愛用品の思ひ出

こんにちは、キャリアアドバイザーの健作です。
寒い日が続いておりますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

私は寒い日でも缶ビールを飲みながら歩くというトレーニングを日々実践しておりますので、
なんとか風邪などひかず過ごしております。

今回ですが、私がアパレル時代から大事にしている「愛用品」にまつわる思い出についてお話したいと思います。
通勤やちょっとした隙間時間のお供になれば幸いです。

■愛用品：WHITE’S SEMI-DRESS

このSEMI-DRESS（モデル名）は24歳の時に購入したもので、かれこれ15年ほどの付き合いになります。
当時は「アメカジ/アメトラ」の再熱期でして、メンズアパレルに関わる仕事をしている男性は
こぞってワークやミリタリー、アイビーに夢中になっていたものです。

私もご多分に漏れず夢中になったクチで、
時に生活費を大幅に削りながらファッションにお金を投入する日々を過ごしておりました。

そうした中、「“ワークブーツ界のロールスロイス”と呼ばれる、WHITE’Sなるブランドがあるらしい！」
という話が仲間内で話題になったことがありました。

当時はインターネットやブランドのWebサイトが今ほど整っておらず、当然SNSもない時代・・・
つまり、欲しくてもどこで買えるのか、どんなモノなのかがハッキリしないわけです。

私は雑誌やネットの断片的な情報を頼りに、
長い時間をかけてようやくWHITE’Sを買える（信用できる）ショップを見つけることができました。
そして、必死に貯めた10万円を握りしめ、WHITE’S をオーダーするべく（交通費がもったいなくて・・・）
自転車を走らせました。

※ちなみに当時のWHITE’S SEMI-DRESSはノンカスタムで¥77,000、オーダーメイド方式での購入になります。
ライナーやヒールなどカスタムのオーダーをするにつれて値段が上昇。
ちょうど値上がりの時期だったため、万全を期して10万円を貯金の目標にしていました。

■UNIONMADEの早乙女さん

UNIONWORKSさんと混同されることが多いですが、
私がWHITE’S購入のために訪れたのは大田区石川町にあるUNIONMADEというお店でした。

店主の自宅横（？）にある1坪ほどの小屋がショップなのですが、
当時WHITE’Sの国内最多のオーダー数を誇った知る人ぞ知る名店です。
※現在は権利や大人の事情によってWHITE’Sのオーダーができない状況です

小屋なので、もちろん自動ドアなんてありません。
インターホンを押すと、店主の早乙女さんが迎え入れてくれるスタイルです。

この早乙女さんは、所ジョージさんの最終進化系とでも申しますか、根っからの「アメリカ野郎」でして、
狭い店内はヴィンテージのタロンジップ、ドッグタグ製造機、郵便ポスト（もちろんMADE IN USA）など、
ありとあらゆるアメリカモノで溢れかえっていました。

本題である、オーダーをするまで最低1時間は早乙女さんのアメリカ話を聞かなければならないのですが、
これが全く苦ではなく、インターネットのスカスカの情報では得られない「体験」としてのアメリカを聞けたのは、
私にとって貴重な経験でした。

先述の通り、値上りの時期だったのですが、早乙女さんは交通費をケチって自転車で来た私を不憫に思ってか、
「値上げ前の値段でやってあげるよ！」と10万円以内のオーダーを快諾してくださいました。

■15年を経て

オーダーから完成まで概ね1.5か月ほどだったように記憶しています。

早乙女さんがショッパーだけでなく、アメリカの謎の包装紙で何重にも丁寧に包んでくれたWHITE’Sを
抱いて帰ったのが昨日のように思い起こされます。

完成品は、まさに「ブーツ界のロールスロイス」といった圧倒的な迫力で、嬉しさ爆発な反面、
自分には早すぎたかもという不安も正直よぎりました笑

実際の履き心地ですが、ロールスロイスには程遠い硬さ（そして重い）に戸惑いましたが、
長い年月の中で何度も履いて、何度も手入れして、
今はロールスロイスなブーツ、第二の足のような存在になったと思います。
状態も15年選手にしてはかなり良いと思いませんか？

今思うと、24歳の若造が10万円のブーツを履いていること自体が生意気で贅沢ぜいたくな行為のように思えるのですが、
人生を共にできるようなアイテムを得られたこと、体験として早乙女さんとお話しできたことは
非常に価値ある出来事だったように思います。

世間では物価高など景気の悪い話もありますが、そんな今こそちょっと背伸びして愛用品になるものを購入する、
ちょっとした思い出作りをするのも良いかもしれません。
最後になりますが、みなさんの豊かなライフスタイルの参考になれば幸いです。