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2017.04.05

通勤電車は風林火山でオフサイドトラップ

「本を閉じましたね。もぉ~、バッグから別の本を出してきましたよ。」
「目を覚ました。あれぇ~、また寝ちゃいました。」
「おっ、腰を浮かした。おしりを掻いて、また座りました。おしりがかゆかったのですね。」

なんの話かって?
これは、わたしキャリアアドバイザー丸山の電車内での心の声でございます。
会社まで片道90分、ちょっとした遠距離通勤の私にとって電車で座れるか否かは重大な問題であります。
特に朝の電車で座れなかった時のショックは大きく、
これから仕事だというのに、会社に着いた時点でHPが10しかございません。
仕事を充実させるためにも、席を確保するのは重要なミッションであります。

通勤電車は風林火山でオフサイドトラップ

そこで大事になるのが、観察力・推理力でございます。
座っている人のちょっとしたしぐさや表情・目線を見逃さず、そして推理をするのです。
「本を閉じた。次の駅で降りるな。」
「この人、体内時計で目的駅に到着する前に自然に目を覚ますな。」
「腰を2cm浮かした。立ち上げる。」
しかしながら、人間観察力レベル3・推理力レベル2の私は、なにぶん外れます。
冒頭の心の声は、そんな時のものでございます。
まだまだ修行が足りません。

観察力と同じくらいに大切なのが、移動力でございます。
降りそうな人、すなわちターゲットを見つけたとしても、
ターゲットの近くにいなければ他の人に席をとられてしまいます。
勝負に勝って、試合に負けるようなものでございます。
素早くターゲットの近くに移動しなければなりません。
ただし焦って速足や駆け足でばたばた動くのは見苦しく、私のプライドが許しません。
たまたま近くの席が空いたので座ります。これが丸山流です。

ターゲットをロックオンしてもすぐには動きません。
タイミングを見計らいます。
そして動くべき時がきたら、あくまでスマートに、何気無く、静かに、
そして流れるようにターゲットの近くに移動をするのです。
誰にも気づかれず、ターゲットのそばにいる「風林火山」でございます。
そしてもう一つ大事な事があります。
ターゲットに対し、どの位置に立つか?そうポジショニングでございます。

ターゲットが向かうと予想されるドアの直線上に立ってはいけません。
ターゲットがスムーズに動くことができません。
真正面もダメです。
ターゲットに顔を見られ覚えられてしまうと、翌日以降、なんとなく気まずくなります。
ベストポジションは降りると予想されるドアの反対側斜め45度の位置です。
ここであれば、ターゲットが動く瞬間に私もスムーズに動けます。
まさにボールを出す瞬間に動く「オフサイドトラップ」、
トルシエのフラット3(中田浩 宮本 松田)でございます。
そうして見事に座れた瞬間に、心の中でガッツポーズをするのです。
「勝った」と。

ところが、いくさであっても、サッカーにおいても予想外の事が起こるものでございます。
「桶狭間の戦い」然り「ドーハの悲劇」然り、そして「西武池袋線の憂鬱」。
ターゲットは間違っていなかった。
左サイド斜め45度にポジションもとった。
ターゲットが立ち上がり「勝った」と思った瞬間に、
ターゲットの隣に座っていた人が見事なサイドステップでターゲットの位置にずれてきます。
あっけにとられて動けずいる私の横から、別の人が素早く空いた席に座る。
空いたスペースに裏を取られてしまいました。

完敗でございます。
そして、今日も一日が始まります。

頑張れ、サラリーマン。

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