お店でしか味わえない体験を提供するコスメ販売のおもしろさ―― クリーデンス齋藤さんインタビュー

自分自身が心を豊かにしたいという思いから、コスメの販売職へ

まずは経歴を教えてください。

大学卒業後、新卒で外資系コスメブランドに販売職で入社しました。3年間、スタッフとして主に接客・販売の仕事を行ったのち、リーダ職として育成や店舗運営なども担い、トータルで4年間勤務しました。
また、学生時代のアルバイトも接客業で、百貨店の催事で食品を販売していました。

接客の仕事が好きなんですね。新卒ではなぜコスメ販売を選んだのですか？

もともとは企画やデザインなど、ゼロから何かを生み出すことが好きでした。その一方で、学生時代の販売経験から、直接お客さまの反応がもらえる接客の仕事にもやりがいを感じるようになりました。
いろいろ悩んで最終的には、お客さまの顔が見え、直接リアクションを体感できる楽しさから、販売の仕事に就こうと決意しました。

販売と言ってもさまざまな商材がありますが、自分自身が心を豊かにしたいと思ったときに、香りやメイクアップなど、日々を彩ってくれるアイテムに魅力を感じてコスメ業界を選びました。

お客さまの日常に寄り添いながら、幅広い接客ができる楽しさ

コスメ販売のおもしろさは何でしょうか？

私が思うおもしろさは主に2つあります。
ひとつは、お客さまのニーズに合わせて幅広い接客ができることです。成分や効果など専門的な接客を行うこともあれば、もっと感覚的に香りやテクスチャーなどをおすすめするような接客も行います。

勉強とトレーニングを重ねて根拠のある接客ができるようになると、どんどん仕事が楽しくなっていきました。自分自身で商品を使ってみて、香りや付け心地、効果などを実感しながら理解を深めることもできて、その過程で自分が磨かれていくのも楽しさのひとつですね。

なるほど！学んでいく中で自分自身にも磨きがかかっていくなんてとても素敵ですね…！

そうなんです。コスメならではの良いところですよね。
もうひとつは、お客さまの悩みを改善するだけでなく、日常のふとした瞬間に寄り添えることです。ギフトを探しに来られた方や自分へのご褒美など、生活のふとした瞬間に溶け込めることが大きな魅力でした。どんな生活の変化にも入り込めることが、コスメ販売の良さだと思います。

1回の接客ではどれくらい時間を掛けるのですか？

1回の接客時間は平均で20分ほどです。
私が働いていたコスメブランドは、高額コスメから1000円台の安価なもの、ギフト商品まで幅広く取り揃えていたので、お客さまのニーズもさまざまでした。数分で終わることもあれば、30分以上かけてじっくりお話を伺いながら接客することもありましたね。

商品知識を身に付けるのは大変だけど、スキルアップを実感できるのがおもしろい

コスメ販売では、どんなところが大変でしたか？

コスメ販売は、商品やその成分の知識を身に付けるのが大変！というイメージを持つ方も多いと思います。私も最初、慣れるまでは苦労しました。一度覚えてしまえば終わりではなく、常にアップデートし続けないといけないですし、さらにそれを、お客さまのニーズに合わせてご提案しなければなりません。

1年目はテンションと勢いで売れることもありましたが（笑）、それだけでは客単価や売上は伸ばせませんでした。
そこで2年目以降は、お客さまのライフスタイルやお悩みを引き出し、深掘りするためのロープレ練習を重ねました。さらに、気になる商品は自分で体験することで商品知識をアップデートしていきました。店舗でもスタッフ同士でさまざまな情報を共有し合い、それを接客に活かせるよう、心がけてきました。

大変ではありましたが、知識を深め、スキルアップしていることを実感しやすい仕事だと思います。

お店でしか体験できない何かを求めていらっしゃるお客さまに、期待を超える感動体験を

改めて振り返って、販売職の魅力って何だと思いますか？

学生時代のアルバイトから販売の仕事をしてきた中で、やっぱりお客さまから直接いただける「ありがとう」の言葉がいちばんのやりがいでした。お客さまと直に接することでしか得られない感動が接客の仕事にはあると思います。

今やコスメも、クチコミサイトなどを見てオンラインで購入することが当たり前になりました。そんな中でも、わざわざお店に足を運ばれる方は、「詳しい説明を聞きたい」「香りを試してみたい」など、お店でしか得られない何かを求めていらっしゃるのだと私は思います。

そんなお客さまとコミュニケーションを取ってニーズを引き出し、お店で商品を購入する楽しさや感動をご提供できることが、販売の醍醐味ではないでしょうか。特にコスメは、その場で香りを確かめたり、手元で付け心地を体験したりと、エンターテイナーのように五感を表現できることも大きな魅力です。

オンラインでも「欲しいものが手に入る」という意味での満足は得られるでしょうが、潜在的なニーズも含めて新たな発見や気付きをご提案できるのは店舗ならではの体験です。お客さまの期待を超える感動体験を提供し、ご満足いただけること。やっぱりそれが販売員のいちばんの価値ではないでしょうか。