アパレル企業特集

2017.07.10

MARK STYLER株式会社

第二創業期から2年、MARK STYLERはどう変わったか?
代表取締役社長 秋山正則氏インタビュー<後編>

MARK STYLERは第二創業期がスタートしました―
そんな背景から、代表取締役社長の秋山正則氏にインタビューしたのが2015年3月のこと。
あれから2年間、MARK STYLERには一体どんな変化があり、また成長を見せたのだろうか。
改めて、秋山氏にインタビューを行った。


就業環境の大幅改善と販売スペシャリスト制度のスタート

就業環境の大幅改善と販売スペシャリスト制度のスタート

次に就業環境の改革についてお伺いしたいのですが、この2年でどのような変化や成果がありましたか?

秋山:大きくは、「残業時間の改善」「離職率低下に向けた取り組み」「販売職の環境改善」があります。
僕は根本的に“よく働いてよく遊んで欲しい”という思いがあるので、会社として社員にそれが実現できる環境を提供したかった。そこで月に1回、水曜日にノー残業デーを設け、この2年間で月次の残業時間を約17%縮小しました。前回のインタビューの中で、本部長が交替で社員を帰宅させるという話をしましたが、加えてサービス残業をなくすため、勤務実態と残業申請が正しいものとなるような労務管理も行いました。

離職率の高さも当社にとって大きな課題のひとつで、2014年当時は急成長中だったこともあって組織に新しい仲間を迎え入れる余裕がなく、本人の意欲や前向きさに委ねてしまっていたため、入社者の約30%が半年以内に退職していました。この点は大きな反省点として人事部と事業部で連携してOJT体制を整え、入社1か月・3か月と節目に面談をし、不安があればすぐに解消できるような体制を作りました。
その成果として、2016年には半年以内の退職者を約7%にまで減らすことができました。
今後はさらに半年以内の退職者が0%になることを目指し、引き続き取り組んでまいります。

そしてこの2年間で僕がもっとも取り組みたかったのが、販売職の環境改善です。

なぜ、販売職の改善なのでしょうか?

秋山:業界全体として、販売職は仕事が大変で給料が安く、販売が好きな人でも続けられず業界流出してしまっているという現状があります。ではMARK STYLERはどうだったかというと、ブランドごとに事業部が分かれていることで、職種ごとの平衡化ができていないという課題がありました。たとえば販売職を横軸で見たときに、あるブランドは実現できていることが別のブランドではできていない、といった具合です。そこで僕が責任者となって販売統括本部を作り、販売職をレベルアップさせる取り組みをスタートしたんです。

まずは1年がかりで全国行脚し、全ブランドの店長会に参加して意見を吸い上げ、2年目はエリアマネージャーや店長を対象に、続いてサブとスタッフを対象に研修を行いました。給与テーブルも揃え、同じ販売職の中でスキル・環境の差がでないよう全体の底上げを行いました。
また、販売力のある社員を正しく評価するため「販売スペシャリスト制度」を導入し、マネジメントラインだけでなく、販売スキルを高めていくキャリアパスを設けました。希望者に対して数度の面接を経て、初年度に1名、2年目の今年は2名のスペシャリストが誕生しました。初年度の1名は1年でしっかり実績を出して給料も上がり、後に続く社員もいますので、今後さらに販売スキルに磨きを掛けたい、スペシャリストになりたい、という社員が出てくることを願っています。

まずは販売職からスタートしましたが、デザイナーもパタンナーもシステムエンジニアも、その専門性を突きつめる“専門職”なわけですから、職種を問わずスペシャリストを目指せるような制度づくりを進めていきたいです。

初年度に手を挙げた方の勇気にはMARK STYLERの未来が詰まっているように感じます。就業環境の中では産休・育休実績を気にする方も多いのですが、MARK STYLERではいかがでしょうか。

秋山:制度としては以前から整備されていましたが、結婚して産休・育休を活用するスタッフがこの2年で大きく増加しました。渡辺由香や荻原桃子といったディレクター/デザイナーがいち早く結婚・出産し、育児と仕事を両立させているので、働くうえでの目標にもなり、後に続きやすい環境ができているのだと思います。男性社員による育休実績も数例あり、先日は事業部長が奥様の第二子出産に合わせて育休を取得しました。本音を言えば、事業部長が長期で休んで大丈夫かと少しハラハラしたのですが、スタッフみんなでフォローし合ってマイナス影響のない組織運営ができていました。さすがでしたね。


MARK STYLERの“クレド”を表現する6つのキーワード

先ほど、「自分たちの考えを進化させなければならない」というお話もありましたが、MARK STYLERの成長のために必要なことは何でしょうか。

秋山:新生MARK STYLERのタイミングでクレド(指針)を作り、6つのキーワードを掲げました。
ここに必要なことのすべてが含まれています。

「CHALLENGE」常にチャレンジし続けている組織であること
「SMART」仕事の進め方や身のこなし、すべてにおいてスマートであること
「HONESTY」社内外を問わず関わるすべての人々に対して素直で誠実であること
「PROFESSIONAL」ロジカルに仕事ができるプロフェッショナルであること
「MARK STYLER’S」会社全体でひとつのチームであるという意識を持つこと
「COMMIT」自身の役割や決めたことに対してコミットすること

MARK STYLERでは中期経営計画において、2020年度で売上600億円を掲げています。これは2016年度の約2倍にあたるとてもチャレンジングな数値ですが、経営陣や事業部長と何度も協議し、自分たちが進化することができれば十分に達成できるプランだと考えています。

お客さまの価値観は変化し、今後もさらに変化し続けます。そのときに、これまでの価値観を捨てて新しい動きを捉えることができるか?僕はこの2年間、そのことを社内に問い続けてきました。培ったスキルや成功体験も大切ですが、過去を一度否定するくらいの勇気を持ち、新しい価値に対してどのようにアプローチするのかを考え抜いて実行することができれば、“新生アパレル”という価値を生み出すことができるはず。3年後、5年後、10年後も幸せであるようなMARK STYLERを全員で創っていく、そんな組織にしていきたいです。

MARK STYLER株式会社

MARK STYLER株式会社

事業内容 オリジナルブランドによる婦人服・服飾雑貨の企画開発、
直営店での小売ならびにフランチャイズ店、専門店等への卸売
自社運営eコマースサイト「RUNWAY channel」および
他社運営eコマースサイトを利用した商品のインターネット販売
事業所 本社:東京都渋谷区広尾5-8-14
設立 2005年11月
代表者 代表取締役社長 秋山正則
従業員数 1,191名 ※正社員:755名(2017年2月末現在)
資本金 1億円

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