アパレル企業特集

2019.04.12

寺田倉庫

"文化を創造する企業” 寺田倉庫はなぜ、
ユニークな事業や制度を生み出し続けるのか

天王洲にオフィスや倉庫を構える寺田倉庫。もともとアパレル業界で長く手腕を振るってきた中野善壽氏が2012年に寺田倉庫の代表取締役に就任すると大きな組織改革を実施。現在の形である"文化を創造する企業”へと変化を遂げました。今回は、人事グループリーダー兼 人財開発室 室長の木村哲章さんにインタビュー。寺田倉庫が展開するユニークな事業や、本質的な社員の成長を後押しする制度の数々についてご紹介いただきました。

寺田倉庫を知る人は「ユニークで創造性の高い会社!」
知らない人は「倉庫の会社?」
こんなにもイメージが異なる企業は珍しい

まずは寺田倉庫について簡単にご紹介いただけますか?

寺田倉庫は1950年、東京・天王洲で設立された企業です。「モノだけではなく、価値をお預かりする」という理念に基づき、ワイン・アート・メディア保管を軸に事業を展開しています。従来の倉庫業の概念をさらに深化させ、「モノ」にとどまらず、あらゆる「価値」の保存、継承に取り組んでいます。

ファッションに関連するところでは、国内外のそうそうたるブランドがコレクション発表を寺田倉庫のイベントスペースで行いましたね。

はい。国内外さまざまなラグジュアリーブランドやコレクションブランドのランウェイなどで、寺田倉庫のスペースが採用され、多くの方に足を運んでいただきました。寺田倉庫では、文化の創造を一つのテーマにしていて、イベントスペース事業に限らず、アート事業や建築、ワインなど、”文化“をキーワードとしたさまざまな事業やイベント、取り組みを行っています。

“倉庫“と名の付く社名からは想像もつかないほど多岐にわたる事業を行っていらっしゃいますが、たとえばいくつかの事業をご紹介いただけますか?

ITと保管と物流システムを組み合わせて、だれもが箱単位で倉庫を持てる「minikura」や、映像フィルムや音楽の原盤など、環境によって劣化してしまうようなメディアを適した温度・湿度管理の中で劣化しないように保管する「MOVIE & AUDIO MEDIA STORAGE」、ワインを最適な環境で保管し、それをウェブ上で管理できる「TERRADA WINE STORAGE」、ビジネス文書や磁気テープなどの情報媒体を保管する「TOTAL DOCUMENT SOLUTIONS」、美術品を保管する「ART STORAGE」など、単に“モノ”だけでなく“価値”をお預かりするという価値観でサービスをご提供しています。

ほか、希少で良質な画材が手に入る「PIGMENT TOKYO(ピグモントーキョー)」、建築模型に特化した「建築倉庫ミュージアム」やイベントスペース、天王洲エリア全体の地域活性化、アーティスト支援、各種イベントや展覧会といったアート関連事業など、幅広く展開しています。

それぞれに担当者がいて事業展開をしている、ということでしょうか?

そうですね、サービスごとに事業部化されていて、それぞれに事業運営や企画などを行う担当者が所属しています。

社員の方々はどういった経歴・キャリアをお持ちの方が多いですか?

採用において経験業種・業態のこだわりはなく、さまざまな業界から集まってきています。
アパレル業界出身の社員も何人かいますよ。代表の中野自身、伊勢丹や鈴屋(青山ベルコモンズ)など、長くアパレル業界で手腕を振るっていましたから。ほか、アパレル販売出身で、店舗の運営管理を行っている社員や、アパレルメーカーで海外事業展開に携わっていて、現在新規事業のビジネススキームを構築する仕事をしている社員など、多方面で活躍しています。
当社では様々な事業を展開していますが、それらをシンプルに表現すると「サービス業」です。お客様には富裕層の方々も多くいらっしゃいますので、ラグジュアリー商材を取り扱っていた方などもご活躍いただけると思います。


