております。何とぞご了承ください。
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アパレルの二次流通、いわゆるリユース市場においては、古着屋やフリーマーケット、ネットオークション、ネットフリマ、通販などといった形で発展を遂げてきました。その中でも、日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイグループの「ZOZOUSED」は近年、最大級の規模で拡大を続けているサービスのひとつと言えるのではないでしょうか。
そこで今回は運営会社である株式会社クラウンジュエルへ訪問。前年比150%以上という驚異の成長率を支えているリユースマネジメント部で、データを分析・活用しながら利益最大化のための仮説検証に取り組むMDの仕事に注目します。
今回、この方にお話を伺いました!
リユースマネジメント部 マネージャー
島村 龍也さん
2007年にクラウンジュエル入社、ユーザーからの商品買取の際の目利きなどを行うバイイングを担当した後、マーケティング部門などを経て現在のリユースマネジメント部へ配属。2016年よりマネージャーとして、MDやデータ分析の部門を取りまとめている。
二次流通を通じてお客さまがもっとファッションを楽しめる仕組みづくりを
成長著しく注目を集め続けている「ZOZOUSED」ですが、具体的にどんなことをしているサービス・企業なのかな、という方も多いと思います。改めて事業概要をお聞かせいただけますでしょうか。
クラウンジュエルは、スタートトゥデイが運営する日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の二次流通部門で、一般のお客さまから洋服やファッションアイテムをお買取する「ZOZOTOWNブランド古着買取サービス」と、それを販売する「ZOZOUSED」というふたつのサービスを運営しています。
規模としてはどれくらいなんでしょうか?
前期が128億円で、創業以降、約150%以上の成長を維持しています。商品は6,000以上のブランド、月間50万点ほどが出品されています。今年の11月で丸5年になりますが、ファッションのリユースECというサービスの中では日本最大級ではないでしょうか。
ファッションマーケットが縮小しているといわれる中、「ZOZOUSED」はものすごい成長率を見せていますが、古着のマーケットが拡大し続けていると見てよいでしょうか?
当社のようなCtoBtoCのサービスだけでなく、フリーマーケットアプリのようなCtoCサービスなど、さまざまなサービスによって一般的に古着のハードルは低くなっています。それでもファッションマーケットにおける古着の割合はまだ低く、今後も拡大していくと見ています。
ただ、一次流通の商品が売れなければ、リユースファッション市場の活性化もありません。一次流通との連携を図ることでビジネスを拡大させていけると思っています。
確かに古着ばかり出回って新品は売れないとなると、いずれ商品が枯渇するということですね。
はい。なので僕たちは単に古着のマーケットを拡大するだけでなく、新品アイテムを買っていただく仕組みの部分も取り組んでいきたいと思っています。
たとえば車や不動産などの高級商材はもともと新品で買ったものを中古で売るという概念が根付いていますが、ファッションも同様に、2万円で売っている服が1年後に5000円で売れると分かったら、「じゃあ買おうかな」ってなる人がいると思うんです。新品を買って楽しんで売る、着た服を売って新たな服を買う、というサイクル作りができれば、お客さまがファッションを楽しむ可能性はもっと広がるはず。それがスタートトゥデイグループ全体で打ち出していきたいビジョンです。
そういえば先日「ZOZOTOWN」で買い物をしたら、以前買った服が○○円で売れますよ、といった画面が開きました。これもその一環でしょうか?
2016年11月にリリースした「買い替え割」ですね。「ZOZOTOWN」の新品アイテム購買促進と、二次流通商品のラインナップ拡大を実現させる目的で始めた、グループとしてもチャレンジングな取り組みでした。
簡単に言うと、過去に「ZOZOTOWN」で購入した商品から下取りに出したいアイテムを選択すると下取り金額分がその場で割引されて購入ができるというもので、お客さまにとって『今価値のあるもの』を手に入れていただこうというサービスです。
こうした取り組みは一次流通と二次流通どちらも手掛けているスタートトゥデイグループだからできることです。
「ZOZOTOWN」と「ZOZOUSED」それぞれの魅力ポイントを活かし、お客さまにとって価値のあるサービスを提供することで、ファッションマーケット全体を引っ張っていけるのではないかと思います。
最大限の利益を生み出すための分析と仮説検証を重ねる
スタートトゥデイグループやリユース業界におけるクラウンジュエルの位置づけが少し見えた気がします。続いて具体的な仕事内容についてお伺いしたいのですが、島村さんがマネージャーをつとめるMDの仕事内容についてお聞かせいただけますか?
