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2021.10.01

リモートワーク・時短・副業など…アパレル・ファッション業界のリアルな「働きかた」の変化を語る~スタッフ座談会

数年前は「働きかた改革」をきっかけに残業改善が大きく進みましたが、直近では主にコロナ禍をきっかけに、リモートワークなど新しい「働きかた」が定番化するようになりました。そこで今回は、転職をお考えの方からご相談いただくことの多い、リモートワーク、時短、副業などをキーワードに、アパレル・ファッション業界のリアルな「働きかた」や、世の中のスタイルが変化していく中での心構えなどについてご紹介いたします。

編集

みなさんこんにちは。今回は、最近特にご相談が増えている「働きかた」について聞いていきたいと思います。まずは簡単にみなさんの自己紹介をお願いいたします。

赤間

キャリアアドバイザー(米国CCE公認 GCDFキャリアカウンセラー)の赤間です。営業・販売職など川下系職種からデザイナー・パタンナー、近年はEC・Web系職種まで、幅広くご支援させていただいています。

島根

キャリアアドバイザーの島根です。セレクトショップ勤務・採用人事などを経てクリーデンスに入社し、現在はデザイナー、パタンナー、MDなど川上職種を中心に幅広くご支援させていただいています。

井出

営業アシスタントマネージャーの井出です。百貨店を経てクリーデンスに営業として入社し、2019年、約1年の産休・育休を取得。昨年8月より同職種に復帰し、時短勤務×リモートワークで就業しています。


「リモートワーク」は当たり前?フリーランスの増加?ここ最近のご相談の変化

編集

コロナ禍以降、加速する形で、働きかたの見直し、多様化…なんて情報をよく見かけるようになりましたが、実際にそのようなご相談は増えているのでしょうか?

赤間

特にWeb・EC系職種で、フルリモート勤務を希望するご相談が増えています。地方在住だけど本社職の仕事がしたい方、通える距離感ではあるけれども、自宅でできる仕事がほとんどなのでリモートを希望される方と背景はさまざまです。

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そういう方は、現職では出社されていて、働き方を変えたい、というご希望なのでしょうか?

赤間

現職もリモートで今の環境を維持したい方もいらっしゃいますが、会社から全員出勤を命じられていて、そこに意味を感じられない方や、会社の体質の古さなどから将来を不安に感じて転職の引き金になった、という方もいらっしゃいます。また、出社だと時短勤務にならざるを得ない子育て中の方が、リモートだとフル勤務できそうなので、とご相談くださるケースもありました。

島根

リモートワークに関しては、確認というよりも、「当然リモートワークできますよね?」という温度感で求人を探される方がすごく増えましたね。コロナ禍をきっかけに、家族やプライベートの時間を大切にしたいという価値観の変化を強く感じ、「働きかた×企業が時流に乗っているか否か」が軸になっています。

編集

Web・EC系職種以外では、どういった職種の方が多いでしょうか?

島根

リモートワークを取り入れている企業では、バックオフィスのほか、パソコン環境があればどこでもできるデザイナーが先陣を切っている印象ですね。少しずつ増えているのがパタンナーです。会社支給のパソコンにCADをインストールして家で仕事をしている人の話を聞くようになりました。一方、生産管理はサンプルや商品の実物を見ての業務が多いため、なかなかリモートワークは進んでいません。

編集

働きかたに関して、リモートワーク以外でよくご相談いただくことはありますか?

島根

副業希望の方もすごく増えました。リモートワークOKの求人は増えてきていますが、副業OKの求人はまださほど増えておらず、また制度化されていたとしても、機能していない会社も多く、ニーズと実情のギャップがまだまだ大きいと感じます。

赤間

これまで社員でやってきたが、会社の制度や都合に縛られる働きかたから脱却したい、リモートワークによって時間の使い方が変わった、とフリーランスになる方も増えています。以前は30代の方が多かったですが、20代の方も増えてきていますね。MDや販促・マーケティング、デザイナーなどの職種は、独立志向が高い方が多い印象です。
また、レアなケースですが、趣味のeスポーツで多少の収入があり、今後も継続したいので副業OKの企業を探している、というご相談をいただいたこともあります。

編集

コロナ禍自体はネガティブなことですが、一方でコロナ禍をきっかけに、「こんな働きかたもできるんだ!」という気付きや、アップデートの機会になったことは間違いなさそうですね。クリーデンスでも実際、生活スタイルが良い意味で変わったという方も多い気がします。


「働きかたの変化」に対するスタンスは企業や職種によってまちまち。
企業スタンスを知りたいならニュースやSNSを小まめにチェック!

編集

今度は企業側の視点を聞いてみたいと思います。そうした柔軟な働きかたを積極的に導入している企業の例を教えてもらえますか?

