アパレル企業特集
2015.04.01
MARK STYLER株式会社
MARK STYLER 第二創業期スタート
代表取締役社長 秋山正則氏インタビュー<前編>
「MARK STYLERは変わりました」成長の踊り場を迎えていたMARK STYLER社が2014年、組織の立て直しをスタート。
どのような立て直しを図っているのか、そして今後目指す道とは―
2014年6月、約1年ぶりに社長に復帰した秋山正則氏にインタビューを行った。
4つの観点で組織を見直し、第二創業期がスタート
2014年、秋山社長の就任の背景にはどのようなことがあったのでしょうか?
秋山:2013年から2014年にかけての1年間、MARK STYLERは業績が思わしくなく、本来の姿に比べ、幾分活気に欠ける状況が続いていました。
僕は当時、セレクト部門を担当していたのですが、2014年の6月にアパレル事業の再建のため、アパレル畑でずっとやってきた僕が改めて社長に就任することになったのです。
改めて何が起こっているのか現場に入ってみたところ、急激な成長やブランドの立ち上げによる人材の分散や、事業部長クラスの社員の退職などによって、組織の一体感が失われてしまっており、お互いに言いたいことが言えない状態となっていました。
そこでまずは組織を大きく見直すところから始めたのです。
具体的にはどういった見直しを行ったのでしょうか?
秋山:大きくは、原点回帰とブランドの再編、就業環境の改善、マネジメント体制・人事制度の見直し、ボトムアップ型の組織づくりの4つです。
まずは「原点回帰」
つまり、より安くハイクオリティな商品をお客様に届けるべく、“ものづくり”にこだわるということです。
これまでMARK STYLERは、SNSやブログを使ったり、雑誌媒体とのブッキングを入れたりとPR力で商品を売ってきましたが、改めて地に足を付けて現状を客観的に把握するため、アンケートを軸としたマーケティング分析を行い、各ブランドのポジショニングの見直し、ものづくりの見直しを行いました。
また、分散していた人材と投資を集中させるため、開発過程にあった複数の新ブランドを取りやめ、まず「MERCURYDUO」「MURUA」「EMODA」「dazzlin」「Ungrid」の主力5ブランドに焦点を当てて成長させ、そこで得た収益で新ブランドや中堅ブランドを成長させる、という計画を立てています。
二つ目は「就業環境の改善」
ちょうど僕が前回社長になった時期と重なるのですが、60億円規模の企業だったものが90億、160億、270億、350億と一気に成長していったこともあって、「組織が伸びる瞬間は絶対あるから」と、社員たちが働きづめであることを容認してしまっていたんですね。ところが一定規模まで拡大したときに、今のままでは短距離走でしかなく、マラソンができない、と気付いたのです。
そこで、体力も持久力もある組織を作るため、残業を削減し、しっかり休みを取り、寝るのもよし、酒飲むのもよし、買い物もよし、好きなことに時間を使ってプライベートを充実させて、また仕事を頑張る、というリズムが作れるような環境改善を行うことにしました。
会社としては主にノー残業デーの策定と、会議の縮小化を取り組んでいます。ノー残業デーに関しては本部長クラスが週番のローテーションを組んで社員たちを徹底して帰宅させています。また、会議もスケジュールとアジェンダを工夫して、定時の18:30までには絶対に終了するようにしました。
もちろん業務量は変わりませんので、知恵を絞って効率化し、仕事の質を高めていかなければなりません。上層部からまず動いて社員全員の意識改革を行い、この半年で20~30%程度の残業時間削減に成功しています。
三つ目は「マネジメント体制・人事制度の見直し」
これまでは成長の勢いとともに、実績を出してきた事業部長が自身の経験を軸にマネジメントを行ってきたため、ブランドごとにやり方や役職の配置、その役割が異なっていました。そこで今回、役職と責務、業務内容を整理し、会社全体で統一しました。高いレベルのブランドに合わせて平準化することで、全ブランドを高いレベルに持っていきたいと考えています。ブランド間の横断的な意見交換会や情報共有も積極的に行って、会社全体として縦横の糸がしっかり張り巡らされた強い組織にしていきたいですね。
それ以外にも人事制度と報酬制度を見直し、全社員が自身の役割をしっかり理解した上で切磋琢磨し、それに対して納得のいく評価をし、成果に見合った報酬が得られるような体制を作りました。
また、キャリア形成という観点では、経験や実績に加え、年齢やライフスタイルの変化も鑑みた上でブランドを異動できるような道も整備中です。たとえばですが、20代前半でヤングブランドを手掛け、その後OL向けブランド、そして高感度のセレクトブランドへ、というイメージです。販売職も本部スタッフも含め、MARK STYLERでどのようにキャリアを築いていくのかというプランを描いており、近いうちに社内リリースする予定です。
最後が「ボトムアップ型の組織づくり」です。
仕事をする上で何が大切かというと、僕はコミュニケーションだと思っています。
MARK STYLERにはさまざまな経験を持った中途社員がいて、それぞれ考え方も仕事の進め方も違います。そんな中で感じたことや意見を素直に伝え合って、しっかり議論して、必要であれば思考をチェンジすることができれば、絶大な信頼関係ができあがりますし、創造力のある組織ができると考えています。
この半年、会議でもチーム内での普段の仕事でも、あらゆる場面で意見を出し合うことの大切さを社員に伝え続けたことで、柔軟性のある組織に変化してきている手ごたえを感じています。
MARK STYLER株式会社
事業内容 | ファッション事業におけるブランドビジネス・投資をグローバルに展開 |
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事業所 | 本社:東京都渋谷区広尾5-8-14 |
設立 | 2005年11月 |
代表者 | 代表取締役社長 秋山正則 |
従業員数 | 1,761名(2014年3月現在) |
資本金 | 1億円 |
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