会社の目指す利益率を達成するため、どういう商品をいくらでお買取し、どのタイミングでどのようにいくらで売れば良いかを仮説検証するのがMDの役割です。
これまでの実績データを活用して古着アイテムの市場価値を決め、利益率から逆算したときにいくらまでお客さまに還元できるかを算出します。といっても僕たちが1点1点値付けをするということではなく、膨大な商品の価格を、過去実績を用いてある程度機械的にはじき出せるようにするための仕組みづくりをしています。一部、真贋の見極めが必要なアイテムや、データだけで判断できないと判定されたアイテムなどはバイヤーを通しています。
必要な情報を打ち込むと自動で価格がはじき出される、といったような?
現段階で使用しているのはそのベータ版、といったイメージです。今後、より精緻なシステムを作ることが目標です。
古着の価格を決めるには、ブランドの人気度や商品の状態、サイズ、色などさまざまな情報要素が必要です。過去データからどんな情報が価格を左右するのかをピックアップして分析し、お客さまに満足いただき、会社の利益がしっかり出る価格を設定しています。
具体的にはどのような分析を行っているのですか?
私たちは、買取と販売の双方向に視線を向けた顧客ニーズの分析を行っています。
具体的には、ZOZOUSEDの販売実績から需要の推移を予測し、最適な出品価格を設定しています。価格を決めるうえでは、買ってくださるお客さまだけでなく、売ってくださるお客様の満足も考えたうえでの最適値を仮説を立てて設定し、検証することで、サービスの改善を行っています。
なるほど。他には何かありますか?
お買取した商品をしっかり売るための努力をするのもMDの大切な仕事です。商品の発売時期や値下げのコントロールなどの一般的なMDの仕事やユーザーが買いやすいサイト作りなども考え実行したりもしています。
かなり幅広い業務を担っているのですね。
そうですね。価格に関わる全ての業務はMDが担当しているので、単なるマーチャンダイジングではなく、事業の経営に関わるところの数字も見ています。そういった環境で働くことで、新しい価値を創造できる楽しみがありますね。
そんな幅広い業務を担うMDですが、スタッフへの評価はどのようにされているのでしょうか?
販売や営業のように「○○さんがいくら売り上げた」といった見方ではなく、定量面・定性面に分けて、何ができるようになりたいか、どういう成果を残し、周りにどんな影響を与えていきたいかをそれぞれ目標設定し、360度評価をしています。
若手社員が1年で大化けするような成長もありますし、年齢や社歴による序列もないのでチャンスがある会社だと思います。
成長市場で高い達成感を味わうことができる
クラウンジュエルのMDとして働くやりがいをお聞かせください。
いろいろありますが、ひとつは、自分たちの仕事と利益がすべて“見える化”されているので達成感がとても高いです。
利益を上げるために単価を上げるのか購買数を上げるのか。購買数を上げるとして、一人あたりの数を増やすのか、そもそもの購入人数を増やすのか。そうやって細分化し、小さな目標をたくさん作って「この施策はこういう結果が出れば成功」「うまくいかなかったらこっちを試してみよう」といった感じで進めているので、構造的に考えて実行するスキルを高めることができます。
もうひとつは、あらゆるファッションブランドと関われることです。アパレルメーカーだと自社ブランドしか扱えないですし、百貨店やセレクトショップでも扱う商品には限りがありますが、当社はファッションに関わるものはラグジュアリーブランドからカジュアルまで、幅広いアイテムを扱っています。
それはファッション好きな人にとっては魅力的ですね!
