アパレル企業特集
2019.03.27
XLARGE、X-girl 等(株式会社ビーズインターナショナル)
ECを軸にグローバル展開を目指す
さまざまな価値観を受け入れ、変化し成長し続ける組織へ
ストリートブランド「XLARGE(エクストララージ)」「X-girl(エックスガール)」「MILKFED.(ミルクフェド)」や、セレクトショップ「Styles(スタイルス)」「COMMUNITY MILL(コミュニティミル)」、ECサイト「calif(カリフ)」などを展開する株式会社ビーズインターナショナル。2018年には創業史上最高となる売上100億円の壁を越え、実は今、大きく成長している注目企業なのです。
今回は、2017年に代表取締役社長へ就任した西方 雄作さんにインタビュー、近年の成長ストーリーや、会社としてこれから目指すこと、それを実現するためにスタッフに求めるものなどを伺いました。
もくじ
今回、この方にお話を伺いました!
代表取締役社長
西方 雄作さん
東京都生まれ。2000年、伊藤忠商事株式会社に入社し、繊維カンパニーにおいて様々な事業立ち上げやコラボレーション企画開発などに携わる。2016年1月、経営戦略室 取締役として株式会社ビーズインターナショナルに入社。2017年、代表取締役社長に就任。
組織が抱えるすべての課題と向き合い、30ヶ月以上連続成長の組織へ
西方さんは15年勤めていた商社を退職し、2016年にビーズインターナショナルへ取締役としてご入社されましたが、そのときの事業状況はいかがでしたか?
正直なところ、良くはありませんでした。従業員満足度も低く、売上も振るわない、シンプルに言うと赤字でした。ですが、僕は前職の商社でビジネスパートナーとしてお付き合いをしていたころから「ビーズインターナショナルは勿体ない」と言い続けてきました。
ビーズインターナショナルが展開している「XLARGE(エクストララージ)」「X-girl(エックスガール)」といったブランドは、当社が世界中の商業権、営業権を保有しています。しかし、実際は日本国内でしか展開をしていませんでした。これは宝の持ち腐れだ!と感じていたのです。
ECの発展により、ビジネスにおける国境の壁は低くなった。であれば、物流とシステムの仕組みを作ってしまえば世界中に販売できるだろう。そんな考えのもと、僕はもっと会社を大きくできると確信して入社しました。
なるほど、成長イメージは既に持たれていたのですね。ではご入社してからの3年間でどのようなことをされたのでしょうか?
グローバルビジネスをはじめ、チャレンジしたいことはいろいろありましたが、そのためにまず必要だったのは、経営を立て直し、力強い組織を作ることでした。そこで、会社の課題を可視化するための洗い出しを行いました。100や200は出てきたと思います。それを幹部たちと「全部向き合って改善しよう!全部やれば会社は絶対によくなるから!」と覚悟を決めて、本当にすべて取り組みました。
たとえばどのような取り組みですか?
店舗も本社も幹部も僕も社員全員が同じところに向かえるよう、明確なビジョンを作りました。ただ作っただけでは機能しないので、同じ方向に力を注げるよう評価制度を整えました。評価するには、自分がどれだけ企業に貢献したかを知る必要があるので、売上だけではなく、営業利益や粗利や在庫、会社の情報をすべて社員に開放しました。そして、「今会社はこういう状況で、この数値がこれだけ上がれば成果に応じてインセンティブが出せます」と、社員へのリターンを明確にしました。
それによって、社員一人ひとりが、「自分たちがどこに向かい、どれだけ頑張ったらどのように評価され、リターンがあるか」というゴールを描けるようになりました。
実はそれまではこの「ゴール」が不明確で、まさにゴールテープのないマラソンをしている状態でした。真面目に一生懸命頑張るけれども、どこに向かうかもどれだけ走るかもわからず、とにかく必死に走り続ける。ゴールがないので、ここでダッシュしよう、ここは少し落ち着こう、といったペース配分もできない。周りがどこを走っているかも分からず、どこにも辿りつかないので、達成感もない。しんどかったと思います。
ゴールの見えないマラソンにテープを引く作業を行った、ということですね。そのゴールを作るための課題の可視化はどのように洗い出したのでしょうか?