井出

あくまで一例ですが、ビームス社やアダストリア社、八木通商社、高荘社などはコロナ禍に関わらず、以前から働く環境づくりに前向きで、コロナ以降の変化もスピーディーな印象です。また、アパレル企業ではありませんが、ウェディングのノバレーゼ社では、フルタイム正社員に加え、個人事業主やフリーランスとして、他社やNPO(非営利組織)など社外で働くことを容認しています。本業に支障のない範囲で副業も可能など、柔軟な選択ができ、キャリア志向やライフイベントに合わせて働きやすい環境づくりを整えています。

編集

コロナ禍をきっかけに環境が変わった、環境づくりが加速した、という企業は多いですか?

井出

新たに制度化した企業、もともと制度はあったが現実的に実運用に踏み切った企業など、コロナ禍をきっかけに環境づくりが加速した企業のほうが多いですね。

編集

働く環境をアップデートできている企業の共通点はなんでしょうか?

井出

分かりやすいところで、外資企業は本国の働きかけが早く、導入が一気に進んでいるイメージです。もともとリモートやフレックスを活用する外資企業は多かったですが、コロナ禍を機に、フルリモートや、コアタイムのないスーパーフレックスなどに切り替わっています。

赤間

D2C企業も、リモートワークを推進している企業が多いように思います。また、社員の副業OKはまだ多くないものの、複数のフリーランスの方と業務委託契約を締結し、プロジェクト型で案件を進めている企業も多いですね。

編集

逆に、なかなかそういう変化を創り出せていない企業の共通点はありますか?

井出

たとえばワンフロアで全社員が集まる規模のとある企業で、「リモートOKだけど、社長が毎日出社するから、リモートワークしにくい…」という話を聞きました。また、単にルールを作るだけでなく、ネットワークなどの環境づくりや新しいルールを浸透させる手間などを考えたときに、少人数・小規模だと経費や工数に躊躇してしまう、という側面はある気がします。

編集

確かに費用対効果の面はあるかもしれません。ということは大手企業のほうが変化に対して積極的?

島根

大手は大手なりの導入ハードルがあるのでそう一概にも言えず、二分化している印象です。
ある大手アパレル企業ではいち早くリモートワーク化が進んでおり、厳密には部署ごとに方針が異なるものの、会議のある週1日だけ出社するスタイルになっているそうです。一方、いわゆる多くの旧大手アパレルでは、コロナ禍も変わらず毎日出社がメインと聞きます。私の個人的なバイアスも入ってしまいますが、「時流に乗っているかどうか」が業績とも多少連動しているような気はしますね。

井出

会社として仕組みを作ってはみたものの、社員が「出社のほうが捗るので」と希望して出社しているケースも多く、一概にリモートだから新しくて良い、出社は古くてダメ、というわけでもありません。コロナ禍における安全性という点で、出社頻度の調整は大切ですが、単に「働きかた」だけで言えば、業務や希望、働きやすさなどに合わせて選べると良いですよね。

赤間

幼少・高齢の方と同居されているなど、出社に対して敏感になってしまう方も多く、「家でもできる仕事なのに、毎日出社するよう言われていて辛いです」というご相談が増えているのも事実です。また、転職先がリモートワークに対応していないことから、「企業の体質が古く、時流に適応できていないので将来性が心配です」と再転職のご相談をいただくケースもあります。企業が働く環境を見直すことで、退職率の改善に繋がる可能性はあるかもしれませんね。

編集

いえ。別の企業の方がブランドの指揮を執るってすごいですね…!

島根

もともとお二人がご友人で…という背景はあったそうですが、前例のない取り組みですよね。こういう動きが表に出ると、「ベイクルーズ社って柔軟な働きかたができるのかな」という印象になり、実際に記事を見た方からそういうご相談もいただきました。もっとも、高島屋にとってもベイクルーズグループにとってもチャレンジングな試みであり、現時点ではやや特殊な事例ですが、チャレンジをしている、という企業姿勢は伝わりますよね。

編集

企業にとっては、退職率の改善だけでなく、企業のイメージ戦略や採用ブランディングにも繋がるということですね!転職を考えている方は、希望する企業や応募する企業がどのような働きかたをしているのか、ニュースやSNSなどのアンテナを張っておくと良いかもしれません。


一見、「自由」に働けるように見えるその制度には、必ず「責任」が伴う。

編集

ご自身の人生のアップデートのため、働きかたの柔軟性を求める方が増えてきた一方で、フルリモートや副業OKなどの企業に転職するだけで、ご希望のライフスタイルやキャリアが叶うとも限りません。

赤間

これまでの話にも出てきましたが、職種や任されている仕事内容によって、リモートワークがベストとは限りませんし、副業が難しいケースもまだまだ多いです。働きかたに限らず、すべての条件がベストな形で就業できるケースの方が少なく、大抵の人は、優先順位を付けながら自身の働く環境を作り上げていると思います。ご自身にとって何が一番重要か、ということを考えながら働きかたを見つけることも大切です。

