アパレル企業特集
2023.03.24
MIRROR MIRROR(株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ)
夢を持ち、自分自身を変えていく――「鏡に映る自分を愛せるように」なる、ドレスコーディネーターの仕事とは
MIRROR MIRRORは、東証プライム市場に上場するブライダル企業、テイクアンドギヴ・ニーズのウェディングドレスショップ。同社運営の式場以外から予約する人も多く、著名人も利用する人気のショップです。今回は、現場のドレスコーディネーターとマネジメント、合計4名の方にインタビュー。想像以上に体力が必要というお仕事の内容や、仕事の苦労が報われるエピソードなど、たっぷりお話を伺いました。
今回、この方にお話を伺いました!
運営統括本部 ドレス事業部長
江澤 いずみさん
2006年に新卒でテイクアンドギヴ・ニーズに入社し、ウェディングプランナーとしてキャリアをスタート。その後マーケティング本部に異動し、MIRROR MIRROR立ち上げに参画。現在はドレス事業部の部長としてMIRROR MIRRORを統括する。
グループマネージャー
壬生 浩子さん
2011年に新卒でテイクアンドギヴ・ニーズに入社。ウェディングプランナーとして5年ほど経験し、その後ドレスコーディネーターの部署に異動。MIRROR MIRRORの副店長、店長を勤めた後に、エリアを統括するグループマネージャーの仕事に従事する。
ドレスコーディネーター
佐藤 真帆さん
前職はアパレル企業に勤め、販売および副店長の仕事に従事する。2017年にドレスコーディネーターとしてテイクアンドギヴ・ニーズに入社。現在は提携会場以外の顧客担当や、個人およびMIRROR MIRROR公式インスタグラムの運用を担う。1年で特に店舗に貢献したスタッフである優秀ドレスコーディネーターに選出された経験もある。
ドレスコーディネーター
植村 真優さん
前職はテレビ局で音声として番組作りの仕事に従事。2022年1月にドレスコーディネーターのアシスタントとしてテイクアンドギヴ・ニーズに入社し、半年後には正社員として登用され、現在はドレスコーディネーターとして活躍中。
潜在的な欲求を引き出し、お客さまにとってベストな一着をご提案する
まずは、江澤さんと壬生さんにお伺いします。はじめに、MIRROR MIRRORについて教えてください。
江澤:MIRROR MIRRORは、婚礼業界で国内最大手の株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの内製化事業として、2014年に立ち上げたドレスショップです。現在は表参道、丸の内、横浜、千葉に店舗があります。
ありがたいことに、テイクアンドギヴ・ニーズで結婚式を挙げるお客さまだけでなく、別の会場で結婚式を挙げる多くのお客さまからも、「あのMIRROR MIRRORでドレスを選びたい」とお越しいただいております。
多くの方から「MIRROR MIRRORでドレスを選びたい」と支持されるのは、どのような理由があるのでしょうか?
壬生:ひとつは幅広いラインナップです。日本未上陸のブランドを含むインポートドレスに加え、自社制作のオリジナルドレスも多数ご用意しています。たとえるならばセレクトショップのようなイメージです。
インポートドレスはデザイナーから直接買い付けており、オリジナルドレスは、年間で1万組以上の婚礼をお手伝いするテイクアンドギヴ・ニーズが、新婦さまの声を参考に作っています。多くの方のご希望を叶える品揃えが、ご支持いただいている理由だと思います。
さらには、幅広い選択肢がある上で、ドレスコーディネーターがお客さまにとってベストな一着をご提案します。表面的なご要望だけでなく、結婚式のテーマや、会場を決めた理由などを伺いながら潜在的な欲求を引き出し、結婚式全体をサポートするような姿勢でお客さまに向き合っています。
MIRROR MIRRORのドレスコーディネーターとして活躍されるのは、どのような方なのでしょうか?
