アパレル企業特集

2022.07.05

Joint Space(株式会社シライ)

進化を続けるD2Cの先駆者~インフルエンサーと二人三脚で
ブランドを形にする企画デザイナーの仕事に迫る

創業50年あまりを迎える株式会社シライ。2000年にはインターネットを使ったD2Cの仕組みを構築したり、近年ではインフルエンサーとタッグを組んでブランドを複数立ち上げたりと、時代の変化にいち早く対応してきた企業です。
現在注力しているのは、インフルエンサーとのブランド展開を行っているEC・オンラインショップ事業。今回は企画部部長の野口さんと、企画生産MDの小山さん、企画デザイナーの市川さんにインタビューし、インフルエンサーとブランドを作り上げていく仕事の内容ややりがい、そして仕事を通じた成長について伺いました。

もくじ

今回、この方にお話を伺いました!

企画部 部長

野口 行成さん

企画部 部長 野口 行成さん

2014年にシライに転職。多様な商品構成に変化した現在にかけて企画・生産管理の業務に従事し、カテゴリー拡大に寄与した。現在は企画部の部長を務める。

企画部 企画生産MD

小山 正博さん

企画部 企画生産MD 小山 正博さん

新卒で就職した附属品関連の企業では営業を担当。その後の部署異動でOEMを担当。転職した2社目では百貨店を中心としたOEMの営業に従事。D2Cへの興味から、2022年2月にシライに転職。現在はMDとしての仕事に加え、一部ブランドの生産管理も担っている。

企画部 企画デザイナー

市川 綾乃さん

企画部 企画デザイナー 市川 綾乃さん

ファッションの専門学校でデザインを学んだ後に、アパレルメーカーに就職。ヤングレディースブランドの企画デザイナーとして6年ほど勤めた後、2021年12月にシライに転職。入社後は企画デザイナーとしての仕事に従事している。

インフルエンサーの世界観を商品にしていくプロセスこそが、
ブランドづくりの本質

まずはシライについて教えてください。

野口:シライは1983年にニット工場として設立しました。元々はニット縫製を請け負っていましたが、1993年にニット中心の小売事業を開始し、2000年にはインターネットを活用した一般のお客さまへの販売も始めました。
現在では、インフルエンサーの方と協働してブランドの立ち上げからご一緒し、弊社ECサイト「Joint Space」にて商品を展開しています。全部で7ブランドを展開しており、ニットに限らないアパレル商品から、食器などのアイテムまで、幅広い商品の製造・販売を行っています。

2000年からインターネットでの販売をされているのは早いですね!

野口:当時から弊社の中では、商品企画から販売まで自社でやっていきたい思いがありました。ただその頃のECは、今と比べたら全然広がりはなく、自社で販売するなら実店舗や展示会で、というのが王道の発想でした。ところが社長は、店舗を持たずに工場とお客さまが直接つながり、お客さまの意見が製造にダイレクトに反映できる仕組みの方がいいだろうと考えたんです。つまりD2C(※)のはしりですね。今となっては他社に先行したことによるノウハウ蓄積のアドバンテージを感じます。

※D2C……Direct to Customerの略。製造者が消費者と直接取引を行うこと。

現在注力されているインフルエンサーのブランドづくりは、創業からの事業であるOEMやODMとはどのような違いがあるのでしょうか?

野口:どんなアイテムを作るか企画・提案し、工場で商品を製造する点では同じですが、ブランドづくりの本質は、そのインフルエンサーの方の世界観を具体的な商品にしていくプロセスの中にあります。私たちは、インフルエンサーの方が作りたい商品を単に製造する外注先としてではなく、二人三脚でブランドをつくっていくパートナーのようなスタンスで関わっています。なので、企画から製造、そしてマーケティングに至る各プロセスでご一緒し、議論しながら進めています。


イメージされているものの本質を探り当てる、デザイナーの力が発揮される仕事

今回の募集職種である、企画デザイナーの仕事内容について教えてください。

市川:企画デザイナーの仕事をひと言で表すと、インフルエンサーの方と打ち合わせを重ねながら、商品を形にしていくことです。デザイナーや担当ブランドによって進め方のスタイルやインフルエンサーさんとの付き合い方は変わることもありますが、商品を形にしていく仕事であることは共通しています。

