Fashion★シゴトNEWS

2024.06.05

セレクトショップで広がる販売職のおもしろさと可能性―― クリーデンス羽田さん・山﨑さんインタビュー

私たちクリーデンスは、アパレルをはじめとするファッション業界で販売員としてはたらく人が、これまで以上にやりがいをもってイキイキとはたらくことができる状態をつくるために「販売員価値向上プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行っています。今回は、現在クリーデンスのキャリアアドバイザーである羽田さんと山﨑さんが、ご自身のセレクトショップでの販売経験をもとにお話を伺いました。

もくじ

販売職として働いていた当時と今、セレクトショップ販売の変化とは?

齊藤

まずは経歴を教えてください。

羽田

セレクトショップに入社し、販売、店長、バイヤーを経験しました。会社自体はレディースメインだったのですが、その中でメンズメインのセレクトショップで従事していました。

山﨑

新卒で、大手国内セレクトアパレルに入社し、メンズ・レディース複合店を経験しました。はじめは首都圏の大型店で、その後、都内新店舗のスタッフとして異動し、6年従事しました。

齊藤

ふたりから見て、今と昔のセレクトショップの違いはありますか?

山﨑

昔より「自由化」しているという印象がありますね。たとえば、昔はイギリス仕立てのスーツにアメリカブランドのシューズを合わせると、先輩に指摘されることが多かったです。
テイストを混ぜると、先輩から「外し」と「外れ」を間違えるな、とよく言われたものです(笑)。

羽田

わかります!(笑)
同じ国でそろえるとか、テイストを混ぜないとか、よく言われていましたね。

山﨑

そこから比べると、今はセレクトショップもしがらみなく、テイストを自由にミックスしていますよね。

羽田

あと、僕らがいた頃って、圧倒的な商品知識、背景の理解、それがセレクトの「是」とされていました。たとえばセントジェームスのボーダーカットソー1着をとっても「あの○○が愛し続けた…」とか。商品の物語性を語って付加価値を生むのがセレクトショップの常識、といった空気感があって、昔は敷居の高い業態だったように感じます。
今思うと、これからオシャレになりたいという方々からすると入りづらかったんじゃないかと思います。それは反省です。

齊藤

ふたりは最近、セレクトショップで接客を受けましたか?

羽田

もちろんです。今は、商品への知識・背景を語ることは減ったように感じますが、「これ、いいっすよね」とラフに声をかけてくれるのは嬉しいですね。幅広い消費者のニーズにハマっている印象があります。

山﨑

昔は「もの」ありきでの接客でしたもんね。

羽田

コアなお客さまを相手に知識で戦う先輩がかっこよかったのもありますね。憧れていました!
今は接客のスタンスが変化して、「これからオシャレになりたい」というお客さまもキャッチできている印象です。消費者がお店に入りやすくなることで、誰もがオシャレを楽しめるようになったのは嬉しいですね。昔はそのショップのテイストで行かないと、お店に入れないということもありましたから(笑)。

齊藤

その気さくさは、他業界から「アパレル業界を目指したい」という人が増えたことにも繋がっている気がします。入り口が開けてきたのは良いことですね!

山﨑

確かに、僕も昔はセレクトの販売員ってハードルが高いなと感じていました。
強く憧れていて、あれだけ知識がないとダメなんだ…と思っていました。


セレクトショップで販売職として働く魅力とは?

齊藤

当時をふりかえって、セレクトショップでのやりがいは何でしたか?

羽田

まずは、自社製品以外のブランドも取り扱えるのが魅力でした。製品の背景や知識を通じて、ファッションシーンやカルチャーを知れることが楽しかったです。
人間としてのライフスタイルの幅も出てくると思います。

山﨑

こんなにいろんな服を着ることができる業態は他にないと思います。自分に似合うもの、似合わないものが理解できるようになるのは、販売員として最高の場所だと思います。色や形など、何が自分に似合うのかを考えることで、それが接客にも繋がっていました。

羽田

己を知るということを、セレクトで知る。良いものを着れば、オシャレになるわけじゃない。安くても自分に似合うものが分かっている人はオシャレになる。そうしたことを学びましたね。

山﨑

あとは全身、自社製品を着なくてもよいのもセレクトショップの魅力ですよね。たとえば僕が働いていたショップでは、古着など昔のものを合わせても良くて、そうしたファッションの自由さが、セレクト販売員ならではかなと思います。


セレクトショップの販売職は、どんなキャリアが歩める?