壬生:結婚式に携わる者として、お客さまに幸せになっていただきたい、という気持ちの強いスタッフが多いです。出身業界はさまざまですが、特にサービス業やアパレルが比較的多いです。重要なのは経験よりも、お客さまを美しくするために頑張れること。想いの強いスタッフは、過去の経験を問わず驚くほどのスピードで成長します。
江澤:結婚式はお客さまにとって、とても期待値の高いイベントです。会場や料理など、様々な配慮が必要な中で、ウェディングドレスはお客さまがご自身のためだけに想いを込められます。ですから悩まれるお客さまはたっぷり悩まれますし、お打ち合わせ以外に相談のお電話をいただくこともあります。
人生の一大イベントと真剣に向き合うお客さまに寄り添い、ご満足いただくことにやりがいを感じられるかどうかが、ドレスコーディネーターとして大切だと思います。
壬生:テイクアンドギヴ・ニーズでは、スタッフに求めるものとして「Creativity(クリエイティビティ)」「Challenge(チャレンジ)」「Kindness(カインドネス)」の3つを掲げています。特に3つ目のKindnessは、お客さまに対してはもちろんのこと、仲間に対しても発揮して欲しいと思います。仕事は一人ではできませんから。
ドレスコーディネーターとして入社した方に対して、どのような研修制度があるのでしょうか?
江澤:中途入社の方は、まずテイクアンドギヴ・ニーズグループ共通の、会社の風土や制度についての研修を受講します。その後、MIRROR MIRRORでの研修が始まります。一人ひとりに教育担当者がつき、成長速度に合わせて研修プログラムを進めます。
壬生:初めてお客さまの接客を行うのは、入社から3〜4ヶ月後です。まずは先輩との2名体制で接客をスタートし、入社からおよそ半年後に独り立ちします。
ドレスコーディネーターは、身体に合わせてどのドレスが一番美しく見えるか、何センチ詰めればこのドレスが着られるようになるか、などの専門的な知識が必要です。しっかりとレクチャーを受け、十分なレベルに達した上で接客の場に出られる環境を整えています。
お互いに助け合いながら仕事を進めていく
続いて、ドレスコーディネーターの佐藤さんと植村さんにお話を伺います。お二人はどのような思いでMIRROR MIRRORに入社されたのですか?
佐藤:私は昔からファッションがとても好きで、前職は大手アパレルで販売の仕事をしていました。副店長までひと通りの経験を経て、さらにお客さまと深く関われる仕事をしたいと思っていたところ、一顧客一担当制のテイクアンドギヴ・ニーズがドレスショップをオープンしたことを知ったのが入社のきっかけです。
植村:私はテレビ局で音声の仕事をしていました。実は、新卒の時からブライダル業界に興味があったので、転職のタイミングで改めてブライダル業界を目指してみようと思い、テイクアンドギヴ・ニーズに応募しました。
実際にMIRROR MIRRORに入ってみて、どのような魅力を感じましたか?
植村:直接お客さまの表情を見ながら、一対一で向き合えることが魅力です。スタッフ全員で店舗を作り上げて頑張っていこう、という一体感を強く感じられるのも心強いです。女性メインの職場で働いた経験がなく、入社前は少し緊張していたのですが、皆さん本当に温かい方ばかりですぐに安心しました。
佐藤:転職前からの期待どおり、お客さまと深く関われる職場です。新郎新婦の両名がどのような経緯でご結婚に至り、どんなお式にしたいかを丁寧にお伺いする。それらをもとにお客さまにドレスをご提案し、喜んでいただく。そのすべてが魅力的で楽しいです。
ドレスコーディネーターの具体的なお仕事内容について教えてください。
植村:ドレス選びの最初から最後まで、ご不安なく結婚式を迎えられるよう、一緒に準備を進めていくのがドレスコーディネーターの役割です。
お客さまとの打ち合わせは、基本的に4回です。初回はお客さまのご要望を伺いながら、いくつかのドレスをご提案します。次の打ち合わせで、ドレスを選ぶための軸を絞り、より細かい部分を検討します。そして、アクセサリーやベール、グローブなどの打ち合わせを行い、最後にサイズ感の確認や補正、ウォーキングのトレーニングを行います。
佐藤:お客さまとの打ち合わせは担当スタッフが一人で進めますが、その裏では多くのスタッフと連携し合っています。たとえば、お客さまとの打ち合わせに時間がかかってしまったときには、別のスタッフが打ち合わせ後の業務を代わりに行ったり、その次のお客さまの対応をしたりするなど、助け合いながら進めています。お客さまへのご提案に悩んでいるときは相談に乗ったり、ドレスの補正箇所についてアドバイスをしたり、各スタッフの得意な部分を持ち寄って、フォローし合いながら仕事をしています。
仕事をしていて大変だと思うことはありますか?
