アパレル企業特集
2022.12.08
MARK STYLER株式会社 代表取締役社長 秋山正則氏インタビュー2022
コロナ禍を経た2022年度、過去最高益を狙う
MARK STYLERはどのように変わったのか
2020年3月に行った前回のインタビューから約2年半。この期間、社会はまさにコロナ禍の真っ只中にあった。ファッション業界も大きな影響を受ける中で、MARK STYLERにはどのような影響と変化があったのか。秋山社長に伺った。
業績はコロナ前の最高益をうかがう
前回のインタビューは2020年3月でした。そこからコロナ禍があり、これまで全く予期していなかった状況の中での舵取りだったと思います。この2年半の状況はいかがでしょうか。
2020年の3月~4月ごろから感染が一気に広がって、その年の4月と5月は全店休業となるなど、過去にまったく経験の無い状況が突然訪れました。当時は不安な日々が続きましたが、ありとあらゆる手をつくしました。おかげさまで、今年度は業績を戻すことができ、過去最高益だった2019年度の業績と同等か、それ以上も視野に入るほど回復しました。
コロナ禍から見事な復活を遂げた背景には、どのような戦略や判断があったのでしょうか?
休業手当の支給を法定最低限にしたり、仕入れを抑えたり、セールに走ったり…そういう同業他社さんがおられることは知っていました。しかし当社は、店舗営業が再開したときに奮起してもらうため、休業手当は100%支給し、コロナ禍であっても途絶えることのないお客様のニーズを察知し、ECサイトで新作の商品を打ち出し続けました。
今思えば、このときの判断と施策が2020年度の赤字を最小限にとどめ、2021年度で黒字転換し、そして現在の業容につながっているのかも知れません。
別の話ですが、業界紙さんが毎年ファッション専門学校生に対して行うアンケートがあります。そこで当社は、2021年と2022年、「就職したい企業」の上位にランキングされました。学生さんたちは当社の地道な事業活動を見ていてくれたのでしょうか、ありがたいことでした。
2022年度のテーマは「リバイバル&リスタート」
コロナによる影響から復活する中で、MARK STYLERの今後の方針について教えてください。
2022年のテーマは「リバイバル&リスタート」と定めました。コロナで受けた影響を元の水準に戻し、さらに伸ばしていこうという意味です。リバイバルに関しては、すでにコロナ前の業績まで持ち直すことができており、それ以上の手ごたえも感じています。そこで次は、リスタートに向けて動いているところです。
リスタートに向けて、どのようなことをしているのでしょうか?
各ブランドの全てのプロセスを、「お客さま視点」で見直しています。
それには、お客さまがMARK STYLERのブランドに求めているものは何かを明確にし、それを全員で認識する必要があります。
ブランドをさらに磨いていくため、マーケティングデータをもとに、ブランドの立ち位置や商品構成を再定義して、ブレないブランド作りをしようとしています。
リスタートに向けた施策について、現時点で手応えのようなものはありますか?
コロナ禍であってもそれ以前に立てた計画をしっかり達成したブランドがありました。このブランドをお手本にして、テストマーケティングとヒアリングを実施し、お客さまの考える「ブランドらしさ」や欲しい商品、ニーズをディテールまで落としこむ作業をしています。
コロナでお店が開けなくても、ECしかなくても、お客さまのニーズを引き出して商品を作り上げれば、「欲しいから買う」商品が生まれるのだと考えています。
データマーケティングなしには生き残れないという危機感
今後のMARK STYLERは、マーケティングに注力していくのでしょうか?
これまでは企画提案型で商品を作り売ってきました。しかし、お客さまのニーズを捉えて、それに対してモノを作っていかなければいけない時代になっています。他の業界では当たり前のようにやっているのに、アパレルはまだまだ出遅れてしまっているのが現状です。
コロナ禍をきっかけに、MARK STYLERはどう生きて、何の役に立てる会社になれるのかを改めて考えました。そこで確信したのは、やはり私たちは個性的なブランドを多数保有する会社であり続けるべきだということでした。個性的なブランドとしてあり続けるためには、メーカーの主観だけでなく、データマーケティングを主体としたものづくりを行うことが必要なのです。
お客さまにブランドのニーズを細かくヒアリングし、求められているアイテムを明確にしたうえで、商品を一気に作り上げる。これは従来のアパレル業のやり方ではありませんが、「お客さま視点」をより強めていかなければ、今後生き残っていくことはできないと危機感を持っています。 もちろん、長年培ったMARK STYLERのDNAは今後も欠かすことはできません。
トレンドに敏感で、感度高く自ら動き、攻める姿勢が重要
今後、「お客さま視点」でマーケティングを強化し、よりMARK STYLERらしいブランド作りをしていくために、どのような人材を求められているのでしょうか。
特に体制強化したいのは、企画デザイナー、PR・宣伝、Web担当、SNS担当です。4職種挙げましたが、共通しているのは、トレンドに敏感で、感度高く自ら動き、攻める姿勢があること。ブランドへの愛情を仕事に注げること。チームワークを大事にし誠実、素直、謙虚であること。そして、良い意味で負けず嫌いなことです。