長く自分の好きな仕事を実現するために

寺田倉庫では、事業と同じくらい、働き方や人事制度に関してもユニークな考えをお持ちです。とある記事では、「5年で辞めろと社長が公言」という特集をされていましたね。

尖ったキャッチコピーですが(笑)、実際に5年で辞めろというわけではありません。それくらいのスパンで成長し、新しいチャレンジをしようということです。当社では、たとえば「3年後に起業するためのスキルを身に付けるために寺田倉庫で働きたい」という方も歓迎しています。また、数年の経験を経て、社内の別事業にチェンジするということも可能です。
スピード感を持って事業を動かしている寺田倉庫であれば、5年の経験で市場価値は必ず上がります。そのスキルアップやキャリア形成に見合ったチャレンジをして欲しい、というのが真意です。

なるほど。雇用形態が「契約社員」なのもそういった思いからなのでしょうか。

自分のキャリアを真剣に考えている人は、この1年でどんな経験を積みたいか、具体的なイメージを持っています。そういう社員と会社とが1年に1度向き合って、「この1年、どんな成長ができたか」「これからの1年、どんな成長をしたいか」を確認し合い、1年ごとに「次の1年も共に成⻑しましょう」と雇用契約を更新しています。

この根本には「日本の終身雇用制度は破綻つつある」という考えがあります。"定年まで会社が守る”と言うと聞こえは良いですが、それはつまり、いずれ定年という言葉で体よく関係性が終わってしまうということでもあります。人生100年時代に突入するこの時代において、会社に守られている意識で長年働いてきた人間が、定年後の人生を主体的に歩めるのか?社会に必要とされる人間でいられるのか?その時に後悔するような生き方にならないためにも、「なりたい自分」と真剣に向き合って、一つひとつ経験を積み重ねて、長く自分の好きな仕事を実現していって欲しい。個人と会社が平等であって、そうした人々が常に成長し続けられる組織でありたい。というのが寺田倉庫の考えであり、雇用の考え方の軸となっています。

雇用される側からの正直な印象として、1年契約をリスクに捉える方もいると思います。実際に契約を更新しなかった実例もあるのでしょうか。

あまりありませんが、ゼロでもありません。ただそれは、営業成績が悪いなどといった単純な理由ではありません。たとえば、事業展開のスピードが速いので何らかの理由で会社のスタンスと合わなくなってしまった、寺田倉庫で働くことが社員と会社の両者にとって幸せな形ではなくなったなど、キャリアやカルチャーがマッチしなくなってしまったという観点で判断したものです。
現在の離職率は30%弱ですが、その中には事業会社の設立による関連企業への転籍も含まれますので、実際の離職率は20%弱です。当社には人財の流動性は必要だと考えているので離職率は特に気にしておりません。

ほか、寺田倉庫ならではのユニークな制度や取り組みを聞かせてください

いろいろあるのですが、2つご紹介したい制度があります。

ひとつは退職金制度です。
1年契約という雇用関係の意図を理解し、寺田倉庫でなら成長できる!というチャレンジマインドを持った人には、会社としては還元していきたいという思いから、5年以上在籍した社員が退職すると、年俸100%の退職金が支給されます。近年では退職金制度自体がない企業が増えていたり、あっても3年以上在籍した社員が対象だったりしますが、寺田倉庫の場合、1年在籍すれば年俸の20%が支給、以後1年毎に20%ずつ増えていって5年以上で100%を支給しています。
将来的に起業を目指している人などは、この退職金が事業立ち上げの資金として使えるので、非常に魅⼒的ではないかと思います。

社員を信頼し、応援する素敵な制度ですね。もう一つはどういったものですか?