平均的な1日のお仕事の流れを教えてください。

市川:私の場合は9時半に出社して、だいたい午前中は企画の準備をしています。企画会議がある日は、インフルエンサーさんが10時頃に撮影に来られるので、撮影が終わり次第一緒にランチに行きます。私はインフルエンサーさんとの時間は長めに確保するようにしていて、そこでの会話やリール撮影、ロケ撮影などをご一緒することで、午後の企画会議に向けてお互いのテンションを上げていきます。午後に行うこの企画会議が、企画デザイナーにとってメインの仕事と言えます。インフルエンサーさんへの依頼事項の確認や、生地・デザインの打ち合わせなどを行います。
16時頃に企画会議が終わると、後の時間は修正箇所を直したり、発注や作業をしたりして18時半くらいに退社する、というのがよくある1日の流れですね。

小山:インフルエンサーさんとの打ち合わせには、基本的にMDも入ります。予算に合わせた商品企画になっているか確認したり、型数の調整をしたり、サンプルの依頼をどうしていくか、といった具体的な話を進める役割で入ることが多いです。他にも、販売について議論する際には販促チームに入ってもらうなど、会議の内容によって必要な人に入ってもらうような形で企画会議をしています。

お二人とも転職でシライに入社されていますが、どのような経緯だったのでしょうか?

市川:前職はレディースアパレルの会社でデザイナーをしていました。転職のきっかけはブランドの閉鎖でしたが、シライに入社を決めた理由は2つありました。一つは、前の会社は店舗型だったので、次はECを学びたいと思っていたこと。もう一つは、シライの社長の考え方が柔軟で、社員のやりたいことに応えてくれそうだと感じたからです。ブランドの立ち上げから成長までを見られるのも面白そうだと思いました。

小山:私は前職ではOEMの営業をやっていました。アパレルメーカーやD2Cに興味があったこともあって、シライに転職しました。決め手となったのは、柔軟な会社だと感じたことですね。社長の話を聞いて、やる気があれば自分でブランドを立ち上げることもできそうな職場だと思いましたし、2000年からD2Cに取り組んでいるのも、柔軟な発想があったからこそだと思います。

シライに転職してみて、前の職場と違う、もしくは同じだと感じるところはどんなところですか?

市川:違うのは、企画の立ち上がり方です。前職では自分でコンセプトを考えて、売れそうなものを自分で作っていましたが、今はインフルエンサーさんが発信するものを実現していく仕事なので、その起点の部分が一番の違いだと思います。逆に共通点としては、売れなければ在庫になってしまうことと、だから売れるものを作ろう、という意識です。自分たちが作りたいものと、市場的にいいと思ってもらえるもののバランスを取ることは変わりません。

小山:シライは、「こういうふうにやりたいんですけど」と提案すると、ある程度やらせてもらえることが多いように感じます。通常の会社だと、ルールの範囲内で業務を行うことが多く、やや窮屈な面があると思いますが、今の職場はストレスが少なくてありがたい環境です。
あとはアパレルだけでなく、お皿やフロアマットをはじめとする幅広い商品に携われているのも楽しいです。

インフルエンサーの方と商品を作っていく上で、気を付けていることはありますか?

市川:インフルエンサーさんと商品を作っていくプロセスは、ある意味デザイナーとしての力が発揮される部分だと感じます。インフルエンサーさんのイメージを形にすることはもちろんですが、私たちから提案したり、アイデアをブラッシュアップしていったりということもあります。そんなとき、自分の考えをどのように納得してもらい、やりたいと思ってもらえるか、提案の仕方や話の進め方も工夫しています。

インフルエンサーさんは洋服の勉強をしてきたわけではないので、発言をそのまま受け取るのではなく、その言葉の意味を読み解き、イメージしているものの本質を探り当てる作業が重要になってきます。このプロセスは一般的なデザイナーの仕事にはあまりないかもしれませんが、私にはとても刺激的で、学ぶことが多く、楽しい仕事だと感じます。