佐藤:多くのお客さまにご支持をいただいているので、予約が重なると業務時間が長くなることもあります。それから、実は意外と肉体労働です。たとえばドレスは、ご自身でフィッティングできるものではないので、お着替えを全てお手伝いしますが、立ったりしゃがんだりドレスを運んだりと、想像以上に体力が必要です。
そうした大変さはありますが、最後に「佐藤さんに担当してもらえて良かった」「佐藤さんがいるから結婚式が楽しみになりました」という言葉ですべてが報われる仕事です。
植村:お客さま一人ひとり悩まれるポイントは違いますし、こちらが提案したことが当てはまらないこともあります。ドレスの好みも人によってまったく違うので、それらをすべて汲み取ってご提案するのはまだまだ難しく、一人でうまく答えが出ないときは、経験の長い先輩スタッフに相談し、アドバイスをもらいながら仕事を進めています。私のようにまだ経験の浅いスタッフにとって、とてもありがたく、働きやすい環境です。
私の言葉でこんなにも人の心を動かすことができる、と感じた体験
ドレスコーディネーターとしてやりがいを感じたエピソードがあれば教えてください。
植村:私がドレスコーディネーターとしてデビューして間もないタイミングで、ドレス選びにすごく悩まれたお客さまがいらっしゃいました。結婚式に対する思いがとても強く、お打ち合わせに何度もご足労いただいてドレスを決断されました。しかし、そのドレスがお客さまに一番合っているドレスなのか、私の中でずっと引っかかっていました。
その後、新しく入ってきた別のドレスを見て、「このドレスのほうが気に入っていただけるのではないか?」と感じ、決断後ではありましたが、再度ドレスをご提案しました。すると、新婦さまがそのドレスを見た瞬間に「これです!」と言ってくださって。その場にいたお母さまも、ドレスを着た娘さんを見て「本当に結婚するんだという思いが溢れてきました」と、3人で感極まったことがありました。
この仕事は、お客さまとの信頼の積み重ねが目に見える仕事であることを強く感じましたし、デビューして早々に「ドレスコーディネーターになって良かった」と思えたことが、この仕事の素敵なところだなと思いました。
佐藤:私が印象に残っているお客さまは、初めてご来店されたとき、とても悲しそうな顔をされていました。どうにか明るい気持ちでドレスを見ていただきたいと思い、フィッティングルームで「新郎さまはどんな人なのですか?」とお尋ねしたところ、「夫は、ドレスは何でもいいって言うんです」とおっしゃったのです。
そこで私は「何でもいいって、すごく素敵な言葉ですよ。新郎さまによっては、あれが駄目、これも駄目と言われる方もいらっしゃいます。新郎さまは着たいドレスを着ていいよ、と言ってくれる素敵な優しい方ですね」とお伝えしました。
後日、最終フィッティングの日に新婦さまからお手紙をいただきました。そこには、その日のことが書かれていました。夫とすごい喧嘩をしていたこと、この人で本当に良かったのかと思っていたこと、ドレス選びもテンションが上がらなかったこと。
そして手紙の続きには、「ですが、佐藤さんの言葉をきっかけに、この人を選んでよかったと思えるようになり、ドレス選びが楽しくなりました」と書かれていました。最後は「最高のドレスと最高の道筋に私を導いてくれて、ありがとうございました」と締めくくられていました。
私の言葉でこんなにも人の心を動かすことができる、と初めて感じた経験で、今もずっと大切にしているエピソードです。
MIRROR MIRRORは、何歳でも夢を持てる場所
お仕事をする中で、MIRROR MIRRORはどのような職場だと感じますか?
植村:私がアシスタントとして働きはじめた当初、ドレスコーディネーターの先輩たちから、日々数え切れないくらいの「ありがとう」の言葉をもらい、とても驚きました。アシスタントが私の仕事なので、当たり前のことをしていたのですが、それでも皆口々に「ありがとう、助かるよ」と言ってくれるのです。なんていい職場だろうと感動しました。
佐藤:この職場には、素直な人が多いと思います。「ありがとう」と気持ちを口にすることもそうですが、先輩のいい仕事を後輩が見て素直に吸収していくことで、新しく入ってきたスタッフがどんどん素敵に変化していくのを何度も見てきました。
植村:私自身、MIRROR MIRRORで働くようになって、すごく変わったと言われました。実は私はMIRROR MIRRORの面接を受けたとき、緊張もあってうまく笑顔になれなくて、実際に面接でもそのことについて指摘を受けました。「どうしたら変われますか?」と質問したのを覚えています。
入社後は笑顔を強く意識したわけではないのですが、MIRROR MIRRORで仕事をするうちに、自然と普段から笑顔になってきました。周りからも顔つきが柔らかくなったと言われ、環境で人は変われることを体感しました。
佐藤:入社直後は、どちらかというとクールな子だな、という印象だったのですが、本当に素敵な笑顔が増えて、どんどんキレイになっていったんですよ!
