Fashion★シゴトNEWS

2024.05.20

一日、一瞬のためにお客さまに寄り添い続けるブライダルスタイリストの仕事―― クリーデンス篠崎さんインタビュー

私たちクリーデンスは、アパレルをはじめとするファッション業界で販売員としてはたらく人が、これまで以上にやりがいをもってイキイキとはたらくことができる状態をつくるために「販売員価値向上プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行っています。今回は、現在クリーデンスの営業職である篠崎さんが、新卒で経験したブライダルスタイリストの仕事を振り返ってお話を伺いました。

もくじ

一期一会ではなく、長期で関係構築しながら一緒に創り上げていくブライダルスタイリスト

まずは経歴を教えてください。

大学を卒業し新卒で、全国でドレスショップやチャーチの運営、ハワイなど海外に進出もしている老舗ブライダル企業に入社しました。
入社後はブライダルスタイリストとして、舞浜ディズニーオフィシャルホテルである「シェラトン・グランデ・トーキョーベイホテル」で、新郎新婦、ご列席者の洋装、和装のトータルコーディネートの仕事をしており、それ以外にも、挙式・前撮りの衣装提案などをしていました。

興味本位ですが…配属がシェラトン・グランデ・トーキョーベイホテルだったとのことで、たとえばミッキーが出てきたり(笑)、何か特殊な演出などはあったのでしょうか?

特殊な演出があるのは提携していた他ホテルで、シェラトンももちろんディズニーの近くにあるオフィシャルホテルで、ディズニー好きの方もいらっしゃったのですが、残念ながらミッキーの演出等ありませんでした(笑)。立地としては海に面したチャペルだったので、雰囲気やロケーションにこだわる方が多かったです。

新卒でブライダルを選んだきっかけは何でしょうか?

人と関わる仕事がしたいという思いがあって、ブライダルと航空業界の2軸で就活をしていました。
その中でもブライダルは一期一会の接客ではなく、挙式当日に向けて長期で関係構築しながら一緒に作り上げていくことができ、式後もお客さまと関わっていける点に魅力を感じて、最終的にブライダル業界を選びました。


身に付けるものだけでなく、花束や会場空間などをプロと一緒に全体監修

式後もお客さまと繋がりがあるとのことですが、具体的にはどのようなことでしょうか?

一般的なイメージとして、ブライダルの仕事は挙式日がゴールと思う方が多いと思うのですが、実際は、たとえば家族が増えたタイミング、挙式●年後の記念日など、特別な日に思いをはせていただけることが多いんです。ホテルで食事や宿泊ができるので、記念日や近くに来られた際などに顔を出してくださったり、お土産や年賀状をいただいたり、ディズニーとセットで立ち寄っていただいたり、というお客さまも多くいらっしゃいました。

そういった関わりがあるとよりやりがいに感じますね。篠崎さんのサービスに満足していたからこそのリピートですよね!

そうだと嬉しいです…!

ブライダルスタイリストとしては、やはり洋服や衣装提案の仕事がメインなのですか?

そうですね。メインはウェディングドレス、カラードレス、和装でいうと白無垢、色打掛などのご提案がメインです。髪飾りやティアラ、イヤリングやネックレス、シューズ、ヴェールやグローブまで、頭からつま先まで幅広くトータルコーディネートをご提案します。
身に付けるものだけでなく、花束の色や高砂のテーブルクロスの色、ヘアスタイル含め、それぞれのプロを巻き込んで全体を監修していたりもして、細かいところまでこだわれることは本当にやりがいでした。

また、ドレスを実際に着て会場の雰囲気を掴んでもらう「模擬挙式」のために、モデルや衣裝手配、展示スペースコーディネートまで行い、SNSで情報発信もしていました。

衣装だけでなく小物からお花や演出まで、本当にトータルで携わっていたのですね!一方で、新卒でブライダル業界に入り、ここまで幅のある提案をどうやって実現していたのですか?

すごく分厚いマニュアルがありました!笑
それに加えて、日常的にインスタでブライダルのトレンドを探っていましたね。また、ブライダルならではの小物の由来がそれぞれあるので、知らないものはネットで調べたりもしていました。

一生に一度の晴れ舞台で何となくの提案はされたくないですもんね。感覚ではなくしっかり背景・根拠をもって提案していたのですね。

はい、会社が徹底して教えてくれました。ブライダルは高単価ですし、貴重なお時間をいただくがゆえに、しっかり情報をインプットした上で、責任を持ってご提案することを意識していました。
また、細かい知識だけでなく、礼儀作法等も早くに学べました。当時は仕事のために覚えましたが、今思うとブライダルの仕事に限らず、社会人として役立つ知識だと感じます。


ブライダルは当日だけではなく、準備を含めたそのすべてに大切な思い出がある

ブライダルならではのやりがいは何でしたか?

