アパレル生産管理とは
デザイナーやパタンナー、MDによる商品の企画案やデザインを、仕様書や縫製指図書に基づいて生産計画を立て、商社やOEM/ODMメーカー、生産工場に対して、コスト・仕様・品質・納期などを指示しながら、商品が出来上がるまでの工程を管理するのが生産管理の仕事です。
その工程の中で、仕様や品質の異常、納期の遅れなどが発生した場合には即時に適切な対応を行うなど、いわばモノづくりにおける「縁の下の力持ち」の存在と言えます。
現在の日本のアパレルは海外生産が中心です。
アパレルブランドの中で、海外の生産工場と直接貿易で生産をしている企業は一部のため、商社・OEM/ODM企業を間に挟んだモノづくりが一般的となっています。そのため、一口に「生産管理」と言っても、「アパレルブランド側の生産管理」「商社・OEM/ODM側の生産管理」でそれぞれで担う業務が異なります。
アパレルブランド側の生産管理
現在、多くの国内ブランドが製品の生産工程の中で、商社・OEM/ODM企業に海外での生産を依頼(または直接貿易と併用)しています。
したがって、直接貿易を行っておらず、生産の100%を商社やOEM/ODMメーカー経由で行っている場合には、生産工場とブランド側の生産管理が直接やりとりをすることはほとんどありません。基本的には、海外生産を依頼している商社・OEM/ODMとの納期管理やコスト交渉などの密なやりとりが主な業務となっています。
ただし、デザイナーズブランドでは組織が少人数で形成されていることも多く、生産管理が兼務で企画やその他の業務に携わる場合も多くあります。このようなケースでは素材知識や加工知識、仕様書の作成スキルが求められます。
商社・OEM/ODM側の生産管理
ブランドと生産工場の間に立ち、納期やコスト・品質などブランド側の要望を実現するため、生産工場とのやりとりを行います。
現在、生産背景として最も多い中国では、工場に日本語の話せるスタッフが在籍することがほとんどですが、ASEAN地域などの工場では、その限りではありません。そのため、所属する会社によっては英語を主とした語学力や、新規工場開拓やコスト交渉のできる忍耐力やバイタリティも重要となります。
さらに商社・OEM/ODM企業の生産管理の場合には、担当ブランドの要望に迅速かつ適切に対応をするため、「営業」と兼務しているケース(=「営業生産管理」)が多いことが特徴です。
「営業生産管理」は、主に社内の企画担当者と取引先を訪問し、営業~生産~納品の幅広い業務に関わります。
また専任担当ではなく、生産管理や営業生産管理が行う生産工程をフォローする役割(=「生産事務(アシスタント)」)もあります。
「生産事務(アシスタント)」は、生産工場とのやりとりや進捗管理のフォロー、社内システムへの入力、伝票処理など、事務寄りの業務を担います。
<2021年最新版>アパレル生産管理の転職動向・転職成功のヒント
コロナ影響で生産背景が目まぐるしく変化し、生産管理これまで以上に多忙を極めるポジションとなりました。
求人数は新型コロナウィルスが流行し始めた2020年4~6月期には減少したものの、それ以降は復調しました。2021年は年間を通して安定的に求人が発生し、新規求人数は前年の124.7%まで増加しています。
海外出張の機会が減少し、生産背景の新規開拓が困難となっているため、現在は特に直貿の経験や知見を…(続きを読む)