アパレル企業特集
2022.07.14
TREK(トレック・ジャパン株式会社)ストアマネージャー 山下 栄里さん
大手外資アパレルから自転車業界へ――
トレックだから味わえる、「ワクワク」の源泉とは?
1976年にアメリカ・ウィスコンシン州で誕生した、米国シェアNo1のバイク(自転車)メーカー、トレック。約300店舗の販売店と、近年力を入れている直営店の増加に加え、コロナ禍によるライフスタイルの変化も追い風となって、右肩上がりに成長しています。今回は、大手外資アパレルでストアマネージャー(店長)を長らく勤め、現在TREK Bicycle サザンモール神戸六甲でストアマネージャーとして活躍する、山下さんにお話を伺いました。
今回、この方にお話を伺いました!
TREK Bicycle サザンモール神戸六甲 ストアマネージャー
山下 栄里さん
ファッション専門学校を卒業後、アルバイトから入った外資カジュアルブランドで社員となり、14年勤務。ストアスタッフからストアマネージャー(店長)まで勤め、出身地の福岡からスタートし、広島、関西エリア、鹿児島、京都と西日本を中心に転勤しながらキャリアを積む。2020年1月、トレック・ジャパンにストアマネージャー候補として入社し、関西エリアの複数店舗を経験。入社半年後、ストアマネージャーとして「TREK Bicycle サザンモール神戸六甲」に配属され、現在にいたる。
経験を活かしつつ、新たなチャレンジができそう!とワクワクした
山下さんは長らくアパレル業界で働いていらっしゃいましたが、異業界であるトレック・ジャパンに転職したきっかけと決め手は何だったのでしょうか?
きっかけはスカウトサービス経由でお声がけをいただいたことでした。
自転車に興味がないと知らないブランドかもしれませんが、私は自転車に乗っているので知っていて、「あの自転車のトレックが私に?!」と少し驚いたのが第一印象でした。
決め手は、応募した企業の中で一番やりがいがありそうだと感じたからです。
もともとは年収面などもふまえて、ハイブランドのマネジメント職を中心に活動していたのですが、選考が進んでいた企業はどこもマニュアル・オペレーション・接客スタイルなどが決まっていて、その中で運用していくというものでした。トレックは、面接や店舗見学を通じて、まだまだできることがたくさんあると感じ、経験を活かしつつ新たなチャレンジができそう!とワクワクしたんです。そう思えたのは、唯一トレックだけでした。
ファッション専門学校からアパレル企業で働くくらい、ファッションがお好きだとお見受けしましたが、異業界に転職することについてはどのように考えましたか?
ファッションは昔も今も大好きですが、年齢や経験を重ねるにつれて、「このブランドが好きだからここで働く」というよりは、マネジメントが好きで、自分で管理してひとつのお店を運営していくおもしろさにやりがいを感じるようになりました。
実はスカウトを受けた時点で、あるハイブランドから内定をもらっていたのですが、トレックからスカウトをいただいたことで、扱う商材が違っても仕事のおもしろさは変わらないだろうと考え、よりワクワクしたトレックへの転職を決めました。
入社して2年半になりますが、そのときの思いは変わらず、充実した日々を送れています。
アパレルとは違う習慣・業務もたくさん!
でも「気軽に足を運んでいただきやすいお店づくり」という本質は同じ
店頭に立つ方々の具体的な仕事内容を教えてください。
店舗には、ストアマネージャー(店長)と、自転車修理をメインに携わるテックリードというポジションが必ず1名ずつ、ストアスタッフとテックスタッフが店舗規模に合わせて数名ずつ配置されています。 仕事内容は、ご来店されたお客さまの接客、在庫管理、過去にご購入いただいたお客さまへDM等のご連絡など、基本的には一般的な直営の小売店の仕事内容と同様です。 ストアマネージャーは、それに加えてスタッフ育成や、店舗PL(損益計算)の管理などを行っています。
自転車特有のものとしては、修理やメンテナンスですね。大きなものはテックリード・テックスタッフが担当しますが、基本的な新車の組み立ては、入社後の研修とその後の練習によって、トレックのスタッフ全員ができるようになります。
自転車特有の技術的なスキルは、身に付けるまでにどれくらい掛かりますか?
箱から商品を取り出して組み立てるところまでは難しくなく、トレーニングを積めば1か月程度で身に付きます。乗車のための動作確認や各パーツのチェックなども含めると少し時間がかかり、日々の仕事をこなしながら空き時間に練習し、半年から1年ほど掛けて身に付けていきます。
山下さんのように、異業種から転職した方はどのように仕事を覚えていくのでしょうか?
入社後はまず、ブランドや商品、自転車組み立てなどを学ぶ基本的な研修を受けます。店舗配属後は、先輩社員たちに教わりながら実務を通じて仕事を覚えたり、トレックオリジナルのイーラーニングプログラムで学んだりします。
余談ですが、2年半前の入社当時、未経験から必要なスキルを身に付けていくための仕組みが少し弱いなと感じたんです。前職が大企業で、ツールやオペレーションが整備されていたので余計にそう感じたのだと思います。そこで自身の体験とともに、「こういう環境があると良いんじゃないか?」「こういうことをやってみたい!」と当時のストアマネージャーやエリアマネージャーに伝えたところ、「改善するためにこういうことを取り入れてみようか」とすぐに動いてくれました。まだまだ小規模な組織なので、環境や制度面はこれからという面もありますが、スピーディーに良くしていこうという姿勢のある会社です。
組織を良くしていくための意見を言いやすく、また改善に繋がっているというのはとても良いですね。ほかに、前職や業界のギャップを感じた点はありますか?
