アパレル企業特集
2024.08.02
Calvin Klein(合同会社PVHジャパン)
自分に自信が持てる場所。
カルバン・クライン“らしい”チームづくりと接客とは?
1986年にアメリカ ニューヨークで誕生したライフスタイルブランド、カルバン・クライン。アパレルをはじめ、服飾雑貨、アンダーウェア、フレグランスまで幅広いアイテムを世界中に提案続けているグローバルブランドです。
今回はリテールマネージャーの浅沼さんにインタビュー。カルバン・クラインのブランドアイデンティティから日本市場の特徴、そしてカルバン・クライン流の接客やそれを実現するための具体的なトレーニングまで、たっぷりお話を伺いました。
もくじ
今回、この方にお話を伺いました!
リテールマネージャー
浅沼 憂(あさぬま ゆう)さん
ファストファッションから外資ラグジュアリーブランドまで、16年間アパレル販売のキャリアを積む。2019年に合同会社PVHジャパンに転職。入社当初は同社が展開するトミー ヒルフィガーのスタッフとして勤務し、2021年にカルバン・クラインへ異動し店長に就任。現在はリテールマネージャーとして担当店舗のマネジメントに従事している。
身に着けることで自分に自信が持てるようなファッションを提案
カルバン・クラインは、1968年にニューヨークで誕生したファッションブランドです。グローバルでビジネスを展開しており、日本では、合同会社PVHジャパンが事業展開を行っています。
ブランドコンセプトは「ミニマル」「エンパワード」「センシュアル」「コンフィデント」の4つ。シンプルかつモダンな表現が特徴で、身に着けることで自分に自信が持てるようなファッションを提案しています。
中でも特徴的なのがカッティングです。“すべてはカッティングから始まる”という創業者の言葉は、今でもカルバン・クラインの哲学として根付いており、カッティングの魅力こそがカルバン・クラインを唯一無二なブランドにしています。
多様性を当たり前とし、誰もが自分に自信が持てるよう
エンパワーしてくれるカルバン・クライン
グローバルにビジネスを展開している中で、日本市場はどのように位置づけられているのでしょうか?
日本では、カルバン・クラインというブランドを、ラグジュアリーブランドにも負けないブランドへと「パーセプション シフト」させていくというミッションを掲げ、「リテールエクセレンス」という、お客さまにご満足いただくための卓越した接客をご提供しようという方針を、世界に先駆け、日本から発信しております。
浅沼さんは、カルバン・クラインのどんなところを魅力に感じていますか?
近年、ダイバーシティという言葉も一般的になりましたが、それよりもずっと前から多様性を当たり前とし、誰もが自分に自信が持てるようエンパワーしてくれるブランドだと思います。
たとえば性的マイノリティのコミュニティに向けたキャンペーンを実施したり、「自分を愛する」というコンセプトでアイテムが発売されたりと、性別や年齢、国籍など関係なくどんな人でも自分に自信を持つことができる!という強いメッセージを感じられるところが魅力的です。
以前、カルバン・クライン原宿店で働いていたとき、ブランドの魅力を肌で感じた出来事がありました。東京の中でも特に原宿はファッションで自己表現することに長けている方が多く、ある日、カルバン・クラインのレディースアイテムを美しく着こなす男性のお客さまがいらっしゃいました。
強く印象に残ったのは、その方がファッションを心から楽しみ、自信に満ち溢れたご様子だったことでした。その姿を見たときに、カルバン・クラインの格好良さ、そしてそのお客さまにお似合いの商品をご提案できている自分自身に、大きな喜びを感じました。
カルバン・クラインで働くことになって、ブランドに対するイメージの変化はありましたか?
一人の消費者としてカルバン・クラインを見ていたときは、白と黒を基調としたクールでミニマルな店舗や商品が印象的で、それが格好いいと思う反面、敷居の高さや緊張感がありました。
実際に働いてみると、スタッフがみんな本当に明るくて親しみやすいことに驚きました!「最初はお店に入りづらかったけど、スタッフの方が本当にいい方ばかりで」とお客さまの声をいただくこともあり、私たちのおもてなしの気持ちが伝わっていることを嬉しく思っています。
老若男女からインバウンドまで、お客さまの世代の広さも良い意味でギャップでした。
あるお客さまが親子でご来店くださったとき、お母さまの青春時代の香りであったカルバン・クラインの香水を今は娘さんが使っているというエピソードを伺い、何世代にもわたって長く愛されるブランドであることを改めて実感しました。
日々のトレーニングを積み重ねることで接客スキルを伸ばし、
“リテールエクセレンス”を体現する
おもてなしを大切にする“リテールエクセレンス”という接客方針を伺いましたが、幅広いお客さまに対して接客スタイルを変えたりしているのでしょうか?