日々新しいことを学ぶ、刺激的な環境

お仕事の中で、やりがいや楽しさを感じるところを教えてください。

市川:インフルエンサーさんから出てきたアイデアが、自分には全く出てこないような発想だったりすることがあって、それを実際に作ってみたらめちゃくちゃ可愛かったりするんです。シライで仕事をする前は、自分の中から出てくるアイデアを形にすることがほとんどだったので、自分にはない新しい視点から生まれる商品を一緒に作っていくことに面白さを感じます。

あとは自己成長の観点で、いろいろな世界で使える引き出しが増えていっているように思います。
例えばコミュニケーションの面では、インフルエンサーさんの発言から真意を汲み取る力や、会話からインフルエンサーさんのアイデアを引き出す力が培われていると思います。デザイナーとしても、一般的なアパレルではあまり作らないアイテム、例えばグラスとかキーホルダーなども作っているので、デザインの引き出しが増えています。

小山:MDの仕事としては、「読めなさを楽しんでいる」一面がありますね。通常のアパレルは、展示会での商談や反応などを見て生産計画を立てる流れが一般的です。ところがECにはそのプロセスがないので、ECサイトやSNSの反応を見て追加生産や期中企画を進めたりすることがよくあります。そうした蓋を開けてみないと分からない部分は緊張感がありますが、フレキシブルに対応する面白さでもあります。

また、いいことも悪いこともダイレクトにインフルエンサーさんに届くのも、ECの特徴であり刺激的なところです。いいものを作って、これは良かった!可愛かった!と感想をいただければ、「よっしゃ!」ってなりますし、逆に問題があると言われたら、今後どうしていくかをチームで話し合います。なぜ売れたのか、売れないのかを分析して次につなげていくことは、マーケティングの勉強にもなっています。

社内の雰囲気について教えてください。

市川:同世代も多いので、和気あいあいとしています。
EC部隊やWeb制作チームなどの部署はオフィスが離れているため、直接会って話をすることは普段ないのですが、電話やオンラインでこまめにやりとりしながら仕事を進めているので、そんなに離れている感じはしません。誰とも距離が近く、相談し合いながら進められるので働きやすいです。

小山:シライは社長がものすごい現場主義なんです。現場に来ては一人一人に声を掛けてくれますし、1on1ミーティングもよくしてくれます。社員はほとんど全員が社長と1on1していると思います。社員の話を聞いて、こうしたらどう?と提案してくれたり、社長の考えを噛み砕いて説明してくれたり、そこまで社員と向き合う社長ってなかなかいないように思います。

こんな方と一緒に働きたい!というメッセージをお願いします。

市川:同僚に対しても、インフルエンサーさんに対しても、相手の真意を汲み取れることがまず重要です。さらに、自分の考えを納得してもらえるようなプレゼン力を持ちつつも、頑固になりすぎず、インフルエンサーさんが言っていることもやってみようと思える、柔軟な考えやバランス感覚を持っている方が合うのかなと思います。
デザイナーの人数は増えてきていて、それぞれに個性があり、担当するブランドごとの特徴に合わせて協力し合っています。お互いの強みを生かしたり、弱みをカバーし合ったりしながら仕事をしていける方と一緒に働けると嬉しいです。

小山:自由度が高くて任せてもらえるのがシライのいいところだと思います。幅広い仕事に関わることもできますし、日々情報収集して新しいことを勉強していくような、刺激的な環境ですね。 業務範囲や役割の制約があまりないということは、自分から仕事を見つけたり、課題に対して自ら解決したりする必要があります。そうした主体性のある方にとって、やりがいを持って働けると思います。

野口:創業して50年あまり、時代の変化に伴い、常に会社が変化してきたからこそ今があります。これからもそれは同様で、各部署、各個人が進化していかなければ、時代に取り残されてしまいます。それぞれ自分自身を進化させていきたいと考えていて、ファッション×IT・Webのビジネスに興味のある方がいらっしゃったら、ぜひお待ちしています。

Joint Space(株式会社シライ)

Joint Space(株式会社シライ)

事業内容 SPA事業(オンラインショップの運営)
事業所 本社:愛知県豊橋市問屋町6-2
東京オフィス:東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス2F
設立 1983年10月
代表者 代表取締役 白井 浩一
従業員数 130名(2022年6月現在)
資本金 2,000万円

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