もうひとつは、コミュニケーションコインというものです。
ゴールド(5万円)、シルバー(1万円)、ブロンズ(5000円)、スマイル(1000円)の4種類のコインと、ドクロコイン(マイナス5000円)のコインが半年に1度、全社員に配られます。社員は、同僚や上司、部下に対して、自分の気持ちをコインで渡します。たとえばAさんの行動に対してBさんが「ありがたいな」と感じたとき、BさんがAさんにシルバーコイン(1万円)を渡す。また、今日のCさんとの会議は有意義だったけど、遅刻したからドクロコイン(マイナス5000円)を渡す。という具合です。配布ルールの決まりはなく、自分の気持ちを伝える側の裁量で金額を決めます。その裁量を全社員が持っています。
その場で言葉を添えて直接コインを渡すこともありますし、メッセージを添えて渡したり、ポチ袋のようなものに入れて渡したり、人それぞれ、コインを使って思いを届けています。

コミュニケーションコイン、初めて聞きました!どういった背景で生まれた制度なのですか?

その名の通り、コミュニケーションを活発化させようというのが導入意図です。感謝など自分の気持ちを形にすることで、それをきっかけに思っていることを伝え合って、信頼関係の構築や仕事の円滑化・効率化につなげています。
もうひとつ、当社には「今日できることは今日中にやる」という考えがあります。「ありがとう」「もう一歩!」と思っても、その場で言葉にしなければ、すぐに忘れてしまいますよね。そんなときにコミュニケーションコインを活用して、その場で伝えることが当たり前になる文化を醸成していきたいと考えています。

受け取ったコミュニケーションコインは評価などに繋がるのですか?

直接の評価には繋がりませんが、受け取ったコインは、年俸とは別に半年に一度、給与として支給されます。コインの単位は「円」なので、受け取った金額がそのまま支給額となります。そんな社員は過去いませんが、もしマイナスになってしまっても、その分が徴収されることはもちろんありません(笑)。


これまでの経験を活かし、これまでとは違うビジネスの中でチャレンジする

寺田倉庫で働く一番の魅力は何でしょうか?

社員それぞれでまた違うとは思いますが、アート、建築、ファッション、カルチャーなど、何らかの形で文化的なものに興味がある方にとって、「文化を創造する」という寺田倉庫のビジョンは魅力に感じられると思います。
また、常に新しいことを求め、チャレンジと変化を重ねている企業なので、新しいサービスの立ち上げに携わったり、⾃分⾃⾝がプロジェクトリーダーとして手を挙げて立ち上げたりすることもできます。常に世の中のマーケットやトレンドにアンテナを張り、行動に移していく環境なので、驚くほどのスピードで成長することができるのも、大きな魅力ではないでしょうか。

では最後に、こんな人と一緒に働きたい、というメッセージをお願いします。

職種やポジションを問わず全員に共通する点として、まずは会社のビジョンに共感してくださる方に来ていただきたいです。もう一点、繰り返しにはなりますが、寺田倉庫は自分のキャリアと真剣に向き合い、寺田倉庫で何を実現したいかを明確に持っている方が活躍できる会社です。
採用面接の中でも、「寺田倉庫の考え方がおもしろい」「一緒にチャレンジしたい」と言ってくださる方が多くとても嬉しいのですが、その中でも、ご自身のキャリアと照らし合わせて、何にやりがいを見出すのかをより具体的にお話いただける方は、一緒に働くイメージが湧きますね。

他にはないビジネスを展開している企業なので、どの業界でどんな仕事をしていたとしても、過去の経験を100%の形で活かせる会社ではないかもしれません。ただそれは、これまでの経験が無駄になるということではなく、むしろそれらを武器に、これまでとは違ったビジネスモデルの中で新しいチャレンジができるということです。その環境におもしろさを感じ、寺田倉庫で成長したい!というチャレンジマインドをお持ちの方、ぜひお待ちしています。

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事業内容 保存保管業
その他関連事業(ワイン・メディア・美術品等)
不動産(空間プロデュース)の企画・設計・運営
事業所 本社:東京都品川区東品川2-6-10
設立 1950(昭和25)年10月
代表者 代表取締役 中野 善壽
従業員数 131人(2019年3月現在)
資本金 1億円

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