Fashion★シゴトNEWS
2023.08.23
販売職は、物に替えられない価値を生み出せる存在(キャリアアドバイザー 植田)
私たちクリーデンスは、アパレルをはじめとするファッション業界で販売員としてはたらく人が、これまで以上にやりがいをもってイキイキとはたらくことができる状態をつくるために「販売員価値向上プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行っています。
今回は、そんなプロジェクトメンバーがかつて販売職だったころのことを思い返し、販売職の魅力ややりがいなどについてお話ししました。
この人に話を聞きました!
キャリアアドバイザー
植田
大学でアパレルに関するあらゆる分野を学び、卒業後はラグジュアリーセレクトショップのスタッフとして接客・販売業務に従事。
クリーデンスのキャリアアドバイザーとして転職後は、自身の経験を活かし、国内ブランドから海外ラグジュアリーブランドへの転職、取り扱い商材の価格帯を上げる転職など、販売職のキャリアアップにつながるサポートを得意としている。
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若さを武器に懐に入り込み…しっかり提案できれば、リピートいただける自信があった
販売職の経歴を教えてください。
新卒でラグジュアリーセレクトショップに入社し、神戸の路面店で4年間、販売職をしていました。3年目からシニアセールスアソシエイトをしていました。シニアセールスアソシエイトは、予算が上がる・上顧客を担当するなどの役職でした。
3年目からシニアセールスアソシエイトになれるのは早いんじゃないでしょうか?
そのときの同期の中では、一番早かったです。
すごいですね!どんなことが評価されていたのでしょうか?
私は運が良くて、ウィメンズウェア配属でした。商品特性・接客の内容から顧客がつきやすいフロアだったので、コツコツと顧客作りを頑張っていました。メンズの顧客の奥様を担当するケースもあり、上位顧客がいたのが実績に繋がったと思います。
顧客作りが得意なんですね。販売の仕事のどんなところが楽しかったですか?
販売の価値でもあると思いますが、自分を売り込むのが楽しかったです。当時はまだ22~23歳とまだまだ若者だったので、30~40代以上のお客様に色々なことを教えてもらうスタンスでした。
商品やコーディネートはプロとしてご提案しつつ、それ以外の、たとえば世の中のことを教えてもらったり、かわいがってもらったりしながら懐に入ることで、リピーターを繋いでいただいていました。下の名前が覚えやすいので、気軽に呼んでいただけることが多くて…若さが武器でしたね(笑)。
得意なことで結果が出るとやりがいにつながりますよね。
自分宛にご来店くださるお客さまが増えていくのがやりがいでした。社長の奥様などマダム層が得意で、旦那様の学会用のスタイリングをご提案するケースなどもありました。年齢のわりに、意外とそういう方への提案ができていたと思います。「いつもありがとう」と言っていただくと、ガッツポーズって感じでした!
若さゆえのキャラクターと、それだけではない提案力が顧客に繋がっていたんですね。とてもバランスが良いですね!ラグジュアリーセレクトショップと、高価格帯のワンブランドとの違いや面白さってどんなところだと思いますか?
ワンブランドだと、ある一定のテイストに限られますが、セレクトショップはたとえばマルジェラのシャツにドリスのパンツ合わせるなど、いろんなテイストの提案の幅が広がるのが面白いですし、それによって、「このブランド好きかも!」とお客さまが新たな発見をされるのが嬉しかったです。ブランドだけでなく、商品カテゴリもたくさんあるので、洋服だけでなく、ジュエリーやシューズも一緒にフルコーディネートで提案できる。しっかりと提案できれば、絶対顧客化できる自信もありました。これはセレクトショップならではの楽しさだと思います。
売上に貪欲だったからこそ、コーディネート提案という強みが生まれた
“コーディネート提案”というワードが多く出てきますね。自分なりのこだわりはありますか?
その人に合う洋服を提案すること。テイストやお肌の色やパーソナルカラーで提案することですね。お客さまが選んでいただいた商品にプラスして提案をすることや、無地が多い方には柄を提案するなど、意外なものを一点もっていく、という提案にはこだわっていました。
どうやってコーディネート提案力を高めていったのでしょうか?
セット提案は客単価上がるので、売上に対して貪欲な気持ちもありました。それが習慣化されて、コーディネートで提案することが当たり前になっていたのかもしれません。
売上に貪欲な販売員のマインドとはどんなものでしょうか?
一人でそのマインドに持っていくのは難しいかもしれませんが、前職では会社全体が売上に貪欲でした。毎日iPadで売上が確認できましたし、先輩もみんな売上に貪欲だったので、自然と染みついていたと思います。その中でも、サービスの質を維持したいというバランスは大事にしていました。予算は絶対取りたかったので、プラスの提案は必ず行っていました。
売上を作る場という点で、普段の店舗接客だけでなく、オーダー接客も行っていたんですよね?
オーダーイベントを開催していました。ジュエリーやスーツ、シューズ等のオーダー、レザーバッグに名前を入れたり、革ジャンにスタッズを打ったりなど、さまざまなイベントがありました。
イベントでのオーダー接客は得意でしたか?
いえ…プレッシャーでした…!(笑)ウェア担当だったので、ジュエリーなど別カテゴリのイベントに顧客をお呼びするなど、いわば営業のようなことを行っていました。何人アプローチして、どれだけの方にご来店確約をいただくか…などの計画を立てて達成させるのがとても大変でした。ただ当日は、一緒に商品を見ながら選べる楽しさもありましたね。
ショップとオーダーイベントではやっぱり違いますか?
お客さまの思い出になるのが一番大きいですね。オーダー品という唯一無二のデザインを一緒に考える時間はもちろんのこと、デザイナーがオーダーに合わせて来日することも多かったので、お客さまがデザイナーに会えるという特別な空間が生まれたりもして、お客さまご自身が普段よりも楽しそうにされているのが印象的でした。
接客する私自身も普段とは違う独特の楽しさを感じていました。実際にオーダー品が納品されるのは半年後とか先なので、それまでの間にもお店に足を運んでいただく工夫をしたり、「もうすぐですね!」とその話で盛り上がったり、イベントがお客さまとより深く繋がるきっかけにもなっていました。
オーダー届くまでに、どうやってもう一度来店していただくのですか?
色んなやり方がありましたが、基本的にはお客さまの好みを把握した上で、今後開催されるイベントのお話をして興味を持っていただき、次にお会いできる時期を約束しておくことを意識していました。そうやってどのお客さまに次いつ来ていただくか、という計画を立てることも、売上に繋がっていたと思います。
「このお店で、この人とお買い物がしたい」 買い物をより豊かなものに
離れてみて思う、販売員の価値は何だと思いますか?
物に替えられない価値を生み出せる存在だと思います。販売員が居てこそ、楽しいショッピング空間になるのです。
たとえばECサイトなどで好きなブランドの商品を買っても、「もう一回買いたい」と思うかどうかは、相当その商品やブランドを気に入らないと難しいと思うんです。販売員がいることで、「ここで買う」という楽しさと、「この人と買い物する」の楽しさが見出せて、買い物がより豊かになります。それこそが、販売の介在価値だなと思っています。
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