慣れるまで大変だったのは予算管理です。店舗ごとに月次予算があり、達成に向けて頑張る…という点は同じですが、売上管理がファッション業界とは大きく違います。
たとえば今日、ある自転車が成約となり、ご入金いただいたとしても、売上はその日ではなく、納車の日なんです。納車予定日がお客さまのご都合や天候などによって左右されるので、予定していた日に売上が付かないことは日常茶飯事です。
そうなると、デイリーで売上数値を追いかけるのが難しく、だいたい週次でコントロールすることが多いです。
確かにファッション業界にはない感覚ですね!店舗予算があるとのことですが、達成するためにはどのようなアプローチをしていますか?
色々ありますが、一番はお客さまのタイミングに合わせて、長くトレックをご愛用いただけるようコンタクトを取っていくことです。
たとえば納車日、アンケートにご回答いただいたあとにサンクスメール、サンクスレターを送り、いつでもご相談ください、というメッセージを添える。納車後は年4回の定期メンテナンスに合わせ、リマインドメールを送付。キッズ自転車には、買い替えで最大50%下取りする「買い替えプログラム」というサービスがあり、プログラムの期限間際にご連絡差し上げる。商談や試乗された方にお礼メールをお送りする。…などです。
店舗ごとに多少異なりますが、気軽にご相談いただいたり、お店に足を運んでいただいたりしやすい関係構築を目指しています。
ファッション業界で言うと、山下さんも転職候補に挙げていたハイブランドのサービスに近い気がします。
そう思います。商品が高額である点、メンテナンスやお買い換えなどで長くお付き合いさせていただく点などが共通しているので、自然とお客さまに対するサービスにも近しい点が出てくるのでしょうね。
私はカジュアルブランド出身なので、長くお付き合いするケースはあまりなかったのですが、トレックに入社し、私宛にご連絡やご来店いただくお客さまや、ご相談いただくお客さまがたくさん増えました。 お客さまのライフスタイルなどパーソナルな部分まで把握し、趣味・趣向に変化があればカスタムの方針を変えたり、新たな商品をご紹介差し上げたりなど、お客さまのご希望に合わせて接客し、喜んでいただくのが何より嬉しいです。トレックで新たなやりがいを得られたと感じています。
「お客さまに合った自転車の楽しみ方を見つけていただきたい」という思い
山下さんが感じている、トレックならではの仕事のおもしろさは何でしょうか?
トレックが、お客さまの3世代にわたって関わることができるブランドだということです。
全員トレックを愛用くださっているご家族にもたくさんお会いし、みなさんがワクワクしながらお子さん・お孫さんの自転車を選んでいる姿を見てきました。親御さんから、「大きくなったら一緒にトレックの自転車で走りに行きたい」というお話を伺ったりすると、世代を超えて愛される良いブランドだな、と感じます。
商品の幅が広いので、いろんな方に愛されているのはトレックの大きな特徴ですよね!その一方で、自転車のタイプや予算を決めて、他ブランドと比較検討される方も多いと思います。そういう方にはどのように接客されるのですか?
接客スタイルはスタッフによっても異なりますが、私の場合はトレックを推すことはせず、「いろんな自転車を見て決めてくださいね」とお伝えし、お客さまが今知りたいこと、お悩みのポイントをクリアにすることを一番大事にしています。検討しやすい情報をご提供し、名刺と見積をお渡しして「今後もお手伝いできればうれしいです!」という気持ちで接しています。
販売店・直営店など自転車を買える店はたくさんありますが、その中でもトレックの接客はとても良いという自信があります。
そのような接客スタイルは、トレックの方針としてあるものなのでしょうか?
全員必ず行うと決まっているのは、名刺と見積をお渡しすること。それ以外はトレックらしい接客を考えながら、スタッフ一人ひとりの個性でお客さまと接しています。
また、より良い接客を行うために、店舗間の情報交換も大切にしています。「こういうサービスでお客さまが喜んでくださった」「今月当店が調子良い理由はこういうことをしたからです!」などの成功事例を、店長会やメール、チャットなどを通じて共有し合っています。そうした横の繋がりは、トレック全体としてもより強化されていくと思います。
プライベートの変化と併せながら、目標としているキャリアを目指したい
山下さんが今後目指したいキャリアをお聞かせください。
私は入社した時点から、トレックではDM(ディストリクトマネージャー=エリアマネージャー)を目標にしていて、ずっと明言してきたので、ステップを踏みながら目指していきたいです。
実は、私もうすぐ産休に入るんです。さらに、夫の転勤で関西から東京に行くことになったので、復帰はおそらく関東エリアになると思います。そういうプライベートの変化も併せながら、仕事もしっかり充実させていきたいですね。
最後にトレックに興味をもっている方について、一言メッセージをお願いします。
コロナ禍をきっかけに、「体を動かすこと」を目的に自転車を始めた方が大勢いらっしゃいます。それに伴い、ほとんどの店舗でこの2年間、しっかり予算を達成できていると思います。今年は各地で新店がオープンし、トレックはさらに盛り上がっていきます!
体を動かすのが好き、自転車に興味がある、という方であれば、きっとお客さまのニーズに共感しながら楽しく働けると思います。ブランドの成長を肌で感じながら一緒に成長していきたい、という方をお待ちしています。
TREK(トレック・ジャパン株式会社)
事業内容 | 自転車および関連製品の輸入および販売 |
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事業所 | 本社:兵庫県西宮市大井手町7-28 |
設立 | 1991年2月 |
代表者 | 代表取締役 田村 芳隆 |
従業員数 | 180名(2022年7月現在) |
資本金 | 4,000万円 |