お客さまに対しておもてなしの心で接客するという方針は共通していますが、より具体的には、ショップやブランドによって多少の違いがあります。
カルバン・クラインには「カルバン・クラインジーンズ」と呼ばれるジーンズラインがあり、ショッピングセンターやファッションビルを中心に展開しています。10代後半から30代くらいまでの比較的若いお客さまが主な購買層なので、丁寧ながらもカジュアルな接客を行い、トレンド感のある商品やスタイリングをご提案することが多いです。
一方、「カルバン・クライン」の顧客層は社会人である30代から40代が中心です。特にビジネスシーンにおいてはスーツをご愛用いただくお客さまが多く、ファッションが好きな方はシルエットを見ただけで「カルバン・クラインのスーツだね」と分かるほど、私たちとしても自信を持っている商品です。
そうしたファッションや着こなし、着心地にこだわりを持つお客さまに対し、ご満足いただける接客や提案力が求められます。
どのようにして高い接客スキルを身に付けているのでしょうか?
中途入社の方は、まず会社概要やコンプライアンスなどの基礎を座学で学んでいただきます。その後は店舗に配属され、OJTを中心に実務を学んでいただきます。そのほかにも、ブランドの歴史や商品について深く理解するためのトレーニングも定期的に受けられます。
店舗では、業務の流れや1日の流れ、接客時の流れについて、チェックシートを使いながら確認します。日々の接客に関しては、リテールエクセレンスとして最高のおもてなしをお客さまに体験していただくために、入店時のお声がけや表情など細かい点まで日々トレーニングを行っています。
日々のトレーニングでは、具体的にどんなことをされていますか?
たとえば “ワンコメント・ワンクエスチョン”というものがあります。お客さまがご来店された際、たとえばファッションなどに対して一言コメントを添えて質問するというもので、お客さまの反応を得られやすく、距離感が一気に縮まるのです。
言うのは簡単ですが、そのタイミングや内容を見極めるのは簡単なことではありません。そのため、毎日の朝礼で10〜15分ほどの時間を使い、ロールプレイングなどさまざまな形でトレーニングをしています。この朝の時間が準備体操やストレッチのような役目も担い、お客さま満足度の高い、良い接客に繋がっています。
日々の積み重ねを大切にされていらっしゃるのですね。ほかに、店舗で工夫していることはありますか?
朝だけでなく、振り返りも大切にしています。お客さまとの接客を、提案数や購入数などの細かい数字まで記録に残し、どうすればより良いご満足に繋げられたか?ほかにどんな工夫ができたか?などお互いにフィードバックし合っています。1日の最後には、その日のMVPをみんなで決めて称え、また翌日以降の接客へと前向きに繋げています。
どの店舗でも行っているのですか?
はい、そうです。「どの店舗でも同じように高いサービスを受けられることが、お客さまの満足度を向上させる」ということが、NPS(※)の数字からも明らかになっています。
カルバン・クラインに中途で入社するスタッフは、アパレル販売の経験者もいれば、他業界のサービス経験者もおり、多種多様です。そうしたさまざまな経験と個性を持ったスタッフが、カルバン・クラインの求める高い接客力を身に付けるためには、日々のトレーニングが重要であることを強く感じています。
※NPS:Net Promoter Scoreの略で、顧客ロイヤリティの指標のこと。
幅広い商品の知識はどのように学んでいくのでしょうか?
基本的には、トレーニング動画の視聴や店舗でのOJTです。
また、「アンダーウェアを多数扱う路面店の店長」や、「スーツの接客機会が多い百貨店の店長」など、店舗の特徴に合わせて高い専門性を有する店長が、動画を通じて商品知識や接客などのトレーニングを行ったりもします。
店長にASK! 同社の他ブランドとの関係は?