クールな印象がまったくないので驚いています!
それでは、今後の目標や、これからどんなチャレンジをしていきたいか教えてください。
佐藤:私は以前、MIRROR MIRRORを立ち上げたプロデューサーの野上に、キャリアについて相談したことがあります。そのとき、「憧れられる人になりなさい。後輩から『真帆さんみたいになりたい』と思ってもらうのがあなたの仕事だよ」と言ってもらいました。当時の私にとって野上は雲の上の存在で、「そんな人になれるだろうか」と思ったのですが、「あの野上さんにそう言ってもらえるなら、なれるかもしれない」とも思えたのです。
20代後半だった当時、この年齢から夢を持てるなんて思いもしませんでした。でも、この職場は何歳でも夢を持てる場所ですし、叶えることができます。野上に憧れた当時の私のように、自分自身が後輩の夢になれるよう頑張っています。
植村:実はアシスタントからの目標が、(佐藤)真帆さんなんです。真帆さんがいるからドレスコーディネーターになりたいと思えた、憧れの人です。真帆さんがいると店舗が明るくなりますし、お客さまからの信頼を得るのがとても早くて勉強になります。私も真帆さんが以前取った優秀ドレスコーディネーターに選ばれることを目指したいです。
佐藤:恥ずかしいですが嬉しいです(笑)。
一人のドレスコーディネーターとして、自立した女性像を確立し、後輩の道筋になっていきたいです。
結婚・出産したら自立して働きつづけることが難しい、という先入観は、特にブライダル業の中で今もまだまだあるように思いますが、子どもを産んでも仕事で輝き続けられるんだよ、ドレスコーディネーターという仕事を経てさらにステップアップできるんだよ、ということを見せて、夢を与えられる存在になりたいです。
鏡に写った自分を見て、輝けているなと思える環境
最後に皆さんに、どんな方がMIRROR MIRRORに向いているか、そしてどんな方と一緒に働きたいかメッセージをお願いいたします。
壬生:まずはドレスやファッション、世の中のトレンドに興味があること。そして一緒に仕事をする仲間たちに対し、思いやりを持てる方と一緒に働きたいです。
MORROR MIRRORのコンセプトは「鏡に映る自分を愛せるように」。
お客さまがドレスコーディネーターとドレスに出会い、今まで気付かなかった新しい自分を発見し、結婚式後も自信を持って輝いていけるように、という思いが込められています。これはスタッフにとっての言葉でもあり、仕事中に鏡に映る自分を見て、自信と誇りを持って働けるように、というメッセージでもあります。
江澤:ドレスコーディネーターの部署は、100%女性スタッフです。女性だから昇進しにくい、ということは一切ありませんので、ドレスコーディネーターとしてトップを目指す、管理職を目指すなど、さまざまなチャレンジができます。
また、MIRROR MIRRORで働いているスタッフを見ていると、外見も内面もどんどん磨かれていくのを感じます。お客さまや周りのスタッフからいい刺激をもらって、多面的にレベルアップしていける環境だと思います。
植村:ドレスが好きであることは大事だと思います。そして、私自身がそうであったように、自分の殻を破りたい人や、人と関わって仕事をしたいと思っている人と一緒に働きたいです。
佐藤:中途入社の方は、いろいろな経験によってある程度自分ができているので、それを変えるのは大変なことだと思います。でも、自分自身は変えられますし、それによって新しい世界が広がります。鏡に写った自分を見たときに、自分がいい顔をしているな、輝けているなと思える環境がここにはあるので、きっかけが自分を変えたいというものであっても、ぜひチャレンジいただけたらと思います。
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
事業内容 | 国内ウェディング事業 ホテル事業 コンサルティング事業 オートクチュールデザイン事業 レストラン事業 ドレス事業 イベント事業 |
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事業所 | 東京都品川区東品川二丁目3番12号 |
設立 | 1998年10月19日 |
代表者 | 代表取締役社長 岩瀬 賢治 |
従業員数 | 1,352名 ※単体(2023年3月時点) |
資本金 | 1億円(2022年7月15日時点) |