井出

時短勤務の方から、フレックスやリモートであれば、年収を落とさずフルタイム就業できそう、とご相談いただくケースも見られますが、今、リモートワーク実績のある企業でも、コロナ禍の潮目が変わった先にもリモートワークが継続されるかどうかは分かりません。コロナ禍の今がやや特殊な状況であることも念頭に置いて、中長期的な視点で働きかたを考えていくと良いでしょう。

編集

井出さんはご自身の産休・育休中にコロナ禍となり、復帰時にはリモートワーク体制でした。どのように感じましたか?

井出

幸い私は、産休・育休前と同じ部署・ポジションで復帰でき、仕事の進め方や顔なじみの同僚たちがいたので、何とか進められました。それでも、リモートでの復帰は大変でした!みんなよりも遅いタイミングで「Zoomってどうやって使うの?」とオロオロしながらチームメンバーに教わりましたから(笑)。
もし、時短スタート×リモートに加え、知り合いのいない新しい環境だったとすると、さらにハードルは高かったと思います。転職という、誰を頼れば良いのかも分からない環境でのリモートワークは大変なことです。そういうリアルな想像もしながら、どのような環境が良いかを考えてみると良いかもしれません。

編集

リモートワークに関しては、世界的にも社員の生産性、心身の健康などの検証が行われていますよね。

島根

僕はリモートワークやフレックス勤務をご希望される方とお話する際、よく「自由と責任」という話をしています。
転職時点でいきなりリモートワークとなると、コミュニケーションが思ったように取れず、仲良い同僚も作れず、新しい環境で仕事にやりがいを感じる前に、退職に至ってしまうケースもあります。また、就業時間の境があやふやになり、良くも悪くも公私の区別が付けにくくなった、生産性が落ちた、という話も伺います。環境を生かすも殺すも自分次第。リモートワーク、特にフルリモートの場合は、そういう覚悟が必要だということを知っておいていただきたいです。

編集

私たちクリーデンスも、緊急事態宣言中は原則フルリモート勤務ですが、気心知れた環境でさえ、フルリモート時には意識的にコミュニケーションを取っていかないと、と思いますよね。

島根

人によっては、ランチや終業後の飲み会など、業務外のリラックスした時間が取れないことも、コミュニケーションの障壁になっていると思います。人と人の距離感や繋がりはデリケートなものなので、コロナ禍前には当たり前だった「全員フル出社」以上に意識的を高めなければなりませんね。

井出

自由と責任…自戒も込めて、改めて胸に刻みました‥!


本当に自分が実現したいことは何か、そのためにベストな働きかたは何かを考えることが大事。

編集

コロナ禍をきっかけとした、働きかたのアップデートのチャンス。しかし、表面的な部分だけ見ていては、逆にご自身の生活やキャリア形成に影響を及ぼす可能性などについてお話いただきました。最後に、これからの働きかたを考える方々へ、メッセージをお願いします。

島根

リモートワークや副業といった「働きかた」はあくまで手段です。転職やキャリア形成にあたって、「本当に自分のやりたいことが何なのかを考える」という本質は、これまでもこれからも変わりません。働きかたももちろん大事ですが、分かりやすく“変化”した部分だけに惑わされずに、ご自身の人生や仕事と向き合ってみてください。

井出

お住まいのエリアを問わず就業できるなど、新しい働きかたの可能性は今後も広がっていくでしょう。その一方で、自分がどうありたいかよりも、「うちには(新しい働きかたの環境が)ない」と、隣の芝が青く見えてしまっているだけの方もいらっしゃいます。
一番大事なのは、自分がそこで何ができるのか、何をしていきたいのか、ということに尽きます。その上で、実現するためにベストな働きかたは何なのかを考え、リモートワークや時短、副業などの環境が必要であれば、ぜひ私たちクリーデンスにご相談ください。
世の中の変化に適応するようで、実は振り回されている…ということがないよう、じっくりご自身と向き合ってみてください。

赤間

すべての物事にメリット・デメリットがあります。リモートワークはコミュニケーションロスが発生しやすい、フレックスはメリハリが小さくなる、副業は確定申告など自分でやることが増える、残業削減は高い生産性が求められる…など、大変なことだってたくさんあるんです。大事なのは、メリット・デメリットの両方を理解した上で、どういう働きかたが自分に合っているのかということです。
実際にそういう働きかたをしている人に話を聞いてみる、クリーデンスのような情報を持っているところに相談してみるなど、まずは情報収集をしてみてください。より詳しく知ることで、これからの選択肢はもっと増えていくと思いますよ!

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