アパレル企業特集
2019.07.10
A.Q. ANTIQULOTHES(株式会社ゲオホールディングス)
リユースショップから生まれたカジュアルブランド
アンティクローズが持つ強みとは?!
全国に約600店舗、日本最大規模を誇るリユースショップ「セカンドストリート」「ジャンブルストア」。2011年、ここから誕生したプライベートブランドが、「A.Q. ANTIQULOTHES(アンティクローズ)」です。リユースショップを通じて何千着、何万着という洋服を見てきたからこそ、作り出せるものがある、というのがアンティクローズのメッセージ。通常のアパレルとはちょっと違う環境から誕生したアンティクローズとは一体どんなブランドなのか?その特徴にせまるべく、リユース商品課 マネージャーの五雲寺(ごうんじ)さんと、リーダーの井中(いちゅう)さんに、お話を伺いました。
今回、この方にお話を伺いました!
リユース事業部 リユース商品課 マネージャー
五雲寺 徹さん
アルバイトを経て新卒でセレクトショップに入社。
ショップスタッフからスタートし、フロアリーダーと在店のリピート商品バイヤーを兼務し、ショップと本社を繋ぐ役割を担う。8年の勤務を経て、ライフスタイルの変化などをきっかけに転職を決意。大手企業とベンチャー企業を中心に転職活動を行い、2011年、ゲオに入社。リユースファッションストア「セカンドストリート」で店長・エリアマネージャーをつとめる傍ら、アンティクローズのブランド運営に携わり、現在はリユース商品課で、アンティクローズ運営・バイイング・中古買取品の品質管理の3チームをマネジメントしている。
リユース事業部 リユース商品課 ANTIQULOTHES リーダー/運営管理
井中 卓也さん
新卒でゲオに入社。もともとファッションが好きだったこともあり、セカンドストリートの衣料服飾専門店であるジャンブルストアに店舗スタッフとして配属。神奈川・東京複数店舗の店長を務めながら並行してアンティクローズの商品企画に携わった。アンティクローズの専門部隊が立ち上がるタイミングで正式に異動、現在はブランドリーダーに加え、店舗・EC運営、ディストリビューターのリーダーとしてマネジメントしている。
一次市場でも二次市場でも戦える
リユースから生まれたカジュアルブランド、アンティクローズ
五雲寺さんは2011年に転職でゲオにご入社されていますが、ゲオを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
五雲寺:セレクトショップの停滞を感じ始めたことと、自身の自己実現とキャリアアップを行うことが一番の理由です。
前職がアパレル業界だったので、経験を活かすためにファッションに携われる企業を中心に受けていたのですが、ちょうどゲオがセカンドストリートと提携したタイミングで求人を出しており、大手企業で将来の幹部候補という条件、ファッション経験を活かせる、古着ファッションが好き、などから興味を持ちました。
もうひとつ、当時の僕の考えで、リユースは必ず今後拡大していくマーケットだと感じていたので、ビジネスとしての可能性も含め、最終的にゲオへの転職を決めました。
セカンドストリートはリユース商品を扱う業態ですが、それに対して「アンティクローズ」というプライベートブランドを立ち上げた理由は何だったのでしょうか?
五雲寺:セカンドストリートはリユース商品を扱うという特性上、トレンドからやや遅れたタイミングで商品化する傾向にあります。それでも十分にニーズはありますし、トレンドに捉われない定番商品も多数あるのですが、ことファッションに関して言えば、トレンド商品を投入することでさらに売上を伸ばしていけるのではないか?と考えたことがきっかけでした。僕もかつてそうでしたが、新品商品と古着を両方楽しむ方は多いので、お客さまに対する提案の幅を広げて、ファッションをもっと楽しんでいただきたい!と誕生したのがアンティクローズです。
なるほど、トレンドの新品商品とリユース商品を織り交ぜることで、より購買意欲を高めようということですね。ターゲットはセカンドストリートの購買層と同様ですか?
五雲寺:はい、そこは今一番の販売チャネルなので見据えています。加えて、現時点で2店舗あるアンティクローズの直営店と自社ECサイトを展開していく中で、商品とコンテンツ、チャネルをより一気通貫していくため、現在リブランディングを進めています。基本的なスタイルはカジュアルで、機能性も備えていて、年齢では縛らないボーダレスなイメージ。それをより詳細まで掘り下げて、ブランドの成長を加速化していきたいと考えています。
リユース業態から生まれた、という点において、通常のブランドとアンティクローズの違いはありますか?