みんなが心の中に閉まっていた、抱え込んでいたことを全部吐き出す機会を作ったんです。そういう場がないと、何か思うことはあっても、一人では解決できなくて黙ってしまったり、裏で言ったりするだけで終わってしまう。だから会社も課題の本質を把握できなくて、会社や社員の成長を阻んでしまっていたんです。
なので、お互いがお互いのことをもっと知る機会を作ろうと。会社は売上だけじゃなくさまざまな情報を開示する。四半期に一度は社内報を発行し、普段関わらない社員のことも分かるようする。社員も思ったことを開示して、みんなで話し合う。僕が代表して意思決定し、自分たちが合意した方針に沿って動いていく。そういうことを重ねていくことで、一緒に働く仲間たちや会社のことに関心を持つようになり、一人ひとりの仕事への向き合い方が変わっていきました。みんなが同じ方向を向いて、力を発揮できるようになったんです。
みなさんの頑張りが報われる組織になったということですね
そうですね。結果が出始めるまで8~9か月くらい、苦しかったですけど、次第に昨対比や予算比が100%を超える店舗、事業部が増えてきました。そこからは今も継続して30か月連続で昨対比140%成長、従業員満足度も3年前の32%から84%まで改善されました。
自身のキャリアと向き合い、長く活躍し続けるための“チャレンジマインド”
少し話は変わります。若年層向けのブランドの場合、年齢を重ねることでギャップに悩み退職するという話をよく伺うのですが、ビーズインターナショナルではいかがですか?
当社では、「XLARGE(エクストララージ)」「X-girl(エックスガール)」「MILKFED.(ミルクフェド)」などのストリートブランド以外に、スポーツファッションセレクトショップ「Styles(スタイルス)」、カリフォルニア風ライフスタイルショップ「COMMUNITY MILL(コミュニティミル)」など、いくつものセレクト事業を行っています。歳を重ねた上で魅力的に働ける環境があるので、今度はそこで新しいキャリアを歩んでいくことができます。ストリートカルチャーというキーワードで、何歳になっても長く働ける会社づくりを目指しています。
5年後、10年後にも働けるイメージが描ける組織だと安心ですよね。
ここ数年で評価制度を見直したり、表彰制度を設けたり、年に1度、キャリア意向を会社に言える機会を作ったりして、一人ひとりが自身のキャリアについて考え、成長し、長く活躍できる環境改善に取り組んできました。
長く活躍するためには、どのように自分が成長していきたいかを描く必要があります。なので、目標設定の際も、「今できることではなく、これまでしていなかったチャレンジングな目標を立てよう」と話をしています。失敗にビビってなにもしない社員よりも、結果的に損を出してしまったとしても、チャレンジした社員を会社は評価します。もし失敗しても会社が責任を取るので、安心してトライして欲しいです。
全員がひとつずつ、何か去年と違うことにチャレンジしたら、それは一人ひとりの社員にとっても会社にとっても大きな成長のチャンスとなります。それが理想の組織の形ですね。
チャレンジマインドを持つために必要なことは何だと思いますか?
さまざまなことに興味を持ってアンテナを張ること、そしてそれぞれの価値観を受け入れる柔軟性を持つことです。
新しい感覚や価値観は、ファッションに限らず様々なヒトやモノ、コトと関わって、体験して、吸収することで生まれるものです。どんどんとアンテナを張って、そこからたくさんのヒントを拾うことができれば、次はこんなことをしてみたいな、これを組み合わせたらこんなことができるんじゃないか、というモチベーションになります。
当社では月の平均残業時間が約7時間、集中してコンパクトに仕事をすることでプライベートの時間を十分に設けられます。子育てしながら在宅勤務、といった多様な働き方も今後検討していきますので、ぜひ公私ともに充実した日々を送っていただきたいです。
またビーズインターナショナルでは、もともと持っていたロサンゼルスのアメリカ法人に加え、昨年は中国の上海にも法人を設立しました。それらを拠点として、今以上にグローバルな感覚・感性で仕事をする機会がぐっと増えてきます。現在日本のオフィスでも外国籍のスタッフが4名在席していて、今後も確実に増えてきますので、そういった中でお互いの価値観を受け入れ、個性を活かしあえる組織でありたいと考えています。
“受け入れ、変化していく”ことがビーズインターナショナルのカルチャー
これからますますの成長を目指すうえで、ビーズインターナショナルとして考えていること、チャレンジしていることをお聞かせください
いろいろありますが、3つご紹介します。
まずは、教育プログラムの整備。年次や経験、ポジションに応じた研修を受けられるようにします。
