Fashion★シゴトNEWS
2022.10.14
<アパレル・ファッション業界 転職成功ストーリー>デザイナーとしてのスキルと自身の個性、どちらを優先する?!(キャリアアドバイザー 羽田)
クリーデンスではキャリアアドバイザーひとり当たり、年間で300名以上の方々の転職相談をお受けしています。その内容は千差万別ですが、その中にも転職成功のためのヒントが隠されているかもしれません。そこで今回は、キャリアアドバイザーの羽田が登場。羽田が担当し、転職に成功された方の思い出深いエピソードをご紹介します。
今回、この人に話を聞きました!
キャリアアドバイザー
羽田
新卒でセレクトショップに入社し、8年の中で店舗責任者、服飾雑貨のバイヤー、企画を担当。その後は「doda」のキャリアアドバイザーとして転職し、現在はクリーデンスでアパレル業界での経験を活かしながら転職支援に従事している。バイヤー時代、幅広い企業との取引経験から、メーカーや雑貨系にも強みを持つ。
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デザイナーとして、ご自身の経験やスキルをどこまで書類で表現できているか?
今回、羽田さんがサポートした佐川さん(仮名)はどのような方ですか?
20代半ばのレディースデザイナーの方で、新卒で入社したアパレル企業でデザイナー経験を4年ほど積まれました。コロナ禍の影響もあって現職の事業が縮小し将来的な不安が生じたこと、また業務過多であったことから、長期的に就業できる企業への転職を希望されていました。
証明写真の写真がシルバーヘアで、ポートフォリオのデザインが凝っていたことから、「ご自身のアイデンティティを大切にされている方だな」と感じたのを覚えています。カウンセリングでお話してみると明るくハツラツとした方でとても好印象!その一方で、企業に対する個性の出し方によっては、転職活動の難易度が上がる可能性がある…とも感じました。
難易度が上がる…とはどういうことでしょうか?
佐川さんのポートフォリオや証明写真は、商業デザイナーとしてお持ちの経験やスキルと比べて、ご自身の好みのテイストに寄っていました。そのため、「特定のテイストにしか対応できないんじゃないか?」という印象を与えてしまうかもしれないと思ったのです。ただ、個性もデザイナーとしての武器の一つですから、まずは活動をスタートしてみました。
実際に転職活動を始めてみると、なかなか書類選考を通過できませんでした。当時、コロナ禍の影響で誰しもが厳しい状況ではありましたが、「個性の出し方」を見直すことで改善するんじゃないかと思いました。
採用担当者の目線を交えた書類のアドバイス。その結果は…
それは佐川さんにも伝えたのでしょうか?
書類選考の通過率を上げるため、一度時間を設けて次の2点をお伝えしました。
・デザイナーとして特定のテイストにしか対応できないと捉えられてしまう可能性がある
・転職活動という場においては、証明写真に個性が出すぎてしまうことで人物像を誤解される可能性がある
私自身もアパレル業界出身で、ファッションを通じて個性を表現する魅力を感じてきたので、本来このような言及はあまり好きではありません。
その一方で、エージェントの立場として、少ない情報・時間で応募者の人物像やスキルを見極め、決断しなければならない採用担当者の気持ちも痛いほど分かります。実際、「ファッションに対する強いこだわり」がビジネススキルのアピールに繋がりきらず、選考においてネガティブに働くケースを見たこともあります。そのため、採用担当者の目線を交え、少しでも転職成功の可能性を上げられればという思いでお伝えしました。
佐川さんの反応はいかがでしたか?
誰しも、大切にしているこだわりに触れられたらいい気持ちはしませんよね。佐川さんもそうだったと思いますし、「見た目で人となりを判断されるなんて…」と困惑、「そのような会社で働くのはちょっと…」とも仰いました。
それを境にご連絡しても反応が無くなってしまい、もう私のサポートを必要としていないかもしれない…と思いました。それでも佐川さんにマッチする求人が出るたびに、ご紹介だけは続けました。
するとある日、佐川さんのマイページが変更されたのに気づきました! 証明写真は髪色が暗めになっていて(そういえば美容院に行くと仰っていました)、ポートフォリオも新たに、佐川さんの好きなテイストに加えて、ご自身がスキルとしてお持ちのテイストのものが追加されました。メールのやりとりが復活し、新たな書類でいくつかの求人に応募する機会も増えてきました。
そしてついに1件、応募した求人が面接まで進んだのです。
転職活動は、自身を客観的に捉えることが大切
それは嬉しいですね!その選考で転職を決定されたのでしょうか?
そうです。電話とメールで面接に向けた準備を入念に行った結果、見事に内定を勝ち取り、その企業への転職を前向きに決意されました。
正式に転職が決まったあと、私は佐川さんに「気分を害するお伝えの仕方になってしまい、申し訳ありませんでした」と改めてお詫びしました。すると佐川さんはこう仰ったんです。
「言われたときは、『この業界で、個性やこだわりを抑えるよう言われるなんて!』とまず驚いたし、そんなことを言ってくる羽田さんにも良い気持ちはしませんでした。でも、企業さんの立場だったら確かに懸念や不安に思うこともあるだろうなと後から考え直しました。一人だったら気付けずに、うまくいかないまま悩み続けていたと思います。言いにくいことを言ってくれてありがとうございました。」
少し時間を置いて冷静になることで、相手(採用担当者)の目線に立って自身を客観視されたことを伝わってきました。
100%納得の上ではなかったかもしれませんが、それでも「試してみよう」と行動に移されたことで、明らかに選考の進み方が変わりました。そこで手ごたえを感じられたんじゃないかと思います。
感情から入ったことを冷静に受け止め直すって、実は難しいことですよね。
本当にそうです。それもご自身の根幹にかかわることですから。 難しいことと向き合ってくださったと思いますし、それが結果に結びついたことを嬉しく思います。
私自身も改めて感じたことですが、アパレル・ファッション業界における転職において、ファッションに対する個性やこだわりと、いわゆる社会的なTPOのバランスはとても難しいです。応募する企業や求人によっても異なり、仕事ぶりと人間性が分かれば気にしない!という企業もあれば、意外と(?)保守的な企業もあります。
そうした情報は個人ではなかなか手に入りませんので、お悩みの方はぜひご相談ください。時にはご自身と向き合う時間が必要なこともあるかもしれませんが、転職したいという思いがなくならない限り、最後までサポートさせていただきます。
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