そう思います。単にブランドがたくさんあって楽しい!というだけでなく、それだけのブランド・商品を扱っているということはタッチポイントを増やせるということなので、ビジネスとしてのおもしろさも感じられます。
ファッションが好きな人はもちろん、成長市場のビジネスとして興味がある人も楽しめる仕事だと思います。
なるほど、他では味わえないおもしろさですね。
社内にある仕組みやシステム、もちろん僕たちのやっている分析業務なども含めて、サービスに関わることはすべて内製しているのも強みです。お買取用の段ボールの資材やそのデザイン、利用しやすくするための工夫などもすべて社内で考えています。システムが必要となればシステム担当者に相談して一緒に考えて作り、インターフェイスとなるデザインもデザイナーが制作するので、「自分たちで協力し合いながらサービスを創っていく」という意識がとても高くなります。
近年、業種や職種を問わず内製化を進める企業が増えています。外部に依頼するとコストが掛かり、また社内に知見が溜まらないという話をよく聞きますね。
当社は創業当初からほぼ内製にこだわり続けています。おっしゃる通り外部に依頼すると社内に蓄積されないですし、何より、そこに対する関心が薄れてしまうんですよ。価値あるものに対して自分たちで努力して実現するので、すべてに対して自分ごとという意識を持って取り組め、それが経験として蓄積されていくので、さらに高いレベルのチャレンジができるんです。
特にMDはプロジェクトの先頭に立って色んな人を巻き込んで進めていくディレクターの要素も持っているので、全員が能動的に「もっと良くしたい」という思いを持って関わっていける当社の環境は、とてもやりやすいと思います。
分析はあくまでツール。達成すべきゴールに向かって実直に進めていく
まだ若い会社ということで、勝手ながら賑やかなイメージを持っていたのですが、オフィスは落ち着いた雰囲気ですね。
そうですね、集中して仕事をする雰囲気です。常にがやがやと話すような感じではありませんが、壁は全然なく、しっかりコミュニケーションを取りながら進めています。
ただ、素のキャラクターはみんなゆるいですよ。歳も比較的近いのでみんな仲良くて、仕事終わりに大衆居酒屋に飲みに行ったり、近くの神宮球場に野球を見に行ったりしています。
そのメリハリがいいですね。
これは当社だけでなくグループ全体の傾向だと思いますが、真面目で素直ないい奴が多いんですよ!
僕はいつも「みんな本当にいい奴だなあ」と思っていて(笑)。
誰であろうと相手の立場に立つ視点を持ち、ゴールのために実直に取り組める人が多いですね。結局のところ、真面目で素直であることが一番成長の近道だと思うんです。
こういう人が活躍できる!といったポイントをお聞かせください。
当社は二次流通×ファッション×EC専門、というちょっとクセのあるビジネスをしているので、まったく同じ経験をした方はいらっしゃらないかもしれません。逆に言うと、どんな仕事をしてきた方でも初めての仕事が発生するので、達成すべきゴールに向かって論理的に物事を考え実行でき、ファッションに対する興味がゼロでなければ業界や職種は問いません。
ただ、リユースやファッションの経験があると感覚的に分かる部分が多いと思うので、早く慣れていただけるんじゃないかなと。なので、ファッション業界の方からのご応募をお待ちしております。
アパレル業界だと、数値に強いMDやディストリビューターなどが合いそうな気がします。
普段から目的意識を持って行動できる方がいいですね。
新しいことにチャレンジする際には勢いも大切ですが、僕たちの仕事は体系立てて物事を考え、お客さまや会社を納得させる仕事なので、やはり誰が聞いても納得する話ができることを求めています。
ひとつ間違えてはいけないのは、分析はあくまでツールであり目的ではないということです。「じゃあそのデータ使ってどんなアクション起こしてどんな結果を出したの?」というところが重要なので、あれこれと言いましたが、シンプルに「やりきる力」が一番必要なスキルなのかもしれません。
- Webサイトに公開している
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ZOZOUSED(株式会社ZOZOUSED)
事業内容 | ブランド古着のセレクトショップ「ZOZOUSED」の運営・管理 ブランド古着の買取「ZOZOTOWN買取サービス」運営・管理 |
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事業所 | 本社:東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル 3F |
代表者 | 代表取締役社長 宮澤 高浩 |
設立 | 2005年7月 |
従業員数 | 737名 ※内社員103名(2017年4月現在) |
資本金 | 9900万円 |