たとえば数字が苦手よりは強いほうがいいから簿記、知っている単語は多いほうがたくさんの人とコミュニケーションが取れるからTOIEC、といったトレーニング環境を会社で用意して、店舗・本社問わず、社員は誰でも無料で受けることができます。これらは、これからどんなキャリアを歩んでいくとしても必ず役に立ちますので、どんどん活用してスキルアップしてもらいたいです。
ふたつ目は、組織作りです。
当社のターゲットは若年層がメインなので、メインでビジネスを動かすのは20~30代でありたいと考えています。20~30代の社員が組織の中心にいて、より新しく、面白く、濃いアイデアをどんどん出していく。ただ、どうしても知識や経験の足りない部分があるので、40~50代のベテランがサポートする。経験がないと新しいことができない組織では、いつまでたっても成長できません。若い社員が良い意味で恐れずどんどん新しいことにトライできる環境を作っていくことが、組織にとっても、お客様にとっても良いシナジーを生み出せると考えています。
最後は、グローバル展開です。
当社の自社ECサイトをグローバル版に拡張するため、物流とシステムの準備を進めています。
ストリートカルチャーに興味のある世界中の方々が、当社のサイトを通じてコミュニティを育み、実際に商品が欲しいと思ったらその場で購入し、48時間以内に届く、というイメージ。3年後には実現したいですね。
また、これは国内外にかかわらずですが、店舗とECがそれぞれどのように在り、連動すればカスタマーサクセスを実現できるかを模索しています。まずは国内でオムニチャネル化にトライし、そこでの知見をもとに、グローバルにも展開していきたいです。
ありがとうございます。では最後に、ビーズインターナショナルに興味を持つ求職者の方に向けて、メッセージをお願いします。
ビーズインターナショナルは、バラエティ豊かなメンバーによってカルチャーを形成しています。そのカルチャーは固定されたものではなく、新たなメンバーたちによって、その形をどんどん変えていきます。
「うちはこういうやり方だから」と枠にはめ込んでしまうスタイルでは決してありませんので、これまでの経験の中の成功体験や良かったことは、どんどん発信していっていただきたい。僕たちはそれをどんどん吸収し、より良い組織にしていきたい。そう考えています。
入社して、もし「ここをこうすればもっと良くなるのにな」と感じた点があれば、それを我慢して無理する必要はまったくありません。それはあなたの手でより良くしていくことができますし、そうしてみんなが働きやすい環境を育んでいきたいと考えています。ぜひ一緒にこれからのビーズインターナショナルを創り上げていきましょう。
西方さんにASK!ビーズインターナショナルに転職した理由は?
前職の商社からビーズインターナショナルに転職したきっかけは何だったのでしょうか?
商社では、さまざまな仕事に携わり、貴重な経験を積むことができましたが、僕はもともと小売やEC、マーケティングといった川下の部分に興味がありました。しかし商社ではなかなかそういう機会を持ちづらく、次第に自分の立ち位置を変えて新しいチャレンジをしたいなと思うようになりました。
ビーズインターナショナルは商社時代の取引先として付き合いがあり、そのご縁で現会長(皆川伸一郎氏)と自身のキャリアや実現したいことなどを話す中で、ここでのチャンスをいただきました。
新たなチャレンジを考えたときに、おそらく次の道は1本ではなかったと思いますが、最終的にビーズインターナショナルへ転職した決め手は何でしたか?
商社は基本的に「個」で仕事をする組織で、もちろん同僚も仲は良いのですが、いざ仕事となると、ともすると味方のボールを奪ってでもゴールを決めないといけないような環境でした。それはそれで成長できたものの、自身の会社を持つ友人が、さまざまなコミュニティを作り、家族のように助け合える仲間たちに囲まれているのを間近で見ていて、素敵だなと憧れていたんです。
また、前職がそうだったのですが、大企業になるほど承認経路が多く複雑になり、スピード感が鈍ってしまうことが歯がゆくて、次の環境では、僕自身の意思決定でスピード感を進めていきたいと考えていました。
ビーズインターナショナルからは、その両方がかなえられる取締役というポジションを用意してくれたので、それが一番の決め手になりました。
XLARGE、X-girl 等(株式会社ビーズインターナショナル)
事業内容 | 衣料品・雑貨品企画販売、販売促進活動、EC事業、映画配給 |
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事業所 | 本社:東京都目黒区東山1-1-2 東山ビル7F |
設立 | 1990年12月 |
代表者 | 代表取締役社長 西方 雄作 |
従業員数 | 258人(2018年2月現在) |
資本金 | 4,500万円 |