齊藤

セレクトショップで販売職を経験すると、どのようなキャリアの選択が考えられるでしょうか?

羽田

いわゆる企画系などの専門職以外は目指せると思います。僕も経験しましたが、特にバイヤーはセレクト業態にしかない職種なので、セレクトショップならではのキャリアパスだと思います。
バイヤーって、英語が使えないといけない、と思っている方もいるかもしれませんが、国内にいながらバイイングできることもあります。将来、自分のお店を手掛けたい人も、セレクト業態で経験を積んでいることがプラスになると思います。幅広いカルチャーやファッションシーンの知識が増えるから、お店作りをする上での武器になるんです。

山﨑

僕の同期だと、販売職から人事、SV、MD、ディストリビューターなど、いろんなキャリアを歩んでいますね。アパレル本社にいる人も、店長になってマネジメントをしている人も、販売員を貫き通している人もいて、多種多様なキャリアを描けると思います。
転職のご相談を受けていると、「販売員はキャリアが狭い」って思っている人が多いように感じるのですが、そんなことはないです。販売職からOEM営業やEC運営、マーケティングなどにキャリアチェンジしている人もいますし。むしろ顧客起点で物事を考えられることを強みに、何でもできるなって思いますよ。


販売職の仕事には大きな価値がある、ということに気付いて欲しい

齊藤

最後にふたりが思う販売員の価値とは何ですか?

山﨑

「販売職の存在そのものが価値」だと思います。 本社が担っている仕事もその目的は同じで、すべては「お客さまのため」に行っています。そのお客さまと一番接しているのは販売員。つまり、お客さまの声や気持ち、潜在的なニーズをダイレクトにキャッチできる販売員の仕事は、このビジネスの根幹にあたるものだと思うんです。

もちろん、本社が行う分析や戦略は必要です。でも、販売員の方は分かると思いますが、お客さまが100人いらっしゃったら、100人全員が違いますよね。マニュアルなどを使ったとしても、最終的にお客さまにご満足いただくために必要なのは、販売員が目の前のお客さまとどれだけ向き合えるかだと思うんです。答えのない、ゴールのないチャレンジをずっと続けていくという意味で、極めることが難しい仕事だと思います。

羽田

僕は2つあって、、、
まず、職種としての価値は、「多様なスキルを習得する起点になる」ことだと思います。
山崎さんが言っていたとおり、お客さまと直に接点を持っている点ではマーケティングにおけるリサーチにもつながるし、提案をする点ではスタイリストでもあるし、販売する点では営業でもある。「誰でもできる仕事ならやりたくない」って言う人もいるけど、そんなことはない。もしそれを軽く言ってしまう人がいれば、販売という仕事の価値を認知していないだけかもしれません。販売の仕事を通して、どこの筋肉…つまりスキルを鍛えているのかを認識できれば、スキルアップし、成長できる仕事です。

2つ目は「人を介して、サービスやものを提案すること自体が価値」であること。
たとえば、今って車の保険に加入するのにも人を介さず、ネットで契約ができちゃう時代ですよね。利便性は高いけど、商材によっては消費者が抱く不安や物足りなさが絶対あります。モノを提供するとき、人を介さずに届けることに対して、今は利便性のほうが注目されがちですが、いずれ違和感を覚える時代がきっとやってくるはず。人を介してサービスを受けたいという欲求が、今後大きくなると思うんです。

山﨑

すごく分かります。個人の消費者に対して必需品ではない、嗜好品を売るのって、難しいと僕は思うんです。正直言って、服なんて必要以上買わなくてよいものです。それを売れる販売員って、価値がある仕事ですよね。

羽田

そう。「販売員なんて」という人は、実は内なる価値に気づいていないんです。みんながそこに気づけたら良いなと思います。

今回のインタビューを担当しました!

キャリアアドバイザー

齊藤

大学を卒業後、大手国内アパレル企業にて販売・店長を経験。
店長として店舗スタッフの将来を一緒に考え、実現に向け導くことに喜びを感じ、ファッション業界で働く方のサポートに挑戦してみたい、という想いからクリーデンスへ転職した。
現在はキャリアアドバイザーとして、幅広い職種の転職をサポートをしており、特に自身の経験を活かした、未経験から販売職へのサポート実績も持つ。
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