五雲寺:ものづくりそのものは変わらないと思いますが、ビジネスという側面で見るといくつか独自の強みがあります。
まずアンティクローズの一番の強みは、全国に600店舗あるセカンドストリートで展開できる、というスケールメリットです。ある程度の規模感でものづくりができるので、たとえばオリジナルの生地を作ることもできますし、またそれらを高コスパでお客様に商品を提供することもできます。幅広い企画が実現できることは、ものづくりする上で大きな強みであり、面白さではないかと思います。
ブランド誕生時点で販売チャネルが確立されているのは大きな強みですよね
五雲寺:一次市場でも二次市場でも戦えるという点もアンティクローズならではの特徴ですね。
ブランド単独での展開だけでなく、リユースアイテムとのコーディネーションも提案できますし、郊外やロードサイドを中心に、老若男女の方の目に触れるので、購買層が広いことも特徴です。
セカンドストリートには全店舗で展開されているのですか?
五雲寺:プライベートブランドなので多くの店舗で展開していますが、一部取り扱っていない店舗もあります。商品のバイイング権限は各店舗にあり、アンティクローズの商品もいちバイイング商品として、取り扱いの是非を店舗で判断しています。なので、商品の種類やボリューム、店舗VMDなどの展開方法なども店舗それぞれで違っています。
それはつまり、通常のアパレルと比べて、売上がアンコントローラブルであるともいえます。店舗の裁量によって売上が左右されてしまうためです。そこでアンティクローズでは、日々の目標を売上金額ではなく、<ROI(投資利益率)>つまりどれだけ利益貢献したかという指標を図ることで、健全なブランド成長を目指しています。
良い商品を提案して、お客様の生活を豊かににしたい
お二人にとっての仕事のやりがいは何でしょうか?
五雲寺:僕はもともとマネジメント志向が強くて、ショップ時代もフロアリーダーや店長、エリアマネージャーとしてキャリアアップし、現在はアンティクローズをはじめ、3つのチームを統括しています。2011年にゲオに入社し、自身の成長とともに次のステージにチャレンジできる機会があり、担当領域を拡大することができているのは、大きなやりがいに繋がっています。
会社の都合もあるので、なかなか自分の考えだけでうまくいくものではありませんが、アンティクローズを成長させてひとつの部署にしたり、スピンオフして子会社にしたり、そこまでの組織を創り上げていきたいという思いがあるので、そこに向かってのチャレンジです。
学生時代もアルバイトするくらい洋服が好きなので、「衣料」というフィールドでそれが叶えられているのはとても嬉しいことです。
井中:僕も元々洋服が好きだったものの、服飾の専門学校を出ていなければ、アパレル企業で働いたこともありません。そんな中、新卒でゲオに入社し、ジャンブルストア・セカンドストリートで店長まで経験し、アンティクローズというファッションブランドを育てていく事業に携われているのは、本当に貴重で面白い経験だと感じています。
アンティクローズは少数精鋭なので、業務範囲が広くて裁量も大きく、大変なこともあります。ただその分、本当に色んな経験ができるので、自分自身の成長にも繋がっています。
良い商品を提案して、お客様の生活を豊かににしたい。自分たちの手でブランドを大きくして、一緒に成長していくことが日々のモチベーションです。
業務範囲が広く、業務量も多い中で、実際に働く環境としてはいかがでしょうか?
五雲寺:当社は、祝祭日や夏季休暇、年末年始休暇は有給として扱うルールなので、ちゃんと休みが取れるのでしょうか?と心配されることも多いのですが、会社として有給奨励日という扱いになっているため、ほとんどの社員はちゃんと休みます。なので実働として、土日祝日と夏季休暇、年末年始休暇はしっかり取ることができます。
私用で通常の平日に有給を取ることももちろん可能です。裁量が大きいということは、自分で業務コントロールをしていくということなので、周りと適切な調整をしておけば、まったく問題ありません!
