スタッフブログ
2018.10.17
変化の器
クリーデンス 中部オフィス 横田です。
ぐっと季節も変わり、夜が長くなってくると、今年もゆっくり食器の整理の時間になります。
祖父母が、東北、東京を経て、最後に移り住んだ土地が、『瀬戸』になります。
その為、小さいころから家には、陶磁器がたくさんあり、
柿右衛門から、瀬戸染付焼、常滑、織部、伊万里など、陶磁器をたくさん見る機会がありました。
現在自分が気に入って使用している器のなかには、祖母から受け継いだ100年前のものもあります。
お正月、春先、初夏、夏、秋、冬 いろいろな季節、家族で使うもの、お客様用など様々な陶磁器をみて育ちました。
その中でも、個人的に好きな焼き物は、『織部焼』になります。
織部焼は、武将茶人・古田織部(千利休の弟子、利休亡き後 茶の湯の第一人者となった)によって生み出されました。
織部焼の持つ自由で斬新なスタイル『オリベイズム』として現代の芸術にも引き継がれています。
桃山時代に、岐阜の美濃地方で焼かれた陶器。
斬新で奇抜ともいえる形や色使いはそれまでの焼き物にはなく、その時代の人々を驚かせました。
魅力ポイントは色・造形・文様。印象的でさまざまな『緑』。
(ファッションのカラー、シルエット・ディティール、テキスタイルのような感じでしょうか)
この時代は、南蛮貿易が盛んで、中国や東南アジアから様々な種類の焼き物が入り、
特に中国南部で創られた『華南三彩』が珍重されました。ムラのない均一な色が特徴です。
それに対し、釉薬が流れて変化をし、さまざまな「緑」や「青」を楽しんだのが織部になります。
その変化を『けしき』と表現しました。
海のようにも、山のようにもその時々で見える『けしき』を、そして、料理をいれて、また見える景色を。
そんな『変化』を楽しむ焼き物です。
また、『茶碗ひみつ候也。へうけもの也』といわれ(へうげ=ひょうきんな、おどけた)
偶然できたかたちや、対称ではない形をよしとし、
躍動感にみちて遊び心のあるところも非常に魅力に感じるところです。
桃山時代は、新しい価値観が次々にうまれた変革の時代。
『かぶき者』の溢れる時代の精神をお茶の世界に取り入れていったとも言われます。
そして、多様な文様の美しさ。
幾通りにも変化していく古びない文様。
魯山人は『織部の絵は、その意匠千変万化して実に立派な意匠である』と言っています。
『変化』に富んだ、ユニークな織部焼。
そんなところが、何度見ても、いつまで見ても飽きない、
見るたびに何かしら発見をさせてくれるこの焼き物が大好きなところです。
この器を作った人は、どんなひとだったのだろう?
どんな時に、何を入れる為につくったのだろう?
なぜこの色、形なんだろう?作った人に思いを馳せ、
いまこの手の中にある、古い器の魅力・凄さを感じます。
Re(再び)spect(見る)
「関心をもってその対象に目を向ける」
ちらっと見るのではなく、しっかり見る。敬意を払うことの元々の意味に繋がります。
先人の創ったものに『敬意をはらう』気持ちを持ち、毎年、器を整理していきます。
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