アパレル企業特集
2018.06.05
水野鞄店<名古屋エリア>
社員一人ひとりの自由なアイデアと行動力を大切に
水野鞄店が120年以上もの時代を超えて大切にしてきたこと
”時代の変化と共にカバンも変わらなくてはいけない”この理念の元、明治23年の創業以来、120年余りの歴史を積み重ねてきた、水野鞄店。今回は、鞄の企画として手腕を振るう、商品部 部長の横地さんと渡邊さんにインタビュー。水野鞄店への転職のきっかけやものづくりへのこだわりなどについてお伺いしました。
時代にごとに柔軟に変化しながら、お客さまのためのものづくりを
まずは水野鞄店について教えてください
横地:水野鞄店は、明治23年に鞄問屋としてその歴史をスタートしました。30年ほど前からは、社内企画によるOEM・ODM事業が始まり、現在は社内企画が90%以上を占め、メーカーとしての色が濃くなっています。メインは男性向けのビジネスバッグやトラベルバッグ、キャリーケース、あとランドセルなどで、ここ数年、ハンドバッグなどの女性向けバッグにもトライしています。
渡邊:基本的にはBtoBビジネスで、取引先の多くは、専門店をはじめ、GMS(大型スーパー)、SM(スーパーマーケット)、DS(ディスカウントストア)といった小売店です。オリジナリティを追求しつつも、様々なお客さまに合った商品を作ることを心がけています。
横地:以前はお客さまとの商談の中で出てきたアイデアを形にすることが多かったのですが、近年はマーケティング分析をもとに、当社からご提案する商品も増えてきています。また直近ではプライベートブランドを立ち上げ、ECサイトを中心に一般のお客さまに向けた販売も始めています。
生産環境はいかがでしょうか?
横地:ベトナムの自社生産工場を中心に、中国やASEAN、国内に15以上の協力工場があります。鞄は機能性が求められるので品質にはこだわっています。当社規模のバッグメーカーだと、企画の人間が生産も兼ねていることが多いのですが、当社は生産管理専任のスタッフが3名と、ベトナム工場に駐在スタッフが1名おり、安心して生産できる体制を整えています。
協力工場は、それぞれどのように使い分けているのですか?
渡邊:工場には品質クオリティや工場の環境、サプライヤー、スピード、価格などそれぞれに特徴があるので、商品や案件状況などを踏まえて依頼する工場を決めています。
横地:ランドセルの場合はギフト需要も高く、価格よりも質が望まれる傾向にあるため、国内生産を行っています。製法も独特で難しく、作れるところが限られるため、当社の資本を入れて設備投資をしている国内メーカーさんと一緒に生産しています。
商品の特性や案件状況に応じて工場を選定しているのですね
横地:少し前までは、カジュアルバッグはほとんどが中国生産でしたが、価格や関税の兼ね合いなどもあり、今はベトナムなどASEAN諸国での生産も増えています。新しい国や工場でものづくりをすることになっても、また一からしっかり生産体制を構築して、その時代に合ったものづくりができる会社でありたいと考えています。
「会社のためになることだったらどんどん好きなことしていいよ!」という社風
渡邊さんはどういうきっかけで水野鞄店ご入社されたのですか?
渡邊:以前は東京でコレクションブランドなど、婦人服のアパレルをしていました。家庭の事情で名古屋に帰ることになって、仕事を探していたら水野鞄店の募集を見つけ、応募しました。鞄のことは何も分からなかったのですが、初めてのことにチャレンジするのは好きなので、おもしろそうだなと思って。ほかは水槽の清掃業なども受けていました。
水槽の清掃業?!それはまた全然違うお仕事も検討していたのですね。
渡邊:アパレルはもうやり切った気持ちが強くあって、業界問わずいろいろ応募していました。
水野鞄店に決めた理由は、鞄への興味に加え、面接が一番楽しかったからです。実は面接官が横地だったのですが、すごく話が弾んで、いい会社だな、ここで働きたいな、と思ったのが決め手でした。2015年に入社し、現在4年目です。
余談ですが水槽の清掃業は資格がいるらしく、「資格ないのに応募してきたのは渡邊さんだけだよ」と言われました(笑)。転職活動を通じて色んな業界のことを知れたのはおもしろかったですね。
そうなのですね(笑)ちなみに面接時、横地さんから見た渡邊さんはどんな印象でしたか?
横地:当社の企画は社内外いろんな人とのコミュニケーションが発生するので、スキルだけではなく人間性も見て採用しています。渡邊は鞄の経験こそありませんでしたが、アパレル経験が豊富なのですぐに覚えられるだろうと思いましたし、何よりフランクで人当たりが良く、当社の仕事のスタイルと合いそうだと感じたことが採用の決め手でした。
渡邊さんの今の仕事内容を聞かせてください
渡邊:キャリーケースやメンズバッグのデザインを中心に、ライセンスブランドのアプルーバル業務、工場の生産確認、品質管理など、ものづくりにかかる業務全般を行っています。最近は海外に行くことが増えていて、月1回、1週間ほど中国を中心に出張しています。特にキャリーケースは部品の動作や割れなどで不良品が出やすい商品なので、現地工場まで足を運んで生産工程をチェックしているのです。複数の協力工場があるので1日ごとに工場を移動して、キャラバンのような感じです。
今の仕事のどんなところにおもしろさを感じていますか?