カルバン・クラインとトミー ヒルフィガーの2ブランドを運営している合同会社PVHジャパン。実は両ブランドの交流は頻繁に行われており、たとえば各店舗の店長が参加する「店長会」は両ブランドの店長合同で行いますし、同じエリアにある両ブランドの店舗スタッフ向け親睦会が、会社主催で開催されていたりもします。
ブランド間の異動こそ多くはありませんが、それぞれのブランドが持つ知識や経験を定期的に共有し、お互いを高め合っていく文化があるように思いますね。
多様性を尊重し、個性を伸ばしていくことを大切にしている
働いているスタッフのみなさんは、どんな方が多いですか?
お客さまだけでなくスタッフの年齢層も幅広く、アルバイトも含めると下は10代から、上は40代後半くらいまで、みんなとても明るくて個性豊かです!
会社としても、そうしたスタッフの個性や良い点をさらに伸ばしたいと考えており、それぞれの長所が活かされ、短所を補い合えるようなチームワークやコミュニケーションを重視しています。
一人ひとりが自分たちらしく成長していくためには、発信の場が必要です。そこでスタッフと店長で定期的に1対1の面談を実施し、日々の考えや想い、今後のキャリア像などをざっくばらんに話し合っています。悩みや不安なども、この機会に相談できます。
販売スタッフからのキャリアパスを聞かせてください。
スタッフから入社した場合は、まずは副店長を目指し、その後店長、リテールマネージャー、シニアリテールマネージャー、ダイレクターと昇格していきます。社内公募制度を利用して、バイヤーやマーケティングなどに異動する人もいます。
人事担当者にASK! 合同会社PVHジャパンの福利厚生とは?
社販制度
社員は自社商品を50%オフで購入できますが、店舗スタッフはさらに15%オフ!加えて制服支給手当もあるので、自社ブランドを手軽に購入することができます。
企業型確定拠出年金
毎月給料の一定割合を積み立てて運用できる、老後の資産形成のための取り組みがあります。
休暇制度
最近、バースデー休暇とウェルビーイング休暇が増えました。バースデー休暇は、自分の誕生月の前後1ヶ月の間で取得でき、ウェルビーイング休暇は自分自身の心身のための休暇です。いずれも取得必須で、有給休暇とは別で仕事以外の時間も充実させてほしいという思いが込められています。
自分に自信を持って長く続けられる仕事
最後に、この記事を読んでカルバン・クラインに興味を持った方へメッセージをお願いします。
店舗で接客をすると、「カルバン・クラインを着てみたくて」と来店していただく方がたくさんいらっしゃることに気付かされます。ジャパンデニムと呼ばれる日本限定の商品を扱っていることもあり、インバウンドのお客さまも多く来られますし、親子で来られる方もいらっしゃるので、こんな若い方から高齢の方までカルバン・クラインを知っていただけているんだ、と誇らしく思える機会が多くあります。
スタッフ一人ひとりの個性や強みを伸ばそうとする姿勢があり、そしてブランドとしてビジネスが大きくなっていく段階にある。それがカルバン・クラインの今です。
販売の仕事を長く続けたい方にとっても、長く働いていただける場所ですし、どなたにとっても、自分に自信を持つことができる職場です。アパレルに興味のある方なら、きっと楽しく働けます!
新クリエイティブディレクター就任や新店オープンなど、
可能性が広がるカルバン・クライン
日本ではまさに今、ビジネスを拡大しているところです。年内に新店オープン予定もありますので、キャリア的にもステップアップしやすい環境です。
カルバン・クラインは多くの方に知られたブランドですが、ファッションをトータルで楽しめるブランドであること、カッティングに強いこだわりがあって、ラグジュアリーな着こなしができることなど、もっと多くの方々に知っていただきたい魅力がたくさんあります。それらを店舗から広げていきたいと考えています。
また本国のカルバン・クラインでは、新しいクリエイティブディレクター、ヴェロニカ・レオーニの就任が発表されました。カルバン・クラインをより表現できるデザイナーとのタッグが決まり、さらにランウェイに復帰する兆しがあるので、ブランド全体としても今後より面白いことが起こっていく予感があります。
日本でも、グローバルでも、新しいフェーズに入っていく期待感がとても大きいタイミングです。
Calvin Klein(合同会社PVHジャパン)
事業内容 | カルバン・クライン、トミー ヒルフィガー 製品の企画・製造・販売(アパレル、衣類、バッグ、シューズ、アクセサリー含む) |
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事業所 | 本社:東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント16F |
設立 | 1996年7月 |
代表者 | プレジデント ラジーブ・シャルマ |
従業員数 | 820名(2024年7月現在) |
資本金 | 1億円 |