“一生に一度の数時間”を一緒に作っていくことがやりがいでした。衣装を提案するだけでなく、プランナーやヘアスタイリストなど、いろんなスタッフと一緒に作りあげていくのはブライダルならではだと思います。

そうやってみんなで作り上げたものに対し、感謝の言葉をいただけるときが何よりの喜びでした。
とある家族のお話ですが、式の1年前、試着のタイミングで、新郎新婦と一緒に熊本からおばあさまがわざわざ舞浜まで来てくださったんです。式は1年後なのになぜ来られたのかを聞いたところ、当日もしかしたら体調の兼ね合いで行けない可能性があるので、一度でも孫の晴れ姿を見ておきたかったとのことで、亡くなったおじいさまの遺影も持参されていらっしゃいました。

私のモットーとして、たかが試着と言わず少しでも素敵な時間を作れたらなと思っていて、いつも最後に記念写真を1枚撮って毎回メッセージを書いて送っていたんです。それを大切に持ってくださって、「すごくいい時間だった」と感謝の言葉をいただきました。

1年後のお式では、そのおばあさまも参列されていて、式後に「あの時の方ですか?当日見られて良かったです」と声をかけてくださいました。新郎新婦だけでなくご家族のみなさんまで幸せにできた、と感じられた忘れられないエピソードです。

一度の接客に掛ける思いの深さが感じられますが、難しかったことはありましたか?

一生に一度、金額も高額なので、当然ながらみなさん思いがとても強く、要望の多いお客さまが多かったことです。
このネット時代、さまざまな情報があふれている中でどうやって期待値に応えるか?というのが難しく、指定するドレスがそもそも取り扱いをしていなかったり、予算と合わなかったり…色んなことがありました。
また、ご家族全員の要望に応えることも難しかったです。お客さまによっては、ご本人たちよりもお母さまの要望が強いこともあって、気持ちが強すぎてその場でけんかになってしまうこともありましたね…苦笑


ブライダルスタイリストは、お客さまの思いをプロとして伴走し、
一生に一度の大切な日を作り上げる仕事

篠崎さんが思う、アパレル販売員とブライダルスタイリストの共通点・違いは?

アパレルのお客さまも長期のお付き合いはあると思いますが、その一日、一瞬のためにいろんな人と関わりながら一緒に作り上げていくこと、そのプロセスが大きな違いだと思います。 一組あたりのお客さまとの時間が長く、新郎新婦それぞれとお話すると一度に4時間くらい掛かることもあり、アパレルの接客時間の感覚とは異なるかもしれません。また提案の幅が本当に広いので、式場の規模やテーマ、空間づくりなど、衣装以外の提案もあるのもブライダルならではですね。

華やかなイメージだけでなく、イレギュラーやハプニングも起きますので、臨機応変に動けることも大切でした。ドレスはとても重いので体力も必要でしたね。こうした泥臭さは、アパレル販売との共通点でもあるんじゃないでしょうか。

アパレルとの違いも含め、興味深いお話をありがとうございました!広く捉えると、ブライダルスタイリストも販売職と同じ接客サービス業だと思いますが、最後にその価値を聞かせてください。

一生に一度、憧れの結婚式だからこそ、お客さまそれぞれに色んな思いがあります。予算などさまざまな条件がある中で、どれだけ“好き”を詰め込むことができるか…いらっしゃる方々や新郎新婦の出会いなど、スタイリストがプロとしての目線で思いをくみ取ってご提案し、伴走するからこそ、ご満足いただけるものを作り上げることができる。それがブライダルスタイリストの存在・介在価値だと思います。

今回のインタビューを担当しました!

キャリアアドバイザー

植田

植田 真凜(うえだ まりん)

大学でアパレルに関するあらゆる分野を学び、卒業後はラグジュアリーセレクトショップのスタッフとして接客・販売業務に従事。
クリーデンスのキャリアアドバイザーとして転職後は、自身の経験を活かし、国内ブランドから海外ラグジュアリーブランドへの転職、取り扱い商材の価格帯を上げる転職など、販売職のキャリアアップにつながるサポートを得意としている。
詳細なプロフィールはこちら

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