まず企画デザイナーは、ブランドへの深い理解があること、また、単に自分のやりたいことだけではなく、ブランドの歴史も紐解きながら、ブランドらしさとは何か?を常に追い求める人であって欲しい。その上で、お客さまのニーズを考えながら、半歩先を創れるような人が向いています。 それを実現するためには、大前提としてファッション・洋服への興味が強く、デザイナーとしての引き出しがたくさんあることが重要です。
今後はさらに店舗・ECそれぞれの特性を活かして売り上げを伸ばしていくことが重要です。そのためにも、それぞれの売れ筋や特徴を理解し、企画していくことに興味がある方を求めています。
PR・宣伝、Web担当、SNS担当についても教えてください。
PR・宣伝は、どの媒体、ツールを使ってどのタイミングでどんなプロモーションを打つべきかを考えます。トレンドに敏感であり、それを楽しみながら学び、業務に取り入れていけるスキルが必要です。また、社内外を含めて多くの人々と関わる仕事なので、オープンマインドでコミュニケーション力の高い方を求めています。
SNS担当は、元々PR・宣伝に入っており役割は似ていますが、SNSの重要性が増してきたことから職種を分離しました。SNS担当ならではの特徴は、ブランドが持つインフルエンサーの管理や進行を担うことです。インフルエンサーごとに細かなスケジュール管理を行い、社内外の関係者とコミュニケーションを取っていく、ディレクション力が重要です。加えて大切なのは、SNSを通じてその先にいるお客さまを想像し、どうすればワクワクしていただけるだろう?と楽しむ力。それらの力を、フォロワー数や「いいね」数、Webサイトへの流入数などに繋げていっていただきたいです。
お客さまの最初の接点となるSNSは、どんどんとアップデートしていきます。今はTikTokからのファーストアプローチが増えているので、媒体特性を理解した上で動画プロモーションの知見も高めていけると良いですね。
プロモーションやSNSの先にある「ゴール」がWebサイトになります
Web担当の仕事は、どれだけのお客さまに見てもらえて、購入してもらえたかはリアルタイムで数値に表れるので、あの一言が効いたな、この導線を調整した成果だな、といった手応えを肌で感じることができます。予算を含めて権限もあり、任されている範囲も大きいので、経営感覚も身に付けられます。
売上やそこにいたるまでのKPIにこだわり、目標達成するために何をしなければならないか?という逆算思考で物事を考え、最後までやりきることができる人が向いていると思います。
MARK STYLERのWeb担当には店長経験者もいるのですが、基本的な考え方は店舗運営と同じです。商品構成を決めて、お客さまにどうアプローチしようか考えていく。そのために必要なのは、どの流入経路から来たお客さまが、どこで買っているかを分析して、そこに施策を打てることです。感性だけでなく理論的に数字を追い、予算達成にこだわり抜けるような社員が活躍していますね。
MARK STYLERで得られる成長とは?
全員が一つの流れとなって、ブランドを成長させていこうとしていることが伝わってきます。
新たなチャレンジの一歩を踏み出すうえでは、アパレル業界経験者のみならず、異業種からの応募も大歓迎です。これまで違う業界でマーケティングやブランディングをしてきた方にも、ぜひ興味を持ってもらえたらと思いますし、専門職にはそういう社員も在籍しています。
MARK STYLERで企画やPRを担っている人は、自分の担当するブランドが好きで、愛情を込めて発信しています。その一方で、それを支える専門職としてのWeb担当やSNS担当は、スキルとして学びたいと入ってくる方も多く、入社したほぼ全員がマーケターとしての市場価値を上げています。それはつまり他社からも求められる人材ということですが(笑)、そのような成長ができるのは嬉しいことです。
MARK STYLERの魅力は、やる気とスキルがあれば、機会が与えられることです。手を挙げれば、職種の垣根やブランドの垣根も越えられます。もちろん、タイミングやポジションの空きにもよりますが、今いる部署で頑張っていれば、必ずチャンスが巡ってくる会社です。
コロナ禍で世の中が大きく変わっていったように、MARK STYLERという会社も大きく変わっていきます。共に変化を起こしていきたいみなさんと、ぜひ一緒に働きたいです。
MARK STYLER株式会社
事業内容 | オリジナルブランドによる婦人服・服飾雑貨の企画開発、 直営店での小売ならびにフランチャイズ店、専門店等への卸売 自社運営eコマースサイト「RUNWAY channel」および 他社運営eコマースサイトを利用した商品のインターネット販売 |
---|---|
事業所 | 本社:東京都渋谷区広尾5-8-14 |
設立 | 2005年11月 |
代表者 | 代表取締役社長 秋山正則 |
従業員数 | 872名 ※正社員:610名(2022年2月末現在) |
資本金 | 1億円 |
アパレル企業特集 最新記事
- ESTNATION(株式会社エストネーション )
- JOURNAL STANDARD、Spick and Span、SLOBE IENA、CITY SHOP、B.C STOCKなど(株式会社ベイクルーズ)
- FREAK’S STORE(株式会社デイトナ・インターナショナル)
- SK-II(P&Gプレステージ合同会社)
- PRADA、Miu Miu(プラダジャパン株式会社)
- 31 Sons de mode、Noela(ヒロタ株式会社)
- No,No,Yes !(ノーノーイエス株式会社)
- PRADA、Miu Miu(プラダジャパン株式会社)
- ABAHOUSE、Rouge vif la cle、collexなど(株式会社アバハウスインターナショナル)
- Calvin Klein(合同会社PVHジャパン)