Fashion★シゴトNEWS
2024.11.19
販売歴は平均41年!エストネーションのベテラン販売員に聞く、“販売員の価値”とは?
私たちクリーデンスは、アパレルをはじめとするファッション業界で販売員としてはたらく人が、これまで以上にやりがいをもってイキイキとはたらくことができる状態をつくるために「販売員価値向上プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行っています。今回は、株式会社エストネーションのベテラン販売員4名の方々にインタビュー。ファッション・お客様・そしてなにより販売職がお好きという熱い想いをお持ちの4名が思う販売員の価値とは?
もくじ
販売歴は平均41年!原動力は、まず自分がファッションや仕事を楽しむこと
本日はどうぞよろしくお願いいたします!まずはみなさんのご経歴をおしえてください。
相澤:販売歴37年。現在六本木店でカジュアルを担当しています。ウィメンズマネージャーなども経験し、現在に至ります。
山西:シニアセールススペシャリストです。販売歴48年、六本木店でもうすぐ22年になります。ずっとメンズドレスを担当しています。
水野:販売歴45年、20歳でこの世界に入り、ずっとメンズドレスに携わっています。他社で60歳まで勤めて定年退職後、エストネーションで販売職として現場復帰しました。
熊谷:シニアセールススペシャリストです。販売歴35年、エストネーション創業メンバーのひとりです。エストネーションでは、銀座店、有楽町、六本木店を経験し、ずっとウィメンズを担当しています。
※シニアセールススペシャリスト:
エストネーションにおける専門職のひとつ。販売に特化した役割である「セールススペシャリスト」の上位にあたり、管理職と同等のポジション。
販売職としてのキャリア平均41年と、みなさんとても長いキャリアをお持ちですが、どのようにして販売員として長く働き続けるモチベーション維持をされているのでしょうか?
相澤:自分自身もファッションを楽しむ、というのが一番だと思います。お客さまはファッションを楽しみにご来店くださっているので、自分自身も楽しんで仕事に臨むということを一番大切にしています。
普段から、「今日は何を着ようかな」「今日はこのアイテムを販売したいな」などと考えながらコーディネートを組んだりしていますし、楽しむこと自体が仕事のモチベーションになっています。
好きが原動力になっているのですね。とはいえ、何度もシーズンを経験して、マンネリすることはなかったのでしょうか?
相澤:ファッションの流行は毎年違うので、たとえ同じ商品だとしても、組み合わせ次第でテイストや印象をまったく違う者に変えられるんです。そういうおもしろさがファッションの魅力なので、色んな工夫をしながらファッションも仕事も楽しんでいます。
山西:常にファッションの時代性を楽しみながら、そのなかで自分のテンションの上がるポイントをお客さまにご提案し、お客さまの気分も高揚していただくことを努め続けています。歴史のあるファッションと、今のファッションのミックスを仕事の中で楽しみながら仕事を続けています。
水野:私も、自分自身が楽しむということを大切にしています。正直若いころは、モチベーションが低下することもありました。ただ、それ以上に服が大好きで、ファッションの変化を楽しんできました。今は、お客さまとファッションを通じて対話することがなにより楽しいです。私どもがお客さまから楽しませていただいているんですよ。
あとは人生を楽しみたいというのも大きくて。仕事だけではなくて、プライベートでも毎年2回ほど海外旅行したりしているのですが、“人生を楽しみたいから仕事も頑張るぞ!”という気持ちがいい意味で影響していると思います。自分が楽しんでいれば、お客さまも楽しいと感じていただけると思っています。
あとは、60歳を過ぎてこうやって好きな販売をさせていただいていることに、とても感謝しています!
熊谷:私はこの会社の創業スタッフであることが大きいです。
エストネーションは、バイヤーも販売員もプロを雇っています。世界中から厳選されたブランドを並べられる環境でありながら、オリジナル商品を60%以上も展開している。まるでアート作品を取り扱っているような楽しさを感じています。実際に今も尊敬のできる社員にも支えられていますしね。
今までいろんな変遷もありましたが、販売員がしっかりと意見を言えて、その声を会社が吸い上げてくれて、それをみんなでいい方向へ考えていくところが私は好きです。あとは何より、現場に出ればお客さまに一番近いところで支える存在であること。それが今まで販売員を続けてこられた大きな理由です。
ありがとうございます。自分自身が楽しむこと、そしてお客さまの存在があってこそ、そのお気持ち自体がモチベーションになっているのですね。
お客さまに、店舗ならではの楽しい時間を過ごしていただきたい
販売員として約40年のキャリアのみなさんですが、それぞれ接客に対してどのようなこだわりがあるのでしょうか?