井中:今、五雲寺が話したとおり、周りと連携しながら自分の業務をしっかり遂行できていれば、時間の使い方についての自由度は高いので、働きにくい、休みにくい、という感覚はほとんどありません。また、主婦をしながら時短で働いている社員や、転勤不可のエリア社員などもおり、ライフスタイルに合わせて雇用条件に折り合いをつけて働いている社員も多くいます。今、アンティクローズのチームにはいませんが、会社としては産休・育休から復帰して働いている社員もいます。
五雲寺:当社は一部上場企業なので、コンプライアンスを逸脱したルールはありませんし、ガバナンスもしっかりしています。なので、そこは企業に所属する上での安心材料として捉えていただいて、アンティクローズを通じてご自身が自己実現したいことを思いっきり実現していただきたいと思っています。
目指すは“サステナブル”なブランド
洋服を通じて社会的責任を果たす存在になっていきたい
アンティクローズの今後の事業戦略はいかがでしょうか?差し支えない範囲でお聞かせください
五雲寺:ひとつ僕がブランドの付加価値として考えているのが、洋服を通じた社会貢献です。SDGs(エスディージーズ)、エシカル、サステナビリティなどといった言葉で表現されますが、世の中のさまざまな社会課題に対し、アンティクローズとしてどのようにコミットメントし、課題解決していくか。会社の方針としてはコンセンサスを取っているので、これから具体化していくところです。
それは、やはり“リユース事業”から発想されたものなのでしょうか?
五雲寺:それもありますね。ただ、それを抜きにしても、これからの時代、社会的な責任を果たしている事業でないと生き残れないと僕は考えています。たとえば自動車の排気ガス規制って、今や当たり前のものとして認知されていますが、アパレル業界はそうした動き出しが他業界と比べてやや遅いように感じます。近年になりようやくアパレル業界でもサステナブルがトレンドとして聞こえるようになり、日本でもいくつかの大手企業が取り組みをスタートしています。そんな中、我々もブランドとしては小規模ながら、社会的責任を果たすためのさまざまなチャレンジを行い、そうしたブランドの思いや世界観に共感してくださるファンの方々を創造していきたいと考えています。
これから具体化していくとのことですが、例えばどんな取り組みを検討されていますか?
井中:一部すでに取り組み始めているものもありますが、たとえばオーガニックコットンやペットボトルを再利用したポリエステル繊維の使用、下げ札の再生紙利用、地球環境に配慮した染料の使用などを考えています。
五雲寺:また、商社さんと一緒に献金・寄付系の施策も検討中です。生産を委託しているバングラディシュなど第三国でにはまだまだ多くのストリートチルドレンがいて、商品が売れたら10円・20円を寄付するような仕組みを作る、といったことも考えています。商品そのものに直結しない協賛も積極的に取り組んでいきたいですね。
一次市場でも二次市場でも戦えるのがアンティクローズの強み、というお話がありましたが、今後の強化ポイントはどちらになりますか?
五雲寺:二次市場であるセカンドストリートでは順調に展開できているので、主に一次市場である実店舗とECサイトを強化していきます。店舗については、アンティクローズの強みである低価格なカジュアルウェア・高コスパ・社会課題への取り組みに共感してくれる層が多く集まるSCを中心に、郊外展開を進めていこうと考えています。現在進行中のリブランディングがもうそろそろ着地し、秋冬からスタートを切れそうなので、そこに合わせて世界観を創り上げていきます。
アンティクローズが持つフィロソフィに共感・共鳴し
仲間たちと全員でブランドを創り上げていきたい
最後に、アンティクローズを成長させていくためにどんな方と一緒に働きたいか、メッセージをお願いします
五雲寺:まず大前提として、ブランドが持つ世界観やフィロソフィに共感と共鳴ができる方と一緒に働きたいですね。
そこがあれば、自然と能動的に自発的に、ブランドを良くしていくための動きを取っていくことができると思っています。まだまだこれからですが、ポテンシャルはとても大きなブランドです。ぜひ一緒にアンティクローズを育てていきましょう!
井中:個々の裁量で動いていくことが重要ですが、一方で少数組織なので、お互いに助け合いや支え合いなど、チームワークも同じくらい大切です。たとえば企画担当は企画だけをすればよいわけではなく、生産、販促、店舗などすべての関係者と連携して、全員で商品を届けるという意識で動いていかなければなりません。
一緒に働くメンバーを思いやり、コミュニケーションを取りながら成し遂げていくことが好きな方、お待ちしています。
- Webサイトに公開している
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A.Q. ANTIQULOTHES(株式会社ゲオホールディングス)
事業内容 | 複合メディアショップ「ゲオ」運営 総合リユースショップ「セカンドストリート」運営 衣料・服飾専門リユースショップ「ジャンブルストア」運営 総合アミューズメント店舗運営 宅配レンタルの運営 他 |
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事業所 | 名古屋本社:愛知県名古屋市中区富士見町8番8号 OMCビル 東京本部:東京都豊島区南大塚3-53-11 今井三菱ビル |
設立 | 1989年1月 |
代表者 | 代表取締役社長執行役員 遠藤 結蔵 |
従業員数 | 4,390名(グループ全体) |
資本金 | 89億4,400万円 |
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