Fashion★シゴトNEWS

2020.09.29

<アパレル・ファッション業界求人動向調査>新型コロナウイルスの影響で、多くの職種は求人数が減少。一方で、ECサイト運営などを行う「EC関連職種」は堅調

アパレル・ファッション業界の新型コロナウイルス前後の「求人動向」を調査しましたので、結果をお知らせいたします。
本調査は、2019年6月〜2020年8月までに「クリーデンス」が受領した求人データをもとに算出したものです。


概況

調査トピックス

  • ◆求人全体の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+7.1ポイント、契約社員-7.9ポイント、業務委託契約は+0.7ポイント
  • ◆新型コロナウイルスの影響を受け、全職種の求人数は前年同月比で-25ポイント、正社員の求人数は-17.1ポイント、契約社員の求人数は-44.8ポイントと大幅に減少
  • ◆新型コロナウイルスの影響を最も受けたのは「パタンナー」次いで「店長・販売」、求人数は、前年同月比で「パタンナー」-58.7ポイント、「店長・販売」-38.2ポイント
  • ◆「EC・通販関連」は新型コロナウイルスの影響を受けにくく、求人数は7職種のうち唯一横ばい。さらに、前年同月比では+3.1ポイントと微増する結果に

求人動向の解説

アパレル・ファッション業界が新型コロナウイルスによって受けた打撃は大きく、2020年2月以降、求人数は大幅に減少。前年同月と比較して、75%ほどになっています。

リーマンショック時は、金融危機から派生して企業業績や消費が落ち込んだため、どの職種も満遍なくマイナス影響が出たといえます。しかし、今回は職種によって影響の度合いが異なります。感染拡大防止対策として外出自粛が求められたことなどから、特に影響を受けたのは店舗の販売職です。その一方で、在宅時間が増えたことにより、EC関連の需要が高まるなどプラスの影響を受けた職種もあります。例えば、ECサイトの構築・運用を行うEC関連職種やデジタルマーケティングなどを行う職種では、新型コロナウイルス流行前と比較してニーズが高まっています。さらに、多くの企業がコスト削減や予算の見直し、事業整理などの課題を抱えていることを背景に、経営管理系職種でも採用を強化する動きが見られています。

今後の予測

採用市場は、7月を境に徐々に回復傾向にあり、来年3月頃までは緩やかに回復基調と言えます。また、来年4月以降は、企業によって回復レベルが高くなると想定されます。しかし、リーマンショック時は、それ以前の状態に戻るのに3年以上かかったように、今回も新型コロナウイルス流行前の状態に戻るには同等もしくはそれ以上の期間がかかるのではないかと考えています。(クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉)

【全職種】雇用形態の割合および求人数の推移

雇用形態の割合

2020年6月~8月期の求人全体の雇用形態の割合は、前年同月比で正社員+7.1ポイント、契約社員-7.9ポイント、業務委託契約は+0.7ポイントで、正社員採用の求人割合は増加傾向にあることが判明しました(グラフ1)。ただし、増加の理由は、新型コロナウイルス流行前後で変化しています。2019年12月頃までは、売り手市場に伴った企業側の就業条件の改善が主な理由でしたが、2020年3月以降は、契約社員採用の求人数減少が正社員採用のそれを上回ったことが主な理由となっています。

求人数の推移

求人数は、正社員採用においては2019年11月以降、契約社員採用においては2020年2月以降、右肩下がりとなっています(グラフ2)。新型コロナウイルス感染症が確認されていなかった2019年6月~11月期にかけては、長年課題となっていた労働力不足を背景に、採用活動を活発に行う企業が多く、求人数は増加しました。

しかし、2020年に入ると海外で新型コロナウイルスが流行し始めたことにより、外資系企業の採用活動が停止し、2019年12月~2020年2月期の求人数は微減しました。さらに、2020年3月以降は日本でも新型コロナウイルスが流行し、求人数は大幅に減少しました。これは、緊急事態宣言により店舗の休業が余儀なくされたことや、外出自粛によりアパレル製品を購入する頻度が減ったことなどを背景に、多くの企業の業績が悪化し、採用活動を中断せざるを得ない状況になったためと言えます。特に、契約社員の求人数は減少幅が大きく、2020年6月~8月期の求人数は、前年同月比で-44.8ポイントとなりました。

今後の見通し

今後の求人動向は、徐々に回復していくとみられます。特に、ECの売上比率拡大に伴い、サイト構築やデジタルマーケティングを行う人材や、業務効率化・コスト削減を推進するため、データ活用やオートメーション化の知見がある人材の採用ニーズは高まり続けると言えるでしょう。また、早急な立て直しを迫られている企業が多いため、商品企画・販売計画を行う「MD」、売れ行きを左右する商品を作り出す「デザイナー」などを求める企業も増加すると考えられます。


調査概要

■調査期間:2019年6月〜2020年8月
■対象・調査方法:「クリーデンス」が受領した求人データをもとに算出

解説者プロフィール

クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉(かわさき たつや)

1984年、兵庫県生まれ。
2008年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。
キャリアアドバイザーとして、IT・ウェブ領域や金融、医療を担当。
また、さまざまな業界のハイクラス層の転職も支援。
これまでに支援した転職希望者は、1,500名を超える。
キャリアアドバイザー部門のゼネラルマネジャーを経て、
2019年4月からは「クリーデンス」の事業責任者として、
アパレル・ファッション領域の人材サービスをけん引している。


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