渡邊:水野鞄店は、会社のためになることであればどんどん好きなことしていいよ!というスタンスです。自由度が高いので、自分たちのやりたいことにチャレンジして成果を出せるのは、大きなやりがいになっています。
横地がランドセルに注力して売上を大幅に伸ばした姿を見ているので、自分だったら何ができるだろう?と考えて、今はキャリーケースに力を入れています。自分のデザインを突き詰めて成果を出すことで、少しずつ売上を伸ばすことができてきています。
商談から企画、生産まで、ものづくりのすべてに携われるのがおもしろい
横地さんのご経歴をお聞かせください
横地:私はもともと、個人的に車1台作れるノウハウを身に付けたいという思いがありました。そこでまず1社目では家庭用ポストのメーカーで金属や樹脂系のスキルを、2社目では総合スポーツ用品メーカーのゴルフバッグ企画でファブリックの知識を身に付けました。本来なら次はエンジン系を…というはずだったのですが、前職で鞄っておもしろいな!と夢中になってしまって(笑)、3社目で水野鞄店に入社しました。現在入社14年目です。
もう車じゃなくなってしまいましたね(笑)前職から水野鞄店にご転職されたのはなぜですか?
横地:前職は大規模組織で業務が細分化されていて、また自社で小売もしていたので、自分から何かを発信するというよりは、どちらかというとバイヤーからの要望に沿ったものづくりをしていました。それはそれで楽しかったのですが、次第にものづくりの1から10までを手掛けてみたいと思うようになり、お客さまとの商談から生産まで、すべてに携われる水野鞄店に転職しました。
自分で考えてお客さまに沿った提案ができ、工場にも自分で足を運ぶことができる今の仕事にすごくやりがいを感じています。
横地さんがランドセルを手掛けてから、売上が大きく伸びたとお伺いしました
横地:どうすれば会社の売上を伸ばせるだろう?と企画目線で考えたときに、ある程度突き詰めた得意分野をさらに伸ばすよりも、弱い部分に力を入れた方が成長の伸びが高いと思ったんです。そこで、当時まだシェアの少なかったランドセルを伸ばそうと、営業と一緒に新しい取引先を増やして生産環境を整えて、次第に結果がついてくるようになりました。
今力を入れているのは婦人バッグなどレディース系です。まだ小規模なので、そこを伸ばすことでもう一歩、会社の成長につながると思っています。
幅広く色んな事に興味をもって動いてみたい方、お待ちしています
会社の雰囲気はいかがですか?
横地:良い意味で厳しさのある職場です。ものづくりを進める上で、営業と企画は協力し合いながら進めていきますが、仕事の役割が違えば目線もやっぱり違うので、場合によって意見がぶつかることもあります。ただそれはよいものを作りたいという前向きな思いからであって、ものづくりの現場ではよくあることです。
マーケティング戦略を踏まえてものを作っていかないといけない場面でも、プロダクトからの意見を取り入れながら進めたりと、仕事はすごくしやすいです。
最後に、こんな人と一緒に働きたい!というメッセージをお聞かせください
渡邊:当社の企画は現在6名ですが、ストイックにずっと手を動かし続けているスタッフがいたり、僕なんかは話をするのが好きで、手を動かしながらも何かと喋っていたりと、色んなタイプのメンバーがいます。ただやっぱり、社内外で関わる人が多いので、コミュニケーションが取れることはすごく重要だと考えています。
あとは一緒に仕事をするメンバーなので、実際に面接でお会いしてみて、いろいろ話をさせていただく中で、“相性”のようなところも大切にしたいです。
横地:私が大切にしているのはやはり人間性です。当社の企画はデザインだけでなく、ものづくりの1から10まで手掛ける仕事なので、幅広く色んなことに興味をもって動いてみたい、企画から生産までこだわりを持ってものづくりをしたい、新しいことにチャレンジしてみたい、という方は大歓迎です!
業務は多岐にわたりますが、その中でも得意分野は人によって違います。個々の特性を活かすことで、より良いものづくりにつながるというのが当社の考えなので、ぜひ「こんなことが得意です!」と教えていただけると嬉しいです。
株式会社水野鞄店
事業内容 | 一般鞄の製造卸 |
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事業所 | 本社:愛知県名古屋市中区栄3-12-28 |
設立 | 1930年(創業1890年) |
代表者 | 代表取締役社長 水野 増樹 |
従業員数 | 59名(2018年5月時点) |
資本金 | 8,000万円 |