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2023.12.15

丸の内ロールプレイング大会 優勝者が心がけている“余韻を残す接客”とは――トゥモローランド 丸の内店 廣田さんインタビュー<前編>

私たちクリーデンスは、アパレルをはじめとするファッション業界で販売員としてはたらく人が、これまで以上にやりがいをもってイキイキとはたらくことができる状態をつくるために「販売員価値向上プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行っています。
今回は、丸の内接客ロールプレイングコンテスト優勝者、TOMORROWLAND(トゥモローランド)丸の内店 メンズマネージャー セールスエキスパートの廣田 周平さんにお話を伺いました。

この記事は前編です。後編はこちら

もくじ

MDや生産管理など本社職の経験を経て、やっぱり戻りたいと強く願った販売の仕事

まずは自己紹介をお願いします。

2007年3月、株式会社トゥモローランドに新卒で入社しました。最初は横浜エリアへ配属され、4年目に丸の内へ異動、メンズドレスセクションにて1年ほど経験した後、本社から声がかかって本社のウィメンズの部署へ異動しました。

今だからこそ言えますが、正直なところ、メンズからウィメンズへ異動する懸念はありました(笑)。
ただ、モノづくりをしている会社に在籍しているからこそ、本社業務が良い経験になるのではと思い承諾しました。
通算5年ほど在籍し、最初は「Ballsey(ボールジィ)」というウィメンズメインのブランドでディストリビューターとして2年半、その後、生産管理として工場と自社の各部署を繋ぐ経験を積み、最後は1年ほど、「TOMORROWLAND collection(トゥモローランド コレクション)」でMDや生産管理などに携わりました。

一方で、実は本社に異動した当初から、「ゆくゆくは店舗に戻りたい」という話をずっとしていました。自身の将来を考えた際、店舗に立ち続けたい、戻りたいという思いが強く、タイミングを見ながら相談を重ねて丸の内店に戻ることができました。そこからもう7年経ちましたね。

今の役職・肩書についてお伺いします。メンズマネージャーとセールスエキスパートの兼務とのことですが、詳しく教えていただけますか?

丸の内店は店長、副店長の下にメンズ・ウィメンズそれぞれマネージャーが1名ずついます。自分はメンズマネージャーとして、メンバー20名規模の体制を担っています。
セールスエキスパートは、販売を大事にしたいという会社の想いで立ち上がり、一定の成果を出した販売員が目指せるポジションです。自分は2年ほど前にセールスエキスパートになりました。


スキルを磨くには、日々の接客を重ねて自分の得意な接客スタイルを確立すること

廣田さんご指名でご来店される顧客はどれくらいいらっしゃるんですか?

そうですね、廣田宛にご来店くださる方は30名から50名ほどです。お客さまの顔と名前を覚えることをとても大事にしていて、細かくメモを取ることを習慣づけています。丸の内店に戻ってからの7年間で、お名前までは把握していなくても、「この方、接客したことあるな」と認識できるお客さまを含めると、150名ほどおります。

おぉ~…そんなに積み重ねていらっしゃるんですね…!

たとえば「単価」で考えたときに、1度に50万円から100万円を買ってくださるようなお客さまの接客が得意な販売員っていますよね。そもそもそうしたお客さま自体が多くないのもありますが、自分のこれまでの経験からも、その単価を生み出し続けるのは得意じゃないと思いました。
一方で、20万円から30万円をコンスタントに購入いただける方にご満足を提供する、高頻度のご来店を促すのは得意なので、リピートしてくれるお客さまをより大事にしています。自己分析としては、ホームランは打てないけど2ベースはコンスタントに打てるタイプと自負しています(笑)。

非常に分かりやすいです!お話にも出てきた接客について、顧客づくりのノウハウや、スキルを磨くための努力はどのようにされていらっしゃいますか?

やっぱり実践というか、日々の接客を重ねていくしかないと思っています。
ロールプレイングでの練習や、若手スタッフへの指導もしていますが、そこですべてを得られるものではなく、普段からどれだけ接客を重ねて、どれだけ内省できるか、その習慣作りが大事だと思っています。


「あの人に接客してほしい」というときに顔が浮かぶ、“余韻を残す接客”とは

日々の接客で、廣田さんが特に意識していることはありますか?

丸の内接客ロールプレイングコンテストで優勝させていただいたときにも同じことをお話したのですが、“余韻を残す接客”を心がけています。その場だけじゃなく、「あの人に接客してほしい」「あの人に接客してもらったなぁ」というときに顔が浮かぶ接客をしたいと思っています。

お客さまの中に余韻を残すための工夫とは?

2つあります。1つは、お客さまお一人おひとりを認識することです。
先ほどメモを取るという話をしましたが、お客さまに覚えていただくためには、まず自分がお客さまのことを覚えるべきと思っています。少し硬い表現かもしれませんが、敬意を持ってお客さまと向き合うことを意識しています。

もうひとつは、お客さまへのヒアリングです。
表面上のニーズを聞くだけであれば、AIなどデジタルの力でできてしまう今の時代において、特に大事にしているのは、お客さまが「この商品を買いたい」「買ってもいいんだ」と納得して購入できる販売員でありたいということです。

なんとなくで買ってしまった…ではなく、お話を伺った上で、「であればあなたにはこれですよね!」という提案を行い、ご納得いただくためのカードを渡す。その上で、「廣田さんが言ってくれたから納得いくものが買えた」「買ってよかった!」と思ってもらいたいんです。
そのためにも、お客さまとの会話の中でしっかりニーズを引き出して、背中を押せるように努力しています。

お客さまを覚えるためのメモに関して、どんなことが書いてあるのでしょうか?

その方が再度ご来店された際に「あ、あの方だな!」とすぐ分かるように、分かればお名前を書き、ほかにはお客さまの印象、身に付けていたものやお好みなどの特徴などをメモしています。二度目以降にご来店いただいたとき、はじめましての「いらっしゃいませ」ではなく、「こんにちは!」と言いたいんですよね。

素敵な習慣ですね!貴重なお話ありがとうございました。


後編では、先日行われた丸の内接客ロールプレイングコンテストで優勝されたときのお話や、セールスエキスパートとして社内へどのような影響を与えているのか、トゥモローランド社の研修・制度などについてお伺いします。次回もお楽しみに!

廣田さんが考える販売員の成長とは?後編はこちらから!

今回のインタビューを担当しました!

キャリアアドバイザー

荒井

荒井 慎也(あらい しんや)

新卒でセレクトショップに入社し、店長、エリアマネージャー、ブランドの販売指導や研修など、接客・販売にかかわるさまざまなポジションを経験したのち、クリーデンスのキャリアアドバイザーとして転職。
前職でのこれらの実体験を活かして、販売職の方を中心にサポートしながら、販売員のこれまで以上の価値向上を目指している。
詳細なプロフィールはこちら

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