アパレル企業特集

2023.10.03

株式会社サントラージュ

「選択と集中をしない」異業界取引からグローバルブランド運営まで、広くチャレンジを続けるOEM・ODM企業の信念

「お客さまの夢をかなえる」ことを大切にする株式会社サントラージュ。アパレルOEM・ODMを手掛ける同社は、プロスポーツチームやインフルエンサー、ゲーム企業など、さまざまな業界へ取引先を広げています。2023年8月にはANNA SUI NYCをローンチ。ブランド事業にも進出しています。サントラージュが目指す姿や今後の事業展開について、代表取締役の小林正幸さんにお聞きしました。

今回、この方にお話を伺いました!

代表取締役

小林 正幸さん

代表取締役 小林 正幸さん

新卒で興和株式会社に入社。繊維部門で6年間就業した後、2004年にアパレルOEM・ODM事業を行う株式会社サントラージュを設立。2017年ごろからは、アパレルブランドだけでなく、プロスポーツチームやインフルエンサーなどへのサービス提供を開始。取引ブランド数は100を超える。

もくじ

お客さまの夢をかなえるサポートをしたい

株式会社サントラージュについて教えてください。

サントラージュは、2004年に創業したアパレルOEM・ODMの会社です。創業時から、ものづくりを通じてアパレルブランドを支える存在となるべく、事業を推進してきました。社名である「サントラージュ」の由来は、フランス語でセンタリング(※)を意味します。最終的にゴールを決めるのはお客さま、そこに最適なパスを届ける役割の会社として、サントラージュを起業しました。

創業以来、アパレルブランド向けOEM・ODM事業をしてきましたが、2017年ごろから、アパレルブランド以外の取引先へも事業領域を広げています。たとえばインフルエンサーの方や、アニメやゲームのIP(知的財産)を持つ企業、プロスポーツクラブ、それ以外にも服を作りたい一般の方など、私たちの価値を感じていただけるお客さまに広くサービスを提供しています。

センタリング:サッカーにおいて、フィールドのサイドからゴール前へパスを送ること


心理的安全性も高まった「逆張りの戦略」

アパレル以外の取引先にもサービスを広げることにしたのは、どのような理由でしょうか?

アパレルものづくりに詳しくない異業界を含め、取引を増やす選択は、短期的に見ると非効率です。取引先の幅を広げれば、その分対応すべきルールが増えますし、会社全体として取引先への訪問回数やコミュニケーションも増えることになります。効率性だけを考えれば、大手ブランド専門チームを作り、そこに注力していく方が良いでしょう。そうした選択と集中を進めるアパレルOEM・ODM企業が多い中、サントラージュの戦略は逆張りと言えます。

ではなぜ多種多様な取引先を積極的に増やすのか。それは、長期的にその方がサステナブルだと思うからです。どんな取引先にも言えることですが、いつまでも取引を続けられるかどうかは全く分かりません。我々の実力の問題だけでなく、取引先側の都合で取引が終了することもあり得ます。なので、ひとつの取引先の比重を高めるよりも、売上を分散させる方が長期的には安定すると考えています。

短期の効率より長期の安定を考えて経営方針を決めているのですね。

取引先の幅が広がったことで、社員のパフォーマンスやモチベーションにもプラスの影響がありました。たとえば、あるアパレル企業を担当している社員が力を発揮できず苦しんでいるときに、「あなたはゲームが好きだから、ゲーム業界を担当してみない?」と、別のチャンスを作れるようになりました。実際、そうした配置換えによって大活躍するようになった、といった事例が社内で次々に出てきました。

新しい取引先企業と新しいチャレンジを次々に仕掛けていくことで、社員たちの個性や強みを多方面に発揮でき、それによって社員のモチベーションが上がり、心理的安全性も高まったように感じます。


アクセスできる情報量や、お客さまの依頼に応えるスピードが強み

アパレル業界以外の取引先は、どのように増やしているのでしょうか?

ゼロから営業することもありますし、知り合いのつながりから声を掛けていただいたこともあります。ゲームの企業やYoutuberなどの方からは、ウェブ検索経由でのお問合せも増えています。

これまでチャレンジしてこなかった業界にアプローチしたことで、自分たちでは気付いていなかった強みが発揮され、受注に至ったこともあります。たとえば以前、プロスポーツチームのレプリカユニフォームや応援グッズを作りました。プロスポーツの領域は長年のつながりが強く新規参入しにくいと言われていますが、提案内容やそれに伴う見積価格などを比較いただき、受注することができました。私たちがこれまで要求水準の高いアパレルブランドと取引する中で培った技術や品質、価格に対してメリットを感じていただけた結果だと思います。

他にも、アパレルのODMにおいて企画をゼロから提案することは一般的ですが、同じように異業界の取引先に対してさまざまな企画を提案したところ、「ここまでしてくれるのか」と非常に喜んでいただけたこともありました。私たちは当たり前だと思っていることが、業界が変わることで価値につながり、新たな依頼につながったこともありました。

取引先を増やす方針を進める中で、どのようなことが重要になってくるのでしょうか?

社内業務の効率化です。そのためのインフラとして、社内の情報共有システムで、社員全員の業務を全社員が見られるようになっています。また、提案サンプルのストックが社内に1万点ほど、他にも生地のサンプルやニットの糸の資料などもかなりのボリュームで保管されていて、この情報量が効率化やスピードにつながっています。

取引先から生地を提案してほしいと言われたときには、社内の生地サンプルを活用して素早く資料を準備し、商談を行うことができます。実際の生地を持っていくことで、お客さまのイメージも具体的になります。サンプル生産に関しても、3DCADの活用や、過去に生産した商品の仕様書の活用により、ゼロから作る必要がなく、制作を迅速に進めることができます。

現在サントラージュでは年間およそ3,000型の生産、新たなサンプル開発は10,000型程度を扱っていますが、社内のデザイナーチームは20人ほどの規模でありながら、あまり残業せずに業務を遂行できているのは、情報共有・活用の仕組み効果が大きいです。

社内でアクセスできる情報の量や、お客さまの依頼に応えるスピードは、サントラージュの強みです。これらの強みを活かし、今後さらにサービスを強化していくことが、さまざまな取引先にご満足いただくために必要なことだと思います。


ものづくりを評価され、ANNA SUI NYCの企画から販売まで手掛ける

サントラージュは8月下旬にローンチしたANNA SUI NYCブランドの企画から販売までを手掛けています。こちらについても教えてください。

ANNA SUI NYCのプロジェクトは、いろいろな方面へ積極的にリーチを広げてきたからこそ巡り合ったご縁だと感じます。「グローバルファッションブランドの運営」という点だけを見れば、私たちより経験豊富な企業は多くあるでしょう。ですが、それでもANNA SUIさんが私たちと組むことになったのは、サントラージュが培ってきたものづくりの部分を評価いただけたからだと思っています。

ANNA SUI創業者のアナさんは、ものづくりへのこだわりが非常に強い方で、今でもご自身が全ての商品づくりに直接関わっています。私たちが手掛けるANNA SUI NYCも、全ての商品をアナさん本人に確認いただいています。アナさんが表現したい世界観やポリシーを深く理解した上で、今の若い方に刺さるファッションを展開するために、密にコミュニケーションを取り、議論しながら進めています。

できあがった商品は社内の評判もよく、ANNA SUIの世界観を上手く表現できていると思います。先日のローンチパーティーを皮切りに、ファッションアイコンやインフルエンサーの方々の着用写真がSNSで投稿されはじめていて、社内でも期待感が高まっています。


スタッフ一人一人のモチベーションがすべて

ANNA SUI NYCの今後も含め、サントラージュとしての今後の展望を教えてください。

ANNA SUI NYCは、世界的なブランドにしていくことを見据えたプロジェクトです。まず日本である程度の売上や認知を獲得し、その後世界に向けて売っていくことは必達の目標です。そのためには、世界に向けてANNA SUI NYCを広げていくための組織づくりが今後必要です。興味を持っていただける方々とぜひ一緒に仕事をしたいと考えています。

会社全体では、アパレルOEM・ODM事業、異業界に向けた商品作りをするコンテンツプロダクト事業、そしてANNA SUI NYCも含むブランド事業の3つの事業がありますが、3つすべてを強くしていきたいと考えています。
コンテンツプロダクト事業はまだまだ新規参入者ですので、一定のプレゼンスを発揮できるくらいの規模にしていきたいですし、ブランド事業も数年以内に少なくとも10億円規模にしたいと考えています。

各事業に具体的な目標はありますが、その根本にあるのは「お客さまの夢をかなえる事業がしたい」という創業時から変わらない思いです。それを1社、2社ではなく、1,000社、10,000社と増やしていきたい。そのために私がやるべきことは、仕組みづくりです。やる気があって、お客さまの夢を実現させた人が評価され、よりモチベーションが上がる場を整えることで、会社をより良くし、働く社員自身が夢をかなえられる場所にしていきたいです。

サントラージュに来てもらいたい人や、向いている人はどんな人でしょうか?

サントラージュは、企業ビジョンでもある、お客さまのやりたいことをかなえたいという思いで働いている社員が多くいます。一方で、ANNA SUI NYCをはじめとするブランド事業を拡大していくにあたって、今後は発信力やコミュニケーション力などの、これまでサントラージュでは重要視されていなかった部分も強化していきたいと考えています。

部署に関係なく大切なのは、好奇心旺盛であることです。トレンド、アニメやゲームへの興味、社内の人たちがしていることへの興味など、対象はさまざまです。それらを知りたい、携わりたいという欲求が、より良いサービスの提供や面白い企画に結びついていきます。会社としても、好奇心旺盛な方を満足させたり、面白いことをしたい欲を満たしたりできるような仕組みを作っていきたいです。

ものづくりは奥深いものですが、私たちがしていることの一つ一つは難しいことではありません。スタッフのモチベーションが上がり、正しい方向を向いて仕事をすることが、サービスを強くし、結果的に会社を強くします。これが創業から20年を経て強く感じることです。

サントラージュに向いているのは、能動的にアクションを取れる人です。我々は常に新しいことにチャレンジし続けており、これは5年後、10年後も変わらないでしょう。社内の仕組みやルールを決めたとしても、想定していなかった状況が発生し、社員の柔軟性に委ねる局面も多く発生します。チャレンジした結果の失敗は許容し合える社風なので、ルールにあまり縛られず、面白いことをやりたい、自分自身で道を作っていこうと思える方にはとても合う環境だと思います。そんな方に集まってもらいたいです!

株式会社サントラージュ

株式会社サントラージュ

事業内容 繊維製品 企画・生産・輸入、OEM/ODM生産
事業所 東京都中央区銀座2-16-12銀座大塚ビル6F
設立 2004年2月
代表者 代表取締役社長 小林 正幸
従業員数 48名(2023年9月現在)
資本金 5,000万円

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