相澤:気持ちに嘘をつかないことです。本当にお客さまに似合うものを提案することが大事。
長くお客さまとお付き合いをしていきたいと考えているので、1日の売り上げにこだわるのではなく、本当に良いものをお客さまに提案する、その積み重ねが大事だと思っています。シンプルですけど、とても大切なことだと思っています。
山西:20年以上長くお付き合いしている顧客の方々もいらっしゃるのですが、付かず離れずの絶妙な距離感を大事にしています。中には経営者の方などもいらっしゃるのですが、仕事から離れてお買い物を楽しんでいただける環境を作りたいという気持ちを大切に、日々接客しています。
水野:先ほどと重なりますが、やはり自分自身も楽しむことですね。今ってネットでお洋服を買える時代ですが、店舗まで足を運んでいただくことによって、ネットでは得られない情報を提供したいですし、なによりお客さまに楽しんで帰っていただきたいです。
たとえば接客の際には商品の話だけではなく、時計や旅行など、お客さまの趣味のお話も伺いながらその時間を楽しんでいただくことを大事にしています。これは日々自然と行っていることです。
熊谷:顧客の方々にもはじめてのお客さまにも常に新しい新鮮な気持ちで接しています。そのためにも、毎シーズンのコンセプトや新商品についてはしっかり勉強しています。顧客の方に対しては常に新しい発見をしていただきたいので、たとえばフィッティングルームをその方のお部屋みたいにアレンジして、入ってわくわくするような空間づくりなどを工夫しています。どうすれば初めてのお客さまにたくさんお会いするためにどうするかも常に考えています。
また、お洋服と直接関係ないこと、たとえばお客さまが吐き出したい、発散したい話をお伺いすることも多く、そこから生まれる関係性もあります。友人でもないし、家族でもない、ちょうどいい存在として頼っていただけると嬉しいです。
40年以上の経験があるからこそ改めて思う、「販売職の価値」とは…
それでは最後の質問です。改めて、みなさんにとって販売員の価値とは何でしょうか?
相澤:お客さまと直接お話をしてコーディネートの提案を行ったり、お洋服以外のお話まで広げて関係構築を行ったりすることは、私たち販売員にしかできないことです。
そこに価値を感じていただくことこそが、販売員の価値だと思っています。
お客さま自身も、お洋服をお求めに来られるだけではなくて、お話をしにいらっしゃるだけの方もいるんですよ。
ネットだけでは分からないこともありますし、「これとこれはどうやって合わせるんだろう…?」などと相談しに来てくださり、ご提案することで、お客さまにとっての新しい発見にも繋がります。
私たち販売員が介在し、直接お話をすることで、意外なブランドやアイテム、スタイリングとの出会いを楽しんでいただけるといいなと思っています。
山西:ネットでショッピングできる時代ですが、正直、良い情報しか紹介されていないケースもあると思っていて。
実際に店舗に来ていただくことで、私たち販売員が、ネットだけでは知りえないメリット・デメリットの両方を直接お客さまにお伝えし、本当に欲しい情報を得ていただく。
お客さまに合ったアドバイスをお届けできることが、私たち販売員の価値だと思っています。
今の時代だからこそ、逆にアナログなことが情報として活きてきますし、人と人を介すことで、またそこにそれぞれの販売員の味が出て、さらに付加価値になるのではないかと感じます。
水野:世の中にお店がなくならない限り、絶対に販売員は必要であると思っています。
ファッションに限らず、小売に関わる人たちは必ず必要とされます。
自分もあと5年のキャリアなので、若いスタッフが60代になっても頑張れる仕事なんだって背中を見せていきたいですし、若い世代に背中を見せられる存在として貢献していきたいなと考えています。
若い世代に「販売員ってやりがいのある仕事だな」と感じてもらいたいし、それを感じてもらうこと自体が私にとって販売員の価値でありミッションだと捉えています。
熊谷:時代は変わりますし、ファッションも変わりますけれど、やはりお客さまにとって私たち販売員が「応援してくれる存在」ということ自体は変わらないのかなと思っています。「ここに来れば安心できるし、ここに来たら洋服を選んでくれる。あの人に任せたい」と思って頼ってくださることが価値だと感じています。
実はもともとはファッションに興味がなかったのですが、そんな自分がここまでこの仕事を続けられたのは、素敵なスタッフと、なによりお客さまの存在があってこそで、本当に日々元気をいただいているんです。
良い仕事だなと日々思っています。
私が学生時代の頃は、販売員の存在って正直かなり価値が低かったんですよ。
夢の中で販売員になる夢を見て、「絶対販売員なんかになりたくない…!」って泣いて起きたことがあったくらい、自分の中では選択肢にない職業だったのですが、いざやってみたら本当にすごくおもしろくて深い仕事でした。
アパレル業界には商品を作ってくれる人たちがいて、それを買い付けてきてくれる人たちがいる。
そういうストーリーを、私たち販売員が売り場を整えてお客さまに提案し、最後の1点までお客さまに届けるおもしろさ。
そういう経験をしたときに、「この仕事続けてみようかな、おもしろいな」と思いました。
どの職業を見ても、全く引けを取らない価値のある職業だと今は自信をもって言えます。
今回のレポートを担当しました!
キャリアアドバイザー
荒井
新卒でセレクトショップに入社し、店長、エリアマネージャー、ブランドの販売指導や研修など、接客・販売にかかわるさまざまなポジションを経験したのち、クリーデンスのキャリアアドバイザーとして転職。
前職でのこれらの実体験を活かして、販売職の方を中心にサポートしながら、販売員のこれまで以上の価値向上を目指している。
詳